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 Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.537 - 2011年05月21日

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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」

・臨時休園に伴い延期していた高碕賞表彰式と受賞記念講演会は5月28日開催!

・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どうぶ
 つと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジットカー
 ド&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/

■目次■----------------------------------------------------------------

 ・上野動物園
   ├─エリマキシギの求愛行動
   ├─熊猫的新聞(パンダニュース)──8 大好物のはず……
   ├─福島からやってきたカワウソを5/24から公開
   ├─「水生動物展示施設」(仮称)の公開は秋の予定です
   ├─アルパカが今年も避暑に旅立ちました
   ├─歯の衛生週間イベント「いい歯いきいき上野動物園行事」
   └─高碕賞表彰式・受賞記念講演会を開催します

 ・多摩動物公園
   └─冬眠から覚めたヤマネ

 ・葛西臨海水族園
   ├─がんばれ!アクアマリンふくしま──ふくしまから来たオウムガイ
   ├─「まる」のコノシロをよく見てみよう!
   ├─5/28 スタッフトーク「ひれから見る水族園の楽しみ方!!」
   └─6/19「観音崎・磯の生物観察会」参加者募集

 ・井の頭自然文化園
   └─アジアゾウはな子の近況[1]

 ・書籍紹介──『水族館をつくる──うおのぞきから環境展示へ』
         アクアマリンふくしま館長・安部義孝著

■上野動物園■==========================================================

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 ▼エリマキシギの求愛行動
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  上野動物園東園のツル舎、ホオカザリヅルのペアがいるケージの左隣に、ソ
 リハシセイタカシギに交じって1羽のエリマキシギのオスがいます。以前はペ
 アで飼育していたのですが、残念ながら2010年2月にメスが死亡し、オス1羽
 だけになっています。

  エリマキシギは、年に2回春と秋に羽毛が抜け変わります。これを換羽(か
 んう)といいます。そして春の換羽後の姿を「夏羽」、秋の換羽後の姿を「冬
 羽」と表現します。
  オスは「夏羽」になると、その名のとおり「えりまき」のように見える長い
 羽毛が首のまわりに生えてきます。羽毛の色は地域や個体によって違うのです
 が、ツル舎で飼育している個体は、体の部分がこげ茶色と白のまだら模様、頭
 は黒で、「えりまき」は赤茶色です。

  「夏羽」になったエリマキシギのオスは、白黒ツートンカラーをしているソ
 リハシセイタカシギの群れの中では大変よく目立つので、すぐに区別がつくと
 思います。そしてしばらく見ていると、奇妙なことに気づくはずです。彼は、
 「えりまき」を拡げ、ソリハシセイタカシギの間を小走りに走りまわりながら、
 ときおり立ち止まっては、ソリハシセイタカシギに向かってお辞儀をするよう
 なかたちで「えりまき」を誇示する行動を繰り返すのです。

  じつは、これはエリマキシギの求愛行動なのです。エリマキシギは、春の繁
 殖期になると決まった場所にオスもメスも集まり、そこでオスたちは互いに競
 い合うように「えりまき」を拡げ、求愛行動をとります。この集合場所と、そ
 こに集まった鳥たちの群れを「レック」といいます。ツル舎のエリマキシギは、
 同居しているソリハシセイタカシギの群れを「レック」と勘違いして、盛んに
 求愛行動を繰り返しているわけです。

  しかし、そんなことは全く分からないソリハシセイタカシギは、黙って座っ
 てそっぽを向いているか、あまりしつこいと立ち上がって逃げ出してしまいま
 す。それでもエリマキシギのほうは延々と同じことを繰り返すのです。

  このように、動物の行動が誤った対象に向けられてしまう現象を「行動の誤
 解発」といいますが、これはある行動をとりたいという欲求が高まっているの
 に、その欲求を満たす正しい対象が存在しない状況では比較的起こりやすい現
 象です。

  動物行動学者のコンラート・ローレンツは、その著書『ソロモンの指環』の
 中で、飼育箱の中で1羽だけで飼われていたオスのハトが、何もない飼育箱の
 片隅に向かって、盛んに求愛行動を示したという事例を紹介し、床板と壁板の
 継ぎ目の「線」が三方から一点に集中する飼育箱の片隅が、視覚的な目標とな
 るからであろうと述べています。

