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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.519 - 2010年12月24日
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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」
・妊娠確定。
・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どうぶ
つと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジットカー
ド&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/
■目次■----------------------------------------------------------------
・上野動物園
├─アジアゾウ「アーシャー」の妊娠を確認
├─バードハウス2階のニューフェイス
├─コウノトリを不忍池のほとりから柳島に移動
└─2011年に向けてカイウサギ3品種登場
・多摩動物公園
├─コツメカワウソの子どもたち、元気に成長中
├─チーター、キキョウ親子のその後
├─ユキヒョウ「ユッコ」の運動場デビュー
├─「野生動物を守る──地域と動物園の連携」をテーマにフォーラム開催
├─この冬も開催「サイエンズーカフェ」
└─昆虫野外観察会参加者募集
・葛西臨海水族園
├─見どころいっぱい、「カナダ沿岸」水槽にクチバシカジカ新登場!
├─海底に立つ羽ペン、オレンジシーペン
├─続・新たな視点で見てみると(25)
│ ……海にはクロマグロ、森にはクロウサギ
└─水族園のお正月イベント第2弾!──「新春福引き」と「魚漢字検定」
・井の頭自然文化園
└─アジアゾウ「はな子」64歳のお祝い会
・東京動物園協会
└─嘱託員を募集します
■上野動物園■==========================================================
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▼アジアゾウ「アーシャー」の妊娠を確認
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下記ニュースで、2009年10月に上野動物園から愛知県の豊橋総合動植物公園
へお嫁入りしたメスのアジアゾウ「アーシャー」(推定33歳)が妊娠している
可能性が高いことをご報告しました。今回、アーシャーの妊娠を確認すること
ができました。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=15957
アーシャーとオスのアジアゾウ「ダーナ」(推定39歳)の相性はよく、順調
にペアリングを試みていました。2009年12月に交尾を確認したあと、2010年8
月まで発情兆候が見られませんでした。また、毎週1回測定している糞尿中の
黄体ホルモン(プロゲステロン)値が、妊娠していなければ下がるべき時期を
過ぎても高い値を維持していました。このことから、アーシャーが妊娠してい
る可能性があることは確認していました。
2010年12月13日、豊橋総合動植物公園で超音波検査を行い、おなかの中をの
ようすを観察したところ、胎児の姿を確認! アーシャーの妊娠が確定しまし
た。順調にいけば、2011年秋ごろに出産予定です。
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▼バードハウス2階のニューフェイス
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上野動物園東園のバードハウス2階で、ガラス展示室に2010年12月13日から
ニューフェイスが仲間入りしたのでお知らせします。
入って右側最初の1号室には、ルリゴシボタンインコの大群のみ展示してい
ましたが、コミドリコンゴウインコのメス1羽がお目見えしました。ルリゴシ
ボタンインコより二回りほど大きくて、同じように緑色のインコです。南米原
産のコンゴウインコのなかまで、アフリカ原産のルリゴシボタンインコとは生
息地が違いますが、大きなトラブルもなく一定の距離を保ちながら仲良く暮ら
しています。
このコミドリコンゴウインコはバックヤードの鳥かごで飼育していましたが、
少しでも広い場所で見ていただこうと展示しました。
左隣の2号室はサトウチョウのみを展示していましたが、カンムリシャコの
ペアを同居させました。このカンムリシャコは、そのまた左隣の3号室で展示
していたペアです。引越したばかりのときは植物の陰に隠れてじっとしていま
したが、しばらくすると新居に慣れて元気に歩きだしました。
3号室は、今回の展示替えで特に変化があった部屋です。新顔はニシムラサ
キエボシドリとミノバトで、この2羽もこれまでバックヤードで飼育していま
した。ミノバトは、以前屋外にあるバードケージで展示していましたが、老齢
になり、屋外の寒さがこたえるようになったため、室内で飼育していました。
今回の展示替えにともない、室内の暖かい部屋を使えるようになったので再登
