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 Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.468 - 2010年01月08日

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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」

・雑誌「どうぶつと動物園」、新年第1号ができました! ワーイ。

・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どうぶ
 つと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジットカー
 ド&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/

■目次■----------------------------------------------------------------

 ・上野動物園
   ├─アシカの子「カリン」、インドネシアへ
   ├─アジアゾウのお肌の手入れ
   ├─3年ぶりのオウサマペンギン散歩、練習と本番
   └─トカラ馬「琥太郎」の乳歯をお見せしましょう

 ・多摩動物公園
   ├─コツメカワウソが出産しました!
   └─アフリカゾウ「アイ」、群馬サファリパークでの近況

 ・葛西臨海水族園
   └─開けまして、フナムシでございます

 ・井の頭自然文化園
   └─カイウサギの展示を再開しました

 ・東京動物園友の会
   └─「どうぶつと動物園」2010年冬号ができました!

 ・書籍紹介──北村俊平『サイチョウ──熱帯の森にタネをまく巨鳥』

■上野動物園■==========================================================

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 ▼アシカの子「カリン」、インドネシアへ
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  おととし生まれたカリフォルニアアシカの「カリン」(メス、1歳)が、昨
 年(2009年)12月7日、インドネシアの動物園「タマンサファリ」に旅立ちま
 した。上野動物園では、魚を食べるようになった1歳くらいの子は、繁殖のた
 めに他の動物園に送り出しています。

  アシカを搬出する際、泳いでいるところを捕まえるのは難しいので、陸地に
 隔離し、輸送箱に追い込みます。捕獲時にアシカがなるべくストレスを感じな
 いよう、あらかじめ訓練をおこないます。

  カリンには用心深いところがあったので、訓練には少し時間がかかりました。
 訓練は毎日定例の「アシカたちの食事」の際におこないました。おとなのアシ
 カにアジを与えているあいだ、カリンを奥の陸地に上げて給餌したのです。

  最初、警戒したカリンは水際から顔を出し、陸地をのぞきこむだけでした。
 その隙に、アシカ池に同居しているゼニガタアザラシのメイが陸上の餌を食べ
 に来てしまいます。しばらくすると、カリンも陸に上がるようになりましたが、
 魚をくわえると一目散に水の中へ戻って行きます。

  そんな状態を1か月ほど繰り返したある日、急にカリンは陸地の奥の方まで
 来て、その場で餌を食べるようになりました。1尾食べると「もっとないの?」
 とでもいうように係員をじっと見上げます。アシカの適応力をかいま見た思い
 でした。

  その後は、輸送箱を運びこんでも、輸送箱の蓋が開いていても、そばに知ら
 ない人がいても、カリンは安心したようすのまま、陸上でどんどん魚を食べる
 ようになりました。

  輸送当日、わたしたちは、ふだんと変わらない態度でアシカたちに接し、カ
 リンを陸地に隔離しました。そして、多くの係員の協力も得て、無事にカリン
 を送り出すことができました(写真はこちら↓のニュースページをどうぞ)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13557

  昨年(2009年)6月に生まれたオスの「チャム」は、よく水中でカリンと追
 いかけっこをして遊んでいたので、カリンがいなくなった後、ひとりで枝など
 をくわえて遊んでいます。

  そんなチャムを見ると少し寂しさを感じます。でも、魚を食べるカリンの姿
 をよく見ていたからでしょう、これまで生まれたアシカの中で、いちばん早く
 魚を食べ始めたのはチャムでした。短い期間でしたが、チャムがお姉さんアシ
 カから学んだことはいろいろあったようです。

  現在、チャムが食べる魚の量は1日に2キログラムに増えました。母親のチ
 ャッピーもあまりお乳をやらなくなってきました。

  飛行機に乗ってインドネシアに旅立ったカリン。向こうに着くとすぐに魚を
 食べたと聞き、私たちもホッとしました。あらたな土地で、あたらしい家族が
 できることを願っています。

 ・過去のニュース

   カリフォルニアアシカ出産
    http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=9404

   カリフォルニアアシカの赤ちゃんの名前は「カリン」に決定!
    http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=9931

                  〔上野動物園東園飼育展示係 野田瑞穗〕
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 ▼アジアゾウのお肌の手入れ
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  上野動物園では今、目の下い黒い「クマ」ができたような姿のアジアゾウが
 見られます。寝不足のせいではありません。飼育係がゾウのお肌の手入れをし
 ているのです(写真はこちら↓のニュースページをごらんください)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13556