  それにしても、実らぬ恋のために奔走するエリマキシギを眺めていると、そ
 れがやむにやまれぬ本能的行動であって、本人(?)は少しも悲しいとは思っ
 ていないということが分かっていても、少々かわいそうになってきます。何と
 かメスを手に入れることができないかと思案しているところです。

                   〔上野動物園東園飼育展示係 堀秀正〕

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 ▼熊猫的新聞(パンダニュース)──8
   大好物のはず……
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  少し前から八百屋さんやスーパーではタケノコが販売されています。ジャイ
 アントパンダもタケノコが大好きです。上野動物園のジャイアントパンダにも
 2011年5月3日からタケノコの給餌を始めました。

  ヒトの食用タケノコはあまり育ってしまうと苦くて食べられませんよね。
  ジャイアントパンダはタケの葉っぱだけでなく、硬い幹も食べてしまいます。
 そこでパンダにはヒト用より少し大きめのタケノコを用意しています。

  太さ30センチメートル、長さ50センチメートルほどのタケノコを手にした2
 頭は、最初その大きさに少し戸惑ったようで、どのようにもって、どこから齧
 り付いたらよいのかと、四苦八苦しているようすでした。

  ところが、2回目、3回目と与えていくうちに、タケノコを両前足あるいは
 後足まで使って器用に食べられるようになっていきました。

  食べ方も2頭それぞれで、根元から先に向かって食べていくオスのリーリー、
 半分に割ってまずは先の部分から食べるメスのシンシン。どちらもおいしそう
 に食べます。

  では、どこまで大きなタケノコを食べることができるか? パンダ舎裏に生
 えてきたタケノコで実験してみることに。直径25センチ、長さ約2メートル、
 これをタケノコと呼んでよいのだろうか? というような大きさのものを、ま
 ずは四肢を巧みに使いタケノコを操るメスのシンシンに与えてみました。

  シンシンは、2メートルのタケノコの臭いを何度も嗅いだあと、タケノコで
 あると確認できたのでしょう。体全体を使って器用にお腹の上にタケノコをの
 せ、四肢で安定させて、先から40センチくらいのところにかぶりつきました。
 このとき、観察していた飼育係から「オー!!」という感心した歓声が上がりま
 した。しかし、次の瞬間に発せられた言葉は「あれっ??」。なんと食べるこ
 とをあきらめて、横に添えてあるタケの幹を食べ始めたのでした。

  その後、放置された残りのタケノコは、結局夜になって再チャレンジのすえ
 完食されました。

  一方オスのリーリーは、タケノコの大きさに関係なく、根元からボリボリ!
 2メートルをあっという間に食べてしまいました。

                   〔上野動物園東園飼育展示係 倉持浩〕

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 ▼福島からやってきたカワウソを5/24から公開
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  上野動物園は、東日本大震災で大きな被害を受けた福島県いわき市の水族館
 「アクアマリンふくしま」からユーラシアカワウソ2頭を受け入れました。こ
 のカワウソを2011年5月24日(火)から公開します。

  上野動物園に2頭が到着したのは3月17日と25日。オスの「ドナウ」とメス
 の「チロル」です。くわしくは、こちら↓のニュースをごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=18572

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 ▼「水生動物展示施設」(仮称)の公開は秋の予定です
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  上野動物園の東園では、ホッキョクグマ、アザラシ、アシカなどを展示する
 施設「水生動物展示施設」(仮称)の建設工事を進めています。

  東日本大震災の影響によって工事を一時中止しましたが、その後、資材や人
 材の確保が滞り、完成予定を過ぎた今も工事を続けています。

  2011年夏には建物を完成させ、その後、ポンプ等の機械の試験運転をおこな
 ったり、動物を環境に慣れさせたり、さまざまな準備を経て、秋に公開の予定
 です。

  長らくお待たせして申しわけありませんが、公開となる秋まで今しばらくお
 待ちください。

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 ▼アルパカが今年も避暑に旅立ちました
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  上野動物園子ども動物園の人気者、アルパカの「灯」(あかり)と「モコ」
 の2頭が、今年も避暑に出かけました。出発日は2011年5月13日です。子ども
 動物園でクーラーをなるべく使用しないようにするため、去年より約1か月早
 い出発です。2頭の移動については、ウェブニュースですでにお知らせしまし
 た。くわしくは、こちら↓のニュースをごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=18552