場させました。 ニシムラサキエボシドリはバードケージで現在ペアが展示さ
れていますが、エボシドリのなかまはペアができると同種のほかの個体を攻撃
するため、この1羽を裏側に隔離していたのです。
最後に4号室にも新顔です。オオコノハズクというフクロウのなかまです。
比較的小柄なフクロウで、体長は25センチメートルほどです。夜行性の猛禽類
なので、日中はほとんど動かずにじっとしています。森の木々に似せた目立た
ない羽で覆われていて、野生でも木の洞に隠れています。展示室内で見つける
のが少々難しいかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください。
バードハウス2階では、こうした展示替えを含め、さまざまな工夫をしてい
ます。また、新しい顔ぶれが登場したときに紹介します。
〔上野動物園東園飼育展示係 田口眞隆〕
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▼コウノトリを不忍池のほとりから柳島に移動
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2010年12月6日に上野動物園西園のニホンコウノトリを不忍池の中にうかぶ
柳島へ移動しました。このコウノトリは、不忍池ほとりのケージ内で飼育して
いましたが、かねてより柳島へ放す計画がありようやく実現しました。移動し
たコウノトリは、柳島だけにとどまらず、弁天橋まで浅瀬を歩いて近づいてく
るようにもなりました。そんな姿をみると一瞬、野生のコウノトリがいるのか
と錯覚してしまいます。
ニホンコウノトリは特別天然記念物に指定され、国内の野生下では一度姿を
消してしまいましたが、その後、動物園等で飼育繁殖に取り組み、兵庫県立コ
ウノトリの郷公園では、繁殖とともに野生に放す試みも着々とおこなっていま
す。
東京では多摩動物公園が1988年に飼育下で初めて繁殖に成功し、野生復帰の
ための重要な役割をになっています。今回移動した2羽のコウノトリたちもそ
んな多摩生まれの個体です。
今回移動するに当たり、いろいろな準備がありました。まず島の整備です。
夏場に足の踏み場もないほど繁茂した島内の植物を根まで掘り取り、さらに止
まり木となるような木を設置して、姿を隠せる植物も植えました。
また、ケージ内のコウノトリたちには、移動先で使用するために作製した餌
筒に慣らすことも並行しておこないました。餌筒は、カラスなどの野鳥が簡単
に餌を横取りできないつくりにしてあります。
準備を整え6日に移動したところ、予想外の事態が起こりました。1羽がも
う1羽を追い回し始めたのです。今までは囲われた空間で生活しており、2羽
の関係も穏やかでしたが、今回移動した島では囲いのない広々としたスペース
があるので、2羽の間に強弱関係が現れたのです。追い回した鳥は島内を散策
し、新しい場所を覚え、早々に慣れ始めましたが、追い回された方は固まって
しまい、しばらくは1か所にじっとしていました。
群れ生活をしない種類の鳥には、それぞれ干渉されたくない空間があります。
広い空間に移動した現在では、強い個体が干渉されたくない空間を主張するよ
うになったようです。今後、島に個体を追加してこの問題を解消していくつも
りです。
〔上野動物園西園飼育展示係 齋藤圭史〕
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▼2011年に向けてカイウサギ3品種登場
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上野動物園子ども動物園では、2011年のうさぎ年にちなんで新しいウサギの
なかまを迎えました。みなさんとのふれあいはもう少し先になりそうですが、
人なつっこい5頭を紹介します。
5頭とも生まれてからまだ1年もたっていない子ウサギたちで、ネザーラン
ドドワーフという種類のオス1頭とメス2頭、ホーランドロップのメスが2頭、
ミニレッキスのメスが1頭です。
ドワーフのメス2頭は同じ部屋でなかよくくらしています。周りのものすべ
てに興味津々で、人に対しても怖がることもなく、走り寄ってきては小さな前
足をこちらの体にもたせかけ「なになにっ?!」といった感じで鼻を近づけてき
ます。
ロップ2頭とレッキスは同じ部屋で生活しています。最初一緒にしたときは
お互いに追いかけまわし、これは別々にしたほうがよいかもしれないと考えま
した。しかし、少しすると部屋の隅と隅で落ち着き、それから数日たった今で
は、お互いを枕にするように寄り添って寝ていたりします。この3頭はとにか
く食欲旺盛で、ひとつのお皿に一緒に顔を突っ込んでもりもり食べています。
さらにはジャンボななかまが加わりました。その名もジャンボウサギです。
フレミッシュジャイアントのオスが1頭と、秋田ジャンボのオス1頭メス1頭
です。3頭は「ウサギとモルモットのお家」前で3頭一緒に生活しています。
外に出すと、朝から一生懸命に穴を掘るので放飼場は穴だらけ。穴掘りに疲れ
ると、互いに体を寄せ合って寝たり、大きな体を穴に横たえて休んだりしてい
ます。すぐ近くにはもう一つのウサギ広場がありますので、そこにいるウサギ
たちと見比べてみてください。見ただけではっきり違いますが、体重はなんと
4キログラムも違います。でもじつは、ジャンボウサギたちはまだまだ子ども
