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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.476 - 2010年03月05日
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■目次■----------------------------------------------------------------
・上野動物園
├─新展示「ひよことたまごのふしぎ」
├─春休みのイベント満開&満載!
├─国際博物館の日記念セミナー「上野の山でツルめぐり」
└─両生爬虫類館のキーパーズトークの時間が変わりました
・多摩動物公園
├─チンパンジーに生の木を!!
├─3月の観察デーは、アフリカゾウ「マコ」を観察
└─春休みクイズラリー「形いろいろ、くらしいろいろ」
・葛西臨海水族園
└─「ちゃんとお風呂に入りなさい!」
……「ペンギンの生態」プール補修工事中のできごと
・井の頭自然文化園
└─カワウソワークショップ「ニホンカワウソに学ぶ希少動物保護」開催
・書籍紹介──写真と文=大西信吾
『ゾウと巡る季節──ミャンマーの森に息づく巨獣と人びとの営み』
■上野動物園■==========================================================
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▼新展示「ひよことたまごのふしぎ」
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上野動物園の子ども動物園にある「なかよし広場」では、以前から「孵卵器」
(卵を人工的に孵化させる機械)を使った展示をおこなってきました。
このたび、孵卵器の場所を「なかよし広場」内で少し移動させ、生きたヒヨ
コを加えてリニューアルオープン!
孵卵器の展示自体は、これまでにもおこなってきました。卵を温め、21日す
るとヒヨコが生まれます。孵化の際、中のヒヨコはくちばしを使って殻をつつ
いて割ろうとします(「はし打ち」と呼ばれる行動ですね)。
ヒヨコがはし打ちを始めると、そのようすをじっと観察し、生命の誕生の瞬
間を待つ方々から応援の声があがります。私たち飼育係にとっても、命の誕生
は何度見ても感動するものです。
生まれたヒヨコは、羽がかわいてしっかりするまで、1~2日は孵卵器の中
ですごします。その後、餌や水がある育雛箱(いくすうばこ)ですくすくと成
長するのです。
新しく加えたのは、この育雛箱の展示です。孵卵器のとなりにある育雛箱で
は、さまざまな色のヒヨコたちが元気に動いています。孵化して2日経つと、
フワフワの柔らかな羽の中に、しっかりとした羽が生えてきて、成長の早さに
おどろかされます。
私たちはふだん卵や鶏肉を食べていますが、ニワトリそのものを目にするこ
とは少なくなりました。ちょっと前まで、民家の庭先でよく飼われていたよう
ですが……。愛らしいヒヨコの姿を見て、ニワトリを身近に感じてください。
また、来園者の方からご質問の多かった「卵についての疑問」をパネルで解
説しています。孵卵器、育雛箱の展示とあわせて読んでいただけると、卵のふ
しぎがわかるはず。
私たち人間にとって、とても身近な「卵」から「命」が誕生する不思議を、
ぜひ目の前で感じてください!
〔上野動物園子ども動物園係 高橋美紀〕
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▼春のイベントもりだくさん
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◎春休みのイベント満開&満載!
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=14092
◎国際博物館の日記念セミナー「上野の山でツルめぐり」
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=14070
◎両生爬虫類館のキーパーズトークの時間が変わりました
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=14091
■多摩動物公園■========================================================
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▼チンパンジーに生の木を!!
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ある風が強い日のことでした。風でしなった枝をつたって、チンパンジーの
「アンナ」(メス、4歳)が電柵(さわると電流が流れる柵)で囲われた木に
登ってしまったのです。葉を食べ、枝のまたに体を入れてくつろぐ姿は、なん
とも楽しそうな表情でした。その姿を見て、「木に登らせてあげたいな……」
と思ったのです。
そこで、もともと丸太を差してあった基礎部分を加工して、そこに木を差そ
うという先輩のアイデアで「ポット」ができました。木を受けるための金属製
の筒です。
せっかく設置しても、あの怪力集団の手にかかって引っこ抜かれてしまう、
なんてことも十分に考えられるので、ボルトで固定できるようにしました。立
てる木は、伐採予定の園内の木や、やぶの中の木を選びました。
木を運んでポットに差し込む作業はかなり大変でした。モノによっては、軽
トラックにロープでくくり付け、4~5人で引っぱりあげて差し込むこともあ
りました。
チンパンジーたちの反応はというと、予想どおり、まず子どもたちがむらが
ります。アンナを筆頭に、つぎつぎと木に登りだしました。ゆすったり、やぐ
らやワイヤーから飛び移ったり、葉を食べる、樹皮を削る、アリ塚やUFOキ
ャッチャー(枝を使って容器内の餌を外に出す遊具)に使う、といったぐあい
で……やりたい放題です! ただ、そんな彼らはどんな時よりも生き生きとし
た顔をしているのです。
木を立てるこちらの苦労もむなしく、木はあっという間にさびしい感じにな
ってしまいますが、木の種類や大きさによっては、1~2週間もつこともわか
ってきました。
木を立てるのにも気合いと覚悟が必要なので、交換は不定期ですが、木に登
るチンパンジーは見られるはず。チンパンジーのチンパンジーらしい動きを、
ぜひともごらんください!