  人間が美容や健康を気にするように、上野動物園のアジアゾウたちもお肌や
 ひづめの手入れに気をつかっています。夏は気温が高いので、プールに入って
 肌の潤いを保つことができます。また、湿気のおかげでひづめが柔らかくなり、
 飼育係にとっても、夏はひづめを削るのが楽な季節です。

  ところが、冬になると事情は変わり、肌が乾燥してカサカサになってしまい
 ます。アジアゾウは野生では高温多湿な環境で生活しているため、日本の冬の
 ように気温が低く空気が乾燥すると、皮膚がカサカサになって荒れ、ひづめに
 ひび割れが生じることもあります。

  そこで、乾燥しやすい部位に飼育係がワセリンやオリーブオイルを塗り、肌
 の乾燥を防ぎます。アジアゾウの目の下の黒いクマのような部分は、ワセリン
 やオリーブオイルを塗ったあとなのです。

  上野動物園では、アジアゾウ3頭を「直接飼育」と呼ばれる方法で管理して
 います。つまり、飼育係がゾウと同じ空間に入り、直接ゾウに触れ、トレーニ
 ングをおこないます。そのため、メスには直接ワセリンを塗ることができます。

  しかし、オスのアティに対しては「準間接飼育」です。つまり、飼育係が動
 物と同じ空間には入らず、柵越しにトレーニングをおこないます。その結果、
 アティの肌にオイルなどを直接塗ることができず、これまで肌の手入れができ
 ませんでした。

  しかし、昨年(2009年)から開始した「ターゲットトレーニング」が順調に
 進んでいるため、この冬から、ターゲットトレーニング中にアティの肌の手入
 れが可能になりました。足や耳だけを柵の隙間から出すよう指示し、柄の長い
 ハケを使って、乾燥した部位にオリーブオイルを塗っています。

  冬のあいだ、こうしたお肌の手入れのおかげで、ゾウたちは健康にくらして
 います。その反面、ぼくら飼育係の手はカサカサに荒れてしまうので、自分の
 お肌の手入れもしなくては、と思う今日このごろです。

 ・ニュース「アジアゾウ『アティ』のターゲットトレーニング」(2009年07月)
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12159

                  〔上野動物園東園飼育展示係 三塚修平〕

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 ▼3年ぶりのオウサマペンギン散歩、練習と本番
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  上野動物園では2009年12月24日から「オウサマペンギンの散歩」を再開しま
 した。毎週木曜日、午後2時30分から約15分間おこないます。東園のペンギン
 池近くからスタート。

  以前から上野動物園では、運動不足解消のためにオウサマペンギンを園内で
 散歩させており、2000年から「ペンギンのお散歩」と題して開催すると、とて
 も人気のある催し物の一つになりました。

  2007年と2008年、ペンギンの繁殖を優先して散歩を中止したところ、たくさ
 んの方から「今年のお散歩はいつからですか?」「今年はお散歩やらないので
 すか?」といった問い合わせを多数いただきました。

  この冬、3年ぶりにペンギンの散歩を再開したのですが、いきなり12月24日
 に園内を歩かせたわけではありません。この2年間の誕生と死亡にともない、
 メンバーの半数が散歩未経験なのです。以前経験した個体も忘れてしまってい
 るかもしれません。

  そこで、本番に向けて何回も園内を歩き、練習を重ねました。われわれ職員
 も、コース上での動きなどを確認しました。

  練習を始めたのは、2009年10月26日(月)の休園日です。本番と同様、午後
 2時30分にペンギン池をスタート。全6羽がいっしょに外に出て、職員に囲ま
 れましたが、いつもとちがう雰囲気にとまどい、首を思い切り伸ばしながらあ
 たりを見まわしていました。

  そんな中、1羽だけフラフラしていたのは、メスの「ウララ」です。初めて
 の散歩に緊張したのか、他のペンギンたちから離れてしまいました。プチパニ
 ックです。そんなウララをなんとか誘導し、6羽が一団となって足早に歩き始
 めました──。歩くというより、駆け足に近かったかもしれません。

  この日、散歩コース1周にかかった時間は……たったの7分。予定の15分の
 半分以下です。その後も休園日に練習を重ね、2009年12月10日と17日には、予
 行演習として開園時間中に散歩しました。ペンギンたちは回を重ねるごとに慣
 れ、かたまって歩いていたのが、おたがい適度に離れて歩くようになりました。

 ※2009年12月10日の散歩のようすは、東京ズーネットBBの動画「上野動物園で
 『オウサマペンギンの散歩』、3年ぶりに再開です」↓をごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/movie/information/0912_01/index.html