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 ▼歯の衛生週間イベント「いい歯いきいき上野動物園行事」
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  上野動物園では、歯の衛生週間(6月4日~10日)にちなんで、毎年人気の
 イベントを開催しています。開催日時は2011年6月5日(日)午前10時から午
 後3時。かむ能力の測定、歯の健康セルフチェック、ミッフィーショー、歯医
 者さんの歯科相談、動物クイズコーナー(動物の頭骨の展示)、動物スタンプ
 ラリーなど、もりだくさん。くわしくは、こちら↓のお知らせをどうぞ。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=18593

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 ▼高碕賞表彰式・受賞記念講演会を開催します
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  2011年5月28日(土)、上野動物園で「高碕賞」の表彰式と受賞記念講演を
 おこないます。表彰式は午後2時から。その後、受賞者による記念講演、およ
 び、カバ来日100年を記念した特別講演会を開催します。

  日時 2011年5月28日(土)午後2~4時
  会場 上野動物園西園「動物園ホール」(定員140名)

  ・受賞記念講演(40分)「初めてのカワネズミの展示」
   (多摩動物公園 菊地文一)

  ・カバ来日100年記念講演(30分)「カバの飼育」
   (上野動物園 井上智右)

  どなたでも参加できます。参加費は無料、お申し込みは不要です(入園料は
 お支払いください。なお、東京動物園友の会会員の方は以外の方は入園無料で
 す)。上野動物園西園にある動物園ホールにお集まりください。くわしくは↓
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=18532

■多摩動物公園■========================================================

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 ▼冬眠から覚めたヤマネ
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  ヤマネの冬眠は、体に蓄えた栄養分だけで半年間も命を維持できます。環境
 の温度に合わせて体温を0度近くまで下げて代謝量を少なくし、さらに手足を
 内側に入れて丸くなることで、なるべく体表面からの放熱を少なくします。

  多摩動物公園ノウサギ舎のヤマネたちは、2010年の春から室外で飼育してい
 ますが、初めての冬に5か月ほど冬眠をしました。
  昨年10月下旬からまったく採食しない日が始まり、11月7日に幅10ミリメー
 トルほどの戸袋にもぐり込んでいたのは、いま思い返せば冬眠場所に選んだの
 でしょう。
  そこで11月9日に、お客さんから見やすいようにアクリルと木の板を張り合
 わせた巣を新たに設置したところ、翌朝には2頭一緒に入っていました。巣の
 すき間は15~25ミリメートルで、少し窮屈そうに見えますが冬眠場所として、
 好んで入ってくれたようです。

  不安定な春の気候の中で、冬眠からうまく目覚めてくれるか不安でした。
  2011年3月下旬に2度餌を食べたので、3月30日の夕方に展示から裏側の小
 ケージに移し、暖房用のオイルヒーターを点けました。

  4月2日からは昼間だけ展示のため外に出すようにし、4月11日からは昼夜
 とも展示ケージに出すようにしました。そして、ゴールデンウィーク中の5月
 4日、日没後の午後6時45分頃に、すばやくフジヅタを移動する姿が観察され
 ました。
                 〔多摩動物公園南園飼育展示係 由村泰雄〕

■葛西臨海水族園■======================================================

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 ▼がんばれ!アクアマリンふくしま
  ──ふくしまから来たオウムガイ
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  葛西臨海水族園では、東日本大震災で被災した福島県の水族館「アクアマリ
 ンふくしま」(ふくしま海洋科学館)の生き物を受け入れています。

  先ず一時的避難として、2011年3月17日にエトピリカとウミガラスを緊急収
 容しました。

  その後、スポッテッドラットフィッシュなどの生き物を譲り受け、一部はす
 でに展示を始めています。これらに加えて、今回新たにオウムガイも展示する
 ことになりましたのでご紹介します。

