マダコは脱走の名人。マダコを飼育する水槽のふたに2~3キログラムの重しを置いても、簡単に押し開いて逃げてしまいます。両眼の幅のすきまがれば、通れるほどです。すぐれた視力と器用な腕、鋭い感覚をもつマダコは、狭いすきまも探り当ててしまうのです。 |
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葛西臨海水族園では、マダコの脱走をふせぐため、水槽の縁とふたに穴を開け、ひもでしばりつけるようにしました。えさやりや掃除には不便ですが、しかたありません。ところが、ある朝、タコのすがたが見あたらないのです! どうやらふたと水槽のあいだにある、小指の先さえ入らないほどの小さなすきまから、信じがたい力と体勢で脱出したようです。 |
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あちこちを探し回り、ようやく見つけたマダコは、なんと別の水槽の濾過器に入りこんでいました。あらためて周囲を見ると、粘液とほこりの混じった跡があり、逃亡の足取りが判明しました。自分の水槽を出て、約1.2メートル下の床に降り、床を1メートル移動して、濾過槽の壁を垂直に90センチ登ったようです。しかも、登りはじめた位置は、濾過槽のふたのすきまの真下。下から見えないはずなのに、迷ったようすもなく一直線に登っていったようです。海水のにおいがわかるのでしょうか? 耳もいいのでしょうか? |
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