環境への配慮
わたしたち都立動物園、水族園は、日常から、地球環境への配慮を心掛け、人にも環境にもやさしい取組を実践しています。
1.緑あふれる動物園へ
(1)壁面緑化の推進
壁面緑化には、環境創出効果のほか、ヒートアイランド現象の緩和効果があることがわかっています。また、夜間における壁面からの放熱を抑えるなどの効果が認められています。
上野動物園の「クマたちの丘」では、NPO法人との共同プロジェクト「動物の賑わう森づくり」の一環で、観覧通路のコンクリート壁面を緑化し、緑あふれる心地よい空間に変身させています。
<参考>
東京都環境局「壁面緑化ガイドライン」
(2)屋上緑化の推進
各園の管理事務所や動物舎などに、荷重条件や給排水設備等を考慮しながら、各施設ごとに最適な屋上緑化をおこなっています。壁面緑化と同様に、ヒートアイランド現象の緩和効果があるとされています。
<参考>
東京都環境局「屋上緑化の推進」
(3)樹木の育成
園内に生育する巨樹を育成し、緑陰空間の拡大を図っています。巨樹については、来園者に癒しを提供できるよう、適切な管理をおこなっています。
(4)ツル性植物の植栽
休憩所や園路の上空を、動物の観覧を害さないよう配慮しつつ、つる性植物で覆い、緑陰空間の形成を図っています。夏場には、貴重な日陰空間を提供してくれます。
(5)緑のカーテン
管理事務所やレストランの建物に沿ってプランターを配置し、外側にゴーヤやリュウキュウアサガオなどを育成して緑のカーテンをつくり出し、夏の日射しを和らげています。4園ともに実施しており、真夏の空調設備の効率アップに貢献しています。
(6)景観に配慮した動物園づくり
上野動物園の「ゴリラの住む森」は、オスと複数のメスで構成するゴリラ本来の群れの飼育展示を日本で初めて実現しており、景観にも配慮した植栽がおこなわれている人気のエリアです。
2009年11月に「コモモ」、2013年4月に「モモカ」が生まれており、緑に囲まれた広い放飼場で、ゴリラのさまざまな行動を見ることができます。こうした動物の生息環境を再現することで、動物の行動を引き出すだけでなく、緑あふれる動物園づくりにも貢献しています。
(7)ボランティアやNPOとの協働
上野動物園では、毎月1回、植栽管理をボランティアと一緒におこなっています。この取組が、緑化推進に貢献していることが認められ、2011年5月の第22回全国「みどりの愛護」のつどいにて、国土交通大臣から表彰を受けました。
また、多摩動物公園では、NPO法人と連携し、園内各所の雑木林の管理をおこなっており、人と森とのかかわりを考える機会を提供しています。
2.舗装・施設の対策
(1)ミスト装置
ミスト装置は、気化熱により空気中の温度を低下させる装置のことです。気温の高い日には、一部の観覧通路で定期的にミスト(霧)装置を稼働させ、快適な空間をつくり出しています。
(2)遮熱性舗装
動物園の一部で、遮熱性舗装を採用しています。遮熱性舗装は、日射エネルギー量の約半分を占める近赤外線を反射して、舗装の温度上昇を抑え、園路や広場の熱環境を改善します。
(3)遮熱材の取付
太陽光がよく当たるガラス窓などに遮光フィルムを取り付け、夏期における室内温度上昇を抑えるようにしています。その結果、空調効率が高まり、使用電力量を節約することができます。
3.省エネルギー化に向けて
(1)太陽光パネルの設置
太陽光発電装置を整備し、自然エネルギーへの転換を図っています。上野動物園のゾウ舎や両生爬虫類館などに設置されています。
(2)効率的な機器への更新
これまでに照明のLED化を進めてきたほか、蛍光灯安定器や循環ポンプのインバータ化など、高効率機器への更新を順次おこなっています。循環ポンプは数が多いため、機器更新による電力消費の軽減効果は大きく、CO2排出量の削減につながります。
4.資源の循環利用
(1)寝わら、糞のリサイクル
動物の廃棄寝わら、糞を堆肥化することで、土壌改良に利用するなど、リサイクルに取り組んでいます。
(2)剪定枝葉の活用
樹木管理の際に発生する剪定枝葉を粉砕処理し、堆肥化するなどの再利用をおこなっています。有機質資源の活用などの効果があり、廃棄物の減少にもつながります。
(3)魚肥料の作成
葛西臨海水族園では、残渣を処理し、樹林地に還元することで、有機質資源の循環利用を図っています。
5.エコスタイルの推進
(1)環境に配慮した商品の購入
製品やサービスを購入する際は、環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷が少ないものを選んで購入しています。工事発注の際には、仕様書に記載して配慮を促しています。
(3)環境に配慮した自動車の導入
多摩動物公園の園内を走るバスは、環境に配慮した車両を導入しています。坂道を走行する園内移動用の「シャトルバス」は、1992(平成4)年に導入しましたが、歩行者と環境に配慮して、電気自動車を採用しました。
その後2005(平成17)年にはCNG(圧縮天然ガス)車両に更新しています。また、1ヘクタールのエリアに暮らすライオンの群れを間近に見ることができる「ライオンバス」にも、CNG(圧縮天然ガス車)を使用しています。圧縮天然ガス車は、温暖化の原因となるCO2や環境汚染を招くNOxなどの排出量が大幅に少ない車です。