で、これから大きくなると10キログラムほどにもなります。ちなみに広場のウ
サギたちは立派な大人で、もう大きくなることはありません。ますますにぎや
かになったウサギのなかまたちをぜひ見に来てください。
なお、このウサギたちは、干支展開催中の2011年1月30日(日)までは、会
場の西園「ズーポケット」でごらんください。時間は午前10時から午後3時ま
でです(干支展についてはこちら↓)。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16491
〔上野動物園子ども動物園係 島村直子〕
■多摩動物公園■========================================================
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▼コツメカワウソの子どもたち、元気に成長中
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多摩動物公園では2010年11月12日、コツメカワウソが6頭誕生しました。残
念ながら、1頭は11月24日に死亡してしまいました。死因は肺炎でしたが、胃
袋の中にはミルクもいっぱい入っており、死亡直前までしっかりと母乳を飲ん
でいたようです(コツメカワウソ誕生ニュース↓)
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=16518
他の5頭は、体重に差があるものの順調に成長しています。11月18日に 108
~149グラムだった体重も、12月20日には430~545グラムになりました。
いちばん体重が軽い子の目が開いたのは生後17日目の11月29日でしたが、も
っとも体重の重い子はなかなか目が開かず、12月20日にやっと開眼しました。
体重計測時にも反応のとぼしかった子どもたちですが、最近は体をつかむと、
「ピャーピャー」と元気よく鳴くようになってきました。体重計測時には、子
どもたちの親や兄姉を外に出すのですが、中で子どもが鳴くと、お母さんのカ
ワちゃんが「うちの子に何するの!!」と言わんばかりのいきおいで、ガンガン
と音を立てながら扉をこじ開けようとします。扉を開けてやると、カワちゃん
は「シャッシャッ」という警戒音を出しながら、まっしぐらに子どものもとに
駆け寄ります。
この記事を書いている時点(2010年12月20日)では、まだまだ頼りなげな子
どもたちですが、お母さんの愛情を受けて、さらにしっかりしていくことでし
ょう。まもなく放飼場にデビューします。今しばらくお待ちください。
・東京ズーネットBBの動画から
「元気なコツメカワウソ一家」(2010年1月撮影)
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/1007_02/index.html
「コツメカワウソの親子」(2010年7月撮影)
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/1001_02/index.html
〔多摩動物公園南園飼育展示係 大橋直哉〕
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▼チーター、キキョウ親子のその後
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2009年に母親「キキョウ」から生まれたチーターの子どもたちは、2010年9
月で1歳になりました。今回は子どもたちのこれまでのようすについてお話し
します(誕生関連ニュースはこちら↓)。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12772
現在キキョウ親子は大放飼場と呼ばれる広い運動場にいます。子どもたちの
体も大きくなり、遠目には親子の区別が難しくなってきました。しかし中身は
まだ幼いようで、落ち着いている母親とは対照的に場内を元気に遊びまわって
います。
じつはこの大放飼場に親子を出すには苦戦しました。9月29日に今まで過ご
してきたガラス放飼場との行き来を自由にしてみると、初めは物珍しげにして
いましたが、やはり落ち着かないようで、大放飼場ではあまり過ごしていませ
んでした。
翌日ふたたび出しましたが、全頭を部屋に収容したときは、あたりが真っ暗
になってしまいました。どうやら子どもたちが、部屋と大放飼場の間にあるセ
カンドキャッチを警戒して帰ってこられなかったようです。セカンドキャッチ
とは脱出防止のための柵や一時的に動物を収容しておく場所などをいいますが、
そこに付けられた電動扉を子どもたちが怖がったようです。
セカンドキャッチや電動扉に慣れてもらうために、それから約半月間、子ど
もたちのトレーニングをおこないました。部屋とセカンドキャッチを自由に行
き来させ、セカンドキャッチの中で餌を与える、といった方法です。
10月13日、子どもたちもかなり慣れてきたように見えたので、再度大放飼場
へ出してみました。前回もそうだったのですが、最後までセカンドキャッチに
入ることができなかったのはメスの子「ソニア」で、1頭取り残されて不安だ
ったのか、収容に1時間もかかってしまいました。最終的にはキキョウをもう