〔多摩動物公園北園飼育展示係 木岡真一〕
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▼3月の観察デーは、アフリカゾウ「マコ」を観察
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毎月第3土曜日に開催している多摩動物公園の「観察デー」。動物解説員と
ともに、動物をじっくり観察します。
今月の観察デーは、2010年3月20日(土)です。
午前10時30分から「観察シートで動物観察」をおこないます。今回は、アフ
リカゾウの「マコ」を観察する予定です。初めての方には「しぐさシート」を、
経験者の方には「くらしシート」をご用意します。
推定45歳のマコは、年のわりに遊び好きで、朝の食事が終わったころからい
ろいろな動きを見せてくれます。ゆっくりした動きを時間をかけてじっくり観
察すると、マコが何をしようとしているのか見えてくるでしょう。
解説員は、参加するみなさんに「しぐさのポイント」をガイドし、観察をサ
ポートいたします。参加ご希望の方は、午前10時30分にアフリカゾウ前に直接
おこしください。
※観察デーと観察シートについて詳しく知りたい方はこちらをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11310
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▼春休みクイズラリー「形いろいろ、くらしいろいろ」
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クイズラリーを通じて、生物多様性について考えよう!
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&inst=&link_num=14090
■葛西臨海水族園■======================================================
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▼「ちゃんとお風呂に入りなさい!」
──「ペンギンの生態」プール補修工事中のできごと
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葛西臨海水族園では、2010年2月中旬から「ペンギンの生態」でプールの補修
工事が始まりました。工事中はペンギンたちがプールに入らないよう囲いを設置
し、プラスチックの箱に水をためた仮プールを用意したのですが、いつもと違う
環境に落ち着かない彼らは、なかなか仮プールを利用しようとしません。
水浴びをしないペンギンたちはだんだん薄汚れてきて、すっかり茶色のペンギ
ンに……。
ペンギンはふだんから頻繁に水浴びをして羽についた汚れを落とし、たっぷり
時間をかけて羽づくろいしています。尾のつけねにある尾腺(びせん)から出る
脂を塗りつけられた羽は水をはじくため、潜水時に冷たい水が皮膚までしみ込ん
で体温を奪うのを防ぎます。海で暮らすペンギンにとって、羽づくろいは身を守
るために大切な行動のひとつなのです。
工事開始から数日後、新しい環境に慣れてきたペンギンたちはだんだん仮プー
ルでも水浴びするようになりました。せっせと羽づくろいして、おおむねキレイ
な姿に戻ったのですが、中にはお風呂ぎらいのペンギンも……。
いつまでも茶色いペンギンにはつい一言、「ちゃんとお風呂に入りなさい!」。
──そういえば昔、自分もよく母親に言われていたような……。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 山口香子〕
■井の頭自然文化園■====================================================
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▼カワウソワークショップ「ニホンカワウソに学ぶ希少動物保護」を開催
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下記ニュースでお伝えしたとおり、2010年2月27日と28日、井の頭自然文化
園ではカワウソワークショップ「ニホンカワウソに学ぶ希少動物保護」を開催
しました。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=13652
ニホンカワウソは明治時代までは日本各地の水辺に生息するふつうの動物で
したが、大正以降急激に減少し、昭和30年代には多くの地域で絶滅、最後に残
った四国でも1990年ごろを最後に絶滅したと考えられています。一方、韓国の
ユーラシアカワウソは一時危機的な状況にありましたが、現在では回復傾向に
あるといわれています。
今回のワークショップでは、ニホンカワウソの絶滅の原因と保護への取組や、
韓国でユーラシカワウソに回復傾向が見られる理由を学び、希少動物の保護を
進める上で重要な点、取り組むべき点を考えるために3つのプログラムを計画
しました。
2月27日の動物園関係者対象の研究会には73名、翌28日午前の子ども向け参