  さて、練習を経て、12月24日の本番を迎えました。練習どおりに始められる
 と思いきや、1羽が池から出てきません。その1羽とは、集団行動の輪を乱す
 のが得意なウララでした。職員がうしろから追って外に出そうとすると、池の
 中に逃げ込んでしまいました。こうなるとお手上げです。ウララのことはあき
 らめ、散歩は5羽でおこないました。

  ペンギンたちは、いつもより多いギャラリーに少し緊張した面もちでしたが、
 練習どおり歩いてくれました。2か所の休憩ポイントでも予定どおり足を止め、
 その姿をみなさんに見ていただきました。所要時間は……ジャスト15分! 練
 習どおりです。ペンギンたちが無事池に戻り、また、再開した散歩を無事終え
 ることができて、ホッとしたことはいうまでもありません。

  オウサマペンギンのお散歩は、気温の低い時季限定。ペタペタと歩くペンギ
 ンたちを間近で見られる絶好の機会です。

                  〔上野動物園東園飼育展示係 齋藤圭史〕

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 ▼トカラ馬「琥太郎」の乳歯をお見せしましょう
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  先日(2009年12月1日)、上野動物園の子ども動物園にいるトカラ馬「琥太
 郎」の乳歯が1本抜けたのを確認しました。上の前歯(上顎切歯)です(写真
 はこちら↓のニュースページをごらんください)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13510

  運動場から寝小屋に帰る途中、何かがポロッと落ちたので、拾ってみると琥
 太郎の歯でした。いいタイミングで落ちてくれたものです。

  ウマはオスとメスで歯の数が違います。オスは40本(切歯[前歯]が12本、
 犬歯が4本、前臼歯12本、後臼歯12本)、メスは36本です(メスには犬歯があ
 りません)。

  みなさんはウマの歯が、私たち人間とおなじように、乳歯から永久歯に生え
 かわることを知っていましたか? ただし、すべての歯が生えかわるのではな
 く、前歯と前臼歯の計24本が生えかわります。抜ける時期は、前歯が2歳半か
 ら4歳半、前臼歯は2歳半から4歳で、生えかわる期間に幅があります。

  琥太郎は現在、2歳9か月(2007年3月3日生まれ)。ちょうど歯が生えか
 わる時期ですね。

  生後8か月で動物園にやってきた琥太郎の姿を今でも思い出します。仔馬ら
 しいフワフワの体毛でした。しっぽもフワフワ。痩せて臆病だった琥太郎も、
 立派な体格になりました。一人前(?)に生意気な態度をとってくることもあ
 ります。おまけに歯まで抜けて……。しっかり大人への階段をのぼっている琥
 太郎の成長ぶりを、感慨深く感じる今日このごろです。

  とはいえ、琥太郎には子どもっぽいところがまだまだ残っています。最年長
 の野間馬「えりか」を相手取り、「遊ぼうよ~」と一日中ちょっかいを出す琥
 太郎。えりかも放っておけばいいものを、けっこう相手をしてやっています。
 夕方になると、いちばん体の小さいえりかは、格闘の名残でしょうか、毛がボ
 サボサになっていたり、琥太郎のよだれでベタベタになっていたりします。思
 わず、「えりか、おつかれさま」と声をかけてしまいます。

  ウマの口の中を見るのは難しいかもしれませんが、琥太郎をごらんになると
 きは、口元にご注目ください!
                  〔上野動物園子ども動物園係 橋川真弓〕

■多摩動物公園■========================================================

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 ▼コツメカワウソが出産しました!
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  2009年10月21日、多摩動物公園でコツメカワウソの「カワ」ちゃんが3頭を
 出産しました。残念ながら1頭は12月24日に死亡しましたが、残りの2頭はす
 くすく成長し、親について動き回っています。すでにワカサギを食べるように
 もなり、水に入って泳ぐ姿も見られるようになりました(写真はこちら↓のニ
 ュースページをごらんください)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13554

  コツメカワウソは1日に何度か、子どもをつれて引越しします。そのため、
 寝室には巣として利用できるよう、麻袋2枚と巣箱1個を置きました。麻袋は
 動かないよう固定してあります。また、巣材として乾草を置きました。出産後、
 カワちゃんは一生懸命、乾草を巣に運び込んでいました。また、子どもが小さ
 いうちは、1日に3回くらい、巣から巣へと引越ししていました。

  コツメカワウソはオスも育児に