一度外に出して迎えにいかせたのですが、そろそろ子どもに関心が無くなりは
じめた時期のためか、簡単に連れ帰ってはくれませんでした。
その後、部屋を出る際、セカンドキャッチ内、放飼場内へとこまめに餌を与
えると出入りもスムーズになり、10月21日にようやく餌がなくても部屋と放飼
場の行き来ができるようになりなした。
現在子どもは1歳4か月で、母親から離れて独り立ちをしていく準備をして
います。大人へと近づいていく子どもたちを応援してください。
〔多摩動物公園北園飼育展示係 野本寛二〕
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▼ユキヒョウ「ユッコ」の運動場デビュー
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北海道の円山動物園から来園したユキヒョウの「ユッコ」(1歳、メス)は、
動物病院で約3週間の検疫を終え、2010年12月8日にユキヒョウ舎にやってき
ました(来園のニュースはこちら↓)。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=16459
初日は、知らない場所で知らないユキヒョウたちの気配にちょっと警戒して
いるようすでした。ユキヒョウは警戒すると動かなくなってしまう個体も多い
のですが、ユッコの場合は初日から割とよく動き、餌もよく食べました。
数日間、非公開の運動場で外に出る練習をして、12月15日の休園日に出して
みたところ、体を低くしあちこちの匂いを嗅いでいましたが、そのうち高い岩
の上で落ち着いたようでした。「これなら大丈夫だろう」と開園日に出してみ
たのですが、休園日にはないシャトルバスの運行や園内放送にびっくりしてし
まったようです。しかし、今ではそれにも慣れて気にしなくなりました。
ユキヒョウは、野生では最低気温がマイナス20℃を下回るような場所でくら
しており、寒さから身を守るために厚い毛でおおわれています。そんなユキヒ
ョウたちのために、多摩動物公園のユキヒョウ舎は、園内でも一番といってい
いほど寒い場所にあります。おかげで人間の方はこの季節、つま先どころか膝
まで痺れてしまう寒さですが、ユキヒョウたちは今が一番元気ですので、防寒
対策をバッチリして、ぜひ、ユッコやほかのユキヒョウたちに会いに来てくだ
さい。
ユキヒョウは、交代で運動場に出ているため、ユッコをごらんになれない場
合があります。ご了承ください。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 高村里美〕
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▼「野生動物を守る──地域と動物園の連携」をテーマにフォーラム開催
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多摩動物公園では「野生動物を守る──地域と動物園の連携」をテーマに、
「保全フォーラム」を開催します。ヒトと野生動物との共存をはかりながら保
全活動を進めている地域の実情と、各自治体や動物園の取り組みなどについて
紹介し、野生動物の種の保全に取り組む動物園にとって重要な「地域との連携」
について考えます。くわしくは、こちら↓のお知らせをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16632
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▼この冬も開催「サイエンズーカフェ」
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サイエンスカフェとは、カフェのような場所で科学について気軽に語り合う
場。1998年にイギリスで開催された後、世界的に広がり、2004年ごろから日本
でも開催されるようになりました。今回は「ベテラン職員と語ろう──苦労話
から知る、動物園の楽しみ方」というテーマで開催します。日時や応募方法な
ど、くわしくはこちら↓のお知らせをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16795
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▼昆虫野外観察会参加者募集
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毎年恒例の昆虫野外観察会。今回は「冬の森に入ってカブト・クワガタを探
してみよう!!」がテーマです。カブトムシやクワガタが、冬の間どんな状態で、
どんなところにいるのかを観察します。要申込。日にちは2011年2月27日(日)、
多摩動物公園内および七生公園で開催します。くわしくはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16794
■葛西臨海水族園■======================================================
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▼見どころいっぱい、「カナダ沿岸」水槽にクチバシカジカ新登場!