  オウムガイは3月29日に、アクアマリンふくしまのスタッフ3名によって水
 族園に運ばれてきました。アクアマリンふくしまがある福島県いわき市から東
 京都江戸川区までは、高速道路を乗り継いでもおよそ200キロメートルありま
 す。その距離をトラックの荷台に乗せた活魚タンクに入れて輸送されてきまし
 た。今回の輸送に使われたトラックや活魚タンクなどの機材一式は、水族園か
 ら貸し出したものです。到着した活魚タンク内には、オウムガイのほかにも、
 アメリカカブトガニ、オキナエビスガイ、トリノアシなどが収容されており、
 同時に搬入作業をおこないました。

  オウムガイは、新しい環境に慣らすため、しばらくの間バックヤード(水族
 園の裏側にある水槽)で飼っていましたが、飼育経過は良好なので、5月12日
 から展示水槽に移しました。

  オウムガイは、「東京の海」エリアで、同じくアクアマリンふくしまから譲
 られたアメリカカブトガニと並べて展示しています。現在開催中のアクアマリ
 ンふくしま応援イベントの一つです。生物の状態によって、展示内容を変更す
 る場合がありますので、あらかじめご了承下さい。
  今回の大変な災害にも負けなかったオウムガイたちの元気な姿を、ぜひごら
 んいただきたいと思います。

 ・応援イベント「がんばれ!アクアマリンふくしま──海と人がつなぐ ふく
  しま 東京」についてはこちら↓のお知らせをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=18239

                   〔葛西臨海水族園調査係 小野瀬拓也〕

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 ▼「まる」のコノシロをよく見てみよう!
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  2011年4月29日の東京ズーネットニュース「江戸前の魚にご注目!」でご紹
 介したコノシロが、葛西臨海水族園「東京湾の漁業」水槽に仲間入りしました。

  コノシロはイワシやアナゴ、カレイなどと並んで江戸前の魚の代表ですが、
 にぎり鮨の「コハダ」の呼び名のほうがなじみのある方が多いことでしょう。

  また、大きくなるにつれて名前が変わる出世魚としても知られています。体
 長4センチメートルほどで「シンコ」、次に「コハダ」、そして15センチメー
 トルくらいから「コノシロ」と呼ばれ、25センチメートルほどに成長します。

  私たち日本人と古くから関わりのある魚なのですが、ふだんはにぎり鮨とし
 て出会うばかりです。そこでこの機会に、切り身でないまるのままの生きたコ
 ノシロを、水槽で観察することをお勧めします。

  まずはコノシロを探してみましょう。水槽にはマイワシとマアジ、カライワ
 シも泳いでいますが、見つけるポイントはすしネタ「コハダ」の色ともようで
 す。銀白色の肌にきれいに並んだ黒色の点々もようを思い出してください。

  無事に見つけることができたら、胸びれと腹びれに注目してみましょう。こ
 れらのひれは体の左右に1枚ずつあり、泳ぐときに閉じたり開いたり向きを変
 えたりして、体のバランスをとる役目をしています。さらに、ひれの位置をよ
 く見てみると、胸びれはえらの下あたり、腹びれは少しうしろに離れ、おなか
 の真ん中くらいにあります。では同じ水槽の中のマイワシとマアジ、カライワ
 シはどうでしょうか? これらの魚のうちマアジだけ、胸びれのすぐ近くに腹
 びれがあることがわかります。両方のひれが近くについていることで、4枚の
 ひれがうまく連動して急な方向転換など複雑な泳ぎができるようになります。

  コノシロはマイワシと同じように小さなプランクトンを食べているため、ブ
 ラインシュリンプという生きたプランクトンなどを餌に与えていますが、まだ
 水槽に慣れていないためか、食べ方に勢いがありません。でも、しばらくすれ
 ば元気よく餌を食べてくれるでしょう。さらに、「モグモグペッ」という行動
 も見られるようになるかもしれません。これをお知りになりたい方は、2002年
 11月29日のニュース「コノシロの砂食い」をごらんください。

 ・ニュース「江戸前の魚にご注目!」
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=18275

 ・ニュース「コノシロの砂食い」
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=236

                   〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕

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 ▼5/28 スタッフトーク「ひれから見る水族園の楽しみ方!!」
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  葛西臨海水族園の「スタッフトーク」は、毎月第2・第4土曜日の催し物。
 葛西臨海水族園で飼育展示している生き物や水族園の仕事など、ふだん聞けな
 い話をスタッフが楽しくお伝えします!