加型ワークショップには25名、午後の高校生以上対象の講演会には78名と、多
くの方たちの参加がありました。
東京農業大学の安藤元一先生からニホンカワウソについて、古代から始まる
人間との関係、激減の経過、行政や動物園などの対応などについてのお話があ
りました。韓国国立生物資源館のハン先生には、韓国におけるカワウソを含め
た野生動物保護体制やツキノワグマ野生復帰の実例などについてお話しいただ
き、韓国カワウソ研究所(KORC)のハン所長からは、カワウソ保護の取組、と
くに 「DMZ Otter Project」と呼ばれる、非武装地帯を挟んで南北の研究者で
共同して進める調査についての発表がありました。
朝鮮大学校野生生物保護室鄭教授には DPR Korea(北朝鮮)のカワウソの生
息状況について、また、カワウソ類の種別調整者である高知県立のいち動物園
の絹田園長には、日本の動物園におけるユーラシアカワウソを含めたカワウソ
類飼育の現状と課題について、大変興味深い講演をしていただきました。
子ども向けワークショップ「カワウソが教えてくれること」では、講師の熊
谷さとしさん製作のイタチ科動物4種(カワウソ、ラッコ、テン、アナグマ)
のパズルを使ってカワウソの行動と体の特徴について考えたり、スライドやイ
ラストを使って、カワウソがいなくなってしまった理由について、楽しみなが
ら考えることができました(あわせて、熊谷さとしさんのイラストによるカワ
ウソ展も開催しました)。
今回のワークショップには、日本、韓国、北朝鮮から研究者が集まり、おそ
らく井の頭自然文化園としては初の国際シンポジウムになりました。ワークシ
ョップを通じて、開発などによる自然への影響、保護取り組みの時機を逃さな
いことの重要性、動物園の役割、関係者の連携の必要性、関わる人の熱意の大
きさなどについて知ることができました。さらに韓国の方から、これを機会に
カワウソだけでなく、ヤマネコなどの野生動物も含めて交流を進めていこうと
いう提案もあり、大変有意義な会になりました。
〔井の頭自然文化園副園長 小林和夫〕
■ B O O K S ■=========================================================
『ゾウと巡る季節──ミャンマーの森に息づく巨獣と人びとの営み』
写真と文=大西信吾、彩流社、2010年03月10日刊、本体3,800円
ISBN978-4-7791-1501-1
丸太の搬出に使われてきたアジアゾウ。しかし、機械化とともに伐採のペー
スが急激に速まり、結果、森は失われ、ゾウも町に出て行くことになりました。
しかし、過剰な伐採を懸念し、機械への依存を避け、ゾウの力に頼って共存し
てきた地域──それがミャンマーです。
雨季、涼季、暑季という季節に分け、アジアゾウと共存する人々の生活を、
現地にくらしながら、写真を中心に紹介する写真集。
ゾウの利用の実際だけでなく、大工仕事やゾウ使いの生活など、伝統的なミ
ャンマーの技術や文化も紹介されています。
訓練や療養など、「使役ゾウ」と人間の関わりが、ゾウをよく知る著者の観
点から写真におさめられた本。
「ゾウに跨り森を自由に駆け巡る姿は、F1レーサーよりも宇宙飛行士よりも、
私の目には、かっこよく映るのです」(「おわりに」より)。そしてそこから、
私たちが「どう地球と向き合ってゆくのか」(同)を考えるきっかけになる一
冊です。
著者は、本メールマガジンNo.241(2005年11月04日)でもご紹介した『ゾウ
と生きる森』も刊行しています。
http://www.tokyo-zoo.net/ROOT/express/express_back?record=2497
※2010年4月9日には、ジュンク堂新宿店で著者をまじえたトークセッション
が開かれます。彩流社のトップページから「イベント情報」をごらんくださ
い。http://www.sairyusha.co.jp/
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てください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/
▽梅の香の編集後記
・「アルファブロガーって知ってる?」「5人に影響を与えたら、もうアルフ
ァブロガーなんだって」。そんな言葉のインフレに路頭に迷いそうです。と
いうか、この世界ではすでに死語ですかそうですか。
・校正恐るべしとのいつもの駄洒落が洒落にならず涙目。死んだ目をしている。
(大平)
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メールマガジン ZooExpress No.476 - 2010年03月05日
財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
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(c)2010 Tokyo Zoological Park Society
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