井の頭自然文化園の歴史
井の頭自然文化園は、1942(昭和17)年、「行楽の間に自然科学の知識普及の向上に寄与する」という目的のため開設されました。園内には、動物園のほか、彫刻館、資料館などが併設され、その名称のとおり、自然と文化が調和した施設となっています。
ここでは日本産の動物を多く飼育しており、「リスの小径」においてニホンリスの放し飼いをおこなうなど、動物を身近に感じられる展示をおこなっています。
また、環境省が推進するツシマヤマネコの保護増殖事業にも協力しており、2006(平成18)年より飼育を開始、以後、繁殖にむけた研究をおこないながら、翌2007(平成19)年には一般公開をはじめました。2011(平成23)年には、さまざまな野生の生き物が集まるしかけを施した「いきもの広場」を公開し、より一層、生き物を身近に感じられるような取り組みを実施するなど、環境教育の充実にも力を入れています。
西暦 | 年号 | おもな出来事 | |
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1917 | 大正6年 | 井の頭恩賜公園が開園する。 | |
1934 | 昭和9年 | 井の頭池の「中之島」に小動物園が開園する。 | |
1936 | 昭和11年 | 中之島小動物園内に淡水魚専門の水族館「水生物館」が開設される。 | |
1942 | 昭和17年 | 「井の頭恩賜公園自然文化園」として開園。開園後初の動物繁殖があり、タヌキ2頭が出産する。上野恩賜公園動物園から2頭のキリンが来園。アフリカ産のラクダが来園。本園内に自然科学の研究を目的とする資料館が開設される。 | |
1943 | 昭和18年 | 東京市と東京府が合併して東京都となり、「東京都井の頭自然文化園」となる。猛獣処分により、ホッキョクグマ1頭、ニホングマ2頭、ラクダ3頭が処分される。 | |
1945 | 昭和20年 | 1月から9月頃まで、事実上休園状態となる。 | |
1947 | 昭和22年 | 閉鎖中の水生物館が再開。 | |
1949 | 昭和24年 | 井の頭林間学校(サマースクールの前身)が公開される。 | |
1951 | 昭和26年 | 第1回野外彫刻展が開催される。都下移動動物園が催される。 | |
1953 | 昭和28年 | 北村西望氏が本園内にアトリエを設置し、平和祈念像を制作する。スポーツランドが開設される。 | |
1954 | 昭和29年 | 恩賜上野動物園よりゾウの“はな子”が来園。ゾウ舎が完成。 | |
1956 | 昭和31年 | サル山が完成。 | |
1958 | 昭和33年 | ジャコウネコが来園。北村西望から「平和祈念像」の原型、ほか350点余の作品およびアトリエ建物ならびに一般附属設備が寄贈される。日本初の水生植物園が完成する。彫刻園1号館 が開設される。 | |
1959 | 昭和34年 | ダチョウ舎、ワラビー舎が完成する。詩人野口雨情の書斎「童心居」が雨情会から寄贈され、移築。 | |
1960 | 昭和35年 | アフリカからダチョウが来園する。 | |
1961 | 昭和36年 | 彫刻園2号館が開設される。 | |
1962 | 昭和37年 | 熱帯鳥温室が開設される。動物園(本園)と井の頭恩賜公園をつなぐ「御殿山橋」が完成する。 | のようす |
1963 | 昭和38年 | 井の頭池の池水が著しく減水したため、魚類を捕獲し保護する。 | |
1964 | 昭和39年 | ヤクシカ舎、キョン舎が完成される。彫刻園3号館が開設される。 | |
1966 | 昭和41年 | ツバキ園が開設される。 | |
1975 | 昭和50年 | 新しい水生物館が開設される。 | |
1978 | 昭和53年 | ゾウ舎改築。 | |
1981 | 昭和56年 | タンチョウが来園する。 | |
1982 | 昭和57年 | 動物病院が完成する。彫刻園4号館が開設される。 | |
1983 | 昭和58年 | キュウシュウノウサギ2羽が多摩動物公園から来園する。 | |
1984 | 昭和59年 | ゾウの“はな子”来園30周年記念祝典が開催される。ラクダ舎施設が完成する。 | |
1985 | 昭和60年 | かつて武蔵野の森に見られたニホンリスを復活させる「リスの森構想」が始動する。 | |
1986 | 昭和61年 | リス舎(繁殖棟A)が完成する。 | |
1987 | 昭和62年 | 本園の正門および売店が完成する。 | |
1988 | 昭和63年 | 和鳥舎が完成する。 | |
1989 | 平成元年 | リスの小径の一部が完成する。 | |
1990 | 平成2年 | リス舎(繁殖棟B)が完成する。オシドリ育雛場が新築される。オシドリ千羽計画に基づいてオシドリを井の頭池に放鳥する。 | |
1991 | 平成3年 | ホンドテン舎、アカハナグマ舎が新設される。フェネック舎が一部拡張される。 | |
1992 | 平成4年 | リスの小径完成。開園50周年記念行事開催。 | |
1993 | 平成5年 | 新彫刻園が完成する。 | |
1995 | 平成7年 | 水辺の小道が完成する。 | |
1997 | 平成9年 | 改修した水生物館が再オープン。 | |
2002 | 平成14年 | 野鳥の森の完成。開園60周年記念行事。水生物園(分園)の園路を整備し、バリアフリー化する。イモリの域内保全活動を多摩丘陵で始め、翌年飼育下繁殖も開始。動物解説員によるガイドツアーが始まる。 | |
2003 | 平成15年 | ヤマネコ舎が完成する。 | |
2004 | 平成16年 | アジアゾウ“はな子”、来園50周年を迎える。 | |
2006 | 平成18年 | ツシマヤマネコ2頭が来園。メダカの域内・域外保全活動を開始する。 | |
2007 | 平成19年 | ミズグモの周年展示に成功。ツシマヤマネコ一般公開。 | |
2010 | 平成22年 | 水生物園(分園)にコールダック舎が完成する。 | |
2011 | 平成23年 | 「こもれび」「はな子カフェ」がオープン。「いきもの広場」が完成する。 | |
2012 | 平成24年 | アジアゾウ“はな子”65歳、日本長寿タイ記録。開園70周年記念イベント開催。 | |
2013 | 平成25年 | 熱帯鳥温室が50年間の幕を閉じる。井の頭池(お茶の水池・ボート池)で「かいぼり」を実施(かいぼり25)。 | |
2014 | 平成26年 | 動物園(本園)にペンギン舎がオープン。3月17日、アムールヤマネコが人工授精により初めて出産。 | |
2015 | 平成27年 | ぶらんこ広場がリニューアルオープン。 | |
2016 | 平成28年 | 2015年11月〜2016年3月、井の頭池(全域)で「かいぼり」を実施(かいぼり27)。アジアゾウ“はな子”が死亡(69歳)。「はな子とのお別れ会」を開催。 | |
2017 | 平成29年 | ユーラシアカワウソ、ニホンコウノトリ、クロツラヘラサギが来園。「動物たちのえさの時間」開始。 | |
2018 | 平成30年 | アカガシラカラスバト、ミゾゴイ、ニホンイノシシが来園。開園時間を3時間延長する「秋の夜長の自然文化園」を開催。井の頭池(全域)で「かいぼり」を実施(かいぼり29)。 | |
2019 | 平成31年 令和元年 |
「リスの小径」オープン30周年を記念して「文化園──春のリスまつり」開催。 |