  今回のテーマは「ひれから見る水族園の楽しみ方!!」

  みなさんは水族園でどのように生き物を見ていますか? 何かテーマをもっ
 て観察してみると、今まで気づかなかった新しい発見があるかもしれません。
 今回のテーマは、魚の「ひれと泳ぎ」。ひれの形には何か意味があるの? 泳
 ぐ以外にも何か役に立っているの? スタッフトークで、水族園をもっともっ
 と楽しむためのポイント見つけてみてください。

   日時 2011年5月28日(土)午後3時から3時30分
   場所 本館2階レクチャールーム

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 ▼6/19「観音崎・磯の生物観察会」参加者募集
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  潮のひいた磯で生き物を探索してみませんか? 葛西臨海水族園では、夏の
 企画として、観音崎自然博物館といっしょに「磯の生物観察会」をおこないま
 す。磯や潮だまりで見られるハゼやカニ、ウミウシ、ヒトデ、ウニなどをじっ
 くり観察しましょう。生き物やそのくらしについてスタッフがわかりやすく解
 説します。開催日は2011年6月19日(日)。事前申込制です。くわしくは↓
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=18512

■井の頭自然文化園■====================================================

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 ▼アジアゾウはな子の近況[1]
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  1949(昭和24)年9月にタイから日本に贈られたアジアゾウの「はな子」は、
 今、日本の動物園で飼われているゾウのなかで、一番長生きのゾウになりまし
 た。1947年生まれということはわかっていますが、正確な誕生日が不明なため、
 毎年、年が明けると1歳年をとることにしています。ですから2011年の今年で
 64歳になります。日本の動物園のゾウ長寿記録は神戸市王子動物園で飼われて
 いたアジアゾウのすわ子が樹立した65歳です。はな子も来年のお正月になれば、
 長寿記録に並ぶことができます。おかげさまではな子の体調は良好です。

  昨年、はな子の大きさをみなさんに実感していただこうと放飼場の右に実物
 大写真を掲示しました。この写真は1年半ほど前に撮影したものですが、腰の
 あたりを見ると今のほうがふっくらしているのがわかります。はな子の主食は
 皮をむいたバナナですが、鼻でバナナをつまみ、口の中に放りこむように食べ
 る姿は食欲良好の証拠でしょう。

  しかし、若いゾウにくらべれば皮膚の新陳代謝が悪かったりしますので、や
 はり年をとっているように見えます。

  性格も我が道を行くといった感じで、自分の思い通りになればよいのですが、
 気に入らないことは、自分のまわりから排除しようとする傾向が、ここ数年、
 強くなってきました。気にさわることがあるとちゃんと覚えていて、毎日はな
 子の世話をする飼育担当者にも、「嫌なことをしたあなたは嫌いです」と鼻を
 振って感情を表します。体の大きなゾウの力に人は逆らえません。鼻のあたり
 どころが悪ければ、大きな事故にもなりかねません。

  はな子はおとなしいゾウですが、人に飼いならされたイヌやネコと同じでは
 ありません。野生動物としての一面も持っています。

  そこで、飼育担当者にとって安全で、はな子にとっても今までと同じような世
 話を受けることができる方法を考えることにしました。飼育担当者が身を守るす
 べもなく、はな子と同じ空間にいることが事故の直接の原因になります。はな子
 と飼育担当者の直接的なふれあいは来園者の人気も高いのですが、安全のために、
 今までのような同じ空間でのふれあいから、柵を介したふれあいに移行していく
 計画です。

  はな子と飼育担当者とのふれあいを楽しみに来られるお客さんには、大変申し
 訳ないのですが、ご理解いただきたいと思います。

  今後もはな子が健康で長生きするように万全の注意を払い、日々の飼育にのぞ
 みたいと思います。これからもこの欄を使ってはな子の近況をみなさんにお伝え
 していきますので、楽しみにしてください。