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葛西臨海水族園、世界の海エリアの一番目にある「カナダ沿岸」水槽で、あ
らたにクチバシカジカを展示しました。
クチバシカジカは、その名の通りクチバシのような口をもっていて、顔はま
るでイノシシのようです。ふだんは泳ぎまわらず、岩や砂の上を大きな胸びれ
を使って歩くように移動します。
また海中で大きなフジツボの殻に入ることが知られています。これは、殻に
入って自分の身を守るだけでなく、フジツボになりきって、餌となる小さな生
きものを待ち伏せしているといわれています。水族園の水槽でも、大きなフジ
ツボの殻を入れて展示しています。クチバシカジカは一日中殻を出入りしてい
るので、タイミングがいいと、殻から顔を出す姿を見ることができます。
「カナダ沿岸」水槽には、クチバシカジカのほかにもまだまだたくさんの見
どころがあります。悠々と泳ぐシャイナーサーフパーチ(ウミタナゴのなかま)
や壁一面についたストロベリーアネモネ(ホネナシサンゴのなかま)、砂に突
き刺さって立つエキセントリックサンドダラー(ウニのなかま)など。クチバ
シカジカが加わってさらに見どころが増えた「カナダ沿岸」水槽ぜひ見に来て
ください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 中沢純一〕
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▼海底に立つ羽ペン、オレンジシーペン
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葛西臨海水族園では、深海エリアの最後の水槽にオレンジシーペンを展示し
ています。砂地に林立しているオレンジ色の羽ペンのようなものがオレンジシ
ーペンです。
刺胞動物のひとつであるウミエラのなかまで、アラスカからカリフォルニア
にかけての北米西岸に分布しており、名前は英語でオレンジ色をした海のペン
という意味になります。
ウミエラのなかまは、体の下半分で砂を掘って立ち上がり、上半分をまるで
羽ペンの羽根のような形に広げます。この羽根の部分は「葉状体」と呼ばれ、
クシの歯のような形状をしています。
オレンジシーペンは潮の流れが強い砂底で立ちあがり、流れてくるプランク
トンなどを餌にしようと待ち構えています。葉状体にはポリプというものがび
っしり並んでいますが、このポリプがもつ触手で流れてくる小さな餌を捕まえ
て食べているのです。
水族園では、水槽の中に水の流れをつけ、主に甲殻類のアルテミアの幼生を
流して与えています。
水槽のオレンジシーペンでは、夜餌を与えないので、朝はまだ砂に潜ったり
縮まったりしていますが、開園直後から一日かけて何回も餌を与えると、ゆっ
くりと体を開いていくので、朝よりも午後の方が立派な姿を見ることができ、
独特な体のつくりもよく観察できます。
20個ほどのオレンジシーペンが砂地に林立した不思議な光景をぜひ一度ごら
んください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕
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▼続・新たな視点で見てみると(25)
──海にはクロマグロ、森にはクロウサギ
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2010年も残りわずかとなりました。来年は卯年ということで、今回はウサギ
の話題です。
今年10月、奄美大島で開催された「クロマグロの養殖に関する国際シンポジ
ウム」に参加してきました。じつは奄美大島はクロマグロ養殖のメッカなので
す。南部の瀬戸内町には、クロマグロの養殖・研究施設が多くあります。冬で
も気温が20℃程度までしか下がらない暖かくて綺麗な海水、養殖いけすを風波
から守ってくれる入り組んだ海岸線、そして大島海峡を挟んだ加計呂麻島が天
然の防波堤となって台風から守ってくれるなど、マグロの養殖に適した条件が
そろっているのです。葛西臨海水族園のマグロの一部もここから運んでいます。
シンポジウムの発表は、日本のマグロに関することはもちろん、地中海やメ
キシコでのクロマグロ養殖の話やオーストラリアのミナミマグロ養殖について
の最新事情など、興味深い話題が多くありました。
さて、シンポジウム終了後、奄美大島特有の生物を見たくて夜の森に入りま
した。一番のねらいは、国の特別天然記念物で環境省レッドリストの絶滅危惧
IB類に指定されているアマミノクロウサギです。以前にも何度か姿を見たこと
はあるのですが、いずれも一瞬の出会いに終わっていました。今回はシーズン
が良かったのか、一晩で8匹のクロウサギに出会い(もちろん同じ個体を何度
も数えている可能性がありますが)、撮影することもできました。
◎アマミノクロウサギ動画
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2010_12/amami_rabbit.wmv
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2010_12/amami_rabbit.mov
ウサギの足の裏には、犬や猫のような肉球が無く、毛が密集して生えていま
す。アマミノクロウサギの足の裏もいちめん毛に覆われていて、撮影をしてい
るときには「あ~っ、あの足の裏、さわってみたい!」と感じていました。そ
の後、機会があり、ふかふかのフェルトのような足の裏をさわることができま
したが、しかし、あの温暖な島で、なぜあんなに暑そうな毛皮をしているので
しょうか?
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
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▼水族園のお正月イベント第2弾!──「新春福引き」と「魚漢字検定」
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下記リンクで葛西臨海水族園の新年イベントのお知らせをしました。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16493
さらにお正月イベントを二つ追加します。「裏側ツアー」もあたる「新春福
引き」、そして「魚漢字検定」です。くわしくはこちら↓をごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16793
■井の頭自然文化園■====================================================
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▼アジアゾウ「はな子」64歳のお祝い会
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井の頭自然文化園でくらしているアジアゾウの「はな子」は、2011年の元旦
で64歳を迎えます。はな子は何月何日に生まれたか、はっきりとしないため、
元旦を誕生日とみなしています。つまり、年が明けると一つ歳を重ねることに
なります。
元旦には、飼育係が手作りの特製ケーキでお祝いをしますが、ぜひみなさん
にもお祝いしていただこうと考え、2011年1月29日に、ちょっと遅いお祝い会
を開催することにしました! また、お祝い会にあわせて、園内ではな子への
お祝いメッセージを募集します。
日時 2011年1月29日(土)午後1時から約1時間
場所 井の頭自然文化園本園ゾウ舎前
※くわしくはこちら↓のお知らせをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16792
■東京動物園協会■======================================================
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▼嘱託員を募集します
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公益財団法人東京動物園協会では現在、嘱託員(案内スタッフ・販売スタッ
フ)を募集しています。
応募資格、募集人員、採用時期、勤務地、勤務条件、選考方法、応募方法な
ど、詳細については、東京動物園協会のウェブサイトの「採用情報」をごらん
ください。
・公益財団法人東京動物園協会 http://www.tzps.or.jp/
・同サイト内採用情報 http://www.tzps.or.jp/recruit/
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▽本文中にしめしたリンクによって表示されるページには、ほかのページへの移
動リンクが含まれていない場合があります。とくに東京ズーネットの「どうぶ
つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
http://www.tokyo-zoo.net/search/ から検索してください。
▽ズー・エクスプレスでは、みなさんからのおたよりを募集しています。匿名や
ペンネーム希望の方はその旨をおつたえください。 webmaster@tokyo-zoo.net
まで。ご意見・ご要望・お問い合わせもこのアドレスまでどうぞ。
▽メール配信先変更、配信停止は下記URLにてお願いいたします。配信先の変
更をご希望の方は、いったん解除をおこない、あらためて新アドレスを登録し
てください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/
▽編集後記
◎またまたウサギの話題。私子どものころは、幼稚園のウサギと1本のニンジ
ンを分け合うほどの仲だったのですが、大人になってある職場でより深い付
き合いをした結果、ウサギアレルギーになってしまいました。今の特技は、
触らずに、ウサギの毛のストールとフェイクファーをくしゃみで判別できる
ことです。 (萩埜)
○今くしゃみが聞こえたような? ウサギ年賀状ページ、できております。年
賀状にご利用ください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=16712
○次回配信で2010年もおしまい。上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、
井の頭自然文化園は、いずれも2010年12月29日からお休み。そして、1月2
日から開園します。好天を祈りつつ。 (大平)
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=16563
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メールマガジン ZooExpress No.519 - 2010年12月24日
公益財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
携帯サイト: http://www.tokyo-zoo.net/ (PC版と同じです)
(c)2010 Tokyo Zoological Park Society
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