                     〔井の頭自然文化園園長 成島悦雄〕

■ B O O K S ■=========================================================

 『水族館をつくる──うおのぞきから環境展示へ』(ベルソーブックス039)

            アクアマリンふくしま館長・安部義孝著、成山堂書店
          2011年03月28日刊、本体1,800円、ISBN978-4-425-85381-6

  1964年から3つの水族館の開館と運営を経験してきた著者による水族館論。
 上野動物園水族館で19年間飼育係員として過ごした著者は、1989年に開園した
 葛西臨海水族園の構想、計画、建設、開館、運営にたずさわった後、2000年に
 開館したふくしま海洋科学館(アクアマリンふくしま)でもやはり計画段階か
 らたずさわり、今にいたっています。

  本文では水族館と動物園との対比や水産業との関わりを紹介した後、世界各
 地の水族館を見聞した体験から、パフォーマンス水族館やウォーターフロント
 再開発型水族館など、各種の類型化による解説がおこなわれ、その後、日本の
 水族館について歴史や施設の特徴が概説されています。

  短めの第3章では水族館で働くことに焦点があてられ、職員数や飼育係員の
 特性、またその一日の仕事内容などが紹介されています。第4章は水環境整備
 の解説であり、水質の管理、環境展示のための水槽デザインなどについて、上
 野動物園や葛西臨海水族園の実例をもとに紹介されています。

  第5章ではさらに深く施設の成立や現状を述べ、上野、葛西、ふくしまのコ
 ンセプトや建設、事業や経営の特性などが解説されていますが、それぞれの施
 設につけられた「生きた博物館」「生態水族館」「環境水族館」という属性が、
 著者の理念と各水族館の在り方を象徴しています。

  第6章「チャレンジ」では、葛西でのマグロ展示と七つの海での採集行、そ
 して、ふくしまでのシーラカンス生態解明への取組が詳しく紹介されています。
 最終章では、地域の生態系展示、異ジャンル交流、新展示開発、環境芸術路線、
 そして、動物園と水族館の垣根を低くすることなど、水族館の課題や今後の展
 望について、著者が実現してきたことを含めて描かれています。

  なお、著者脱稿後、アクアマリンふくしまは震災によって大きな被害を受け
 ました。その復興を支援するため、本書の売上の一部は、版元からアクアマリ
 ンふくしまに寄付されます。

 ・成山堂書店 http://www.seizando.co.jp/ の書籍紹介ページ
   http://www.seizando.co.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=1155

 ・アクアマリンふくしまの復興日記 http://blogs.yahoo.co.jp/fukushimaaqua

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▽本文中にしめしたリンクによって表示されるページには、ほかのページへの移
 動リンクが含まれていない場合があります。とくに東京ズーネットの「どうぶ
 つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
  http://www.tokyo-zoo.net/search/ から検索してください。

▽ズー・エクスプレスでは、みなさんからのおたよりを募集しています。匿名や
 ペンネーム希望の方はその旨をおつたえください。 webmaster@tokyo-zoo.net
 まで。ご意見・ご要望・お問い合わせもこのアドレスまでどうぞ。

▽メール配信先変更、配信停止は下記URLにてお願いいたします。配信先の変
 更をご希望の方は、いったん解除をおこない、あらためて新アドレスを登録し
 てください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/

▽編集後記

 ◎葛西や上野をはじめ、各地の園館に引き取られたアクアマリンふくしまの生
  き物たちには、頑張ってたくましく生きてほしいですね。鴨川や新潟市から
  は繁殖のニュースも届いていて命の力を感じました。       (萩埜)

 ○アルパカは先週避暑に出発。東京は気温上昇中……。次の週末(5月28日)
  は高碕賞表彰式と受賞記念講演会です。講演のテーマはカワネズミの展示。
  あわせて、来日 100周年にちなみカバのお話を担当者から。水中でも活動す
  る動物の講演2題で涼がとれる、かも。             (大平)

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メールマガジン ZooExpress No.537 - 2011年05月21日
公益財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL  : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
携帯サイト: http://www.tokyo-zoo.net/ (PC版と同じです)
(c)2011 Tokyo Zoological Park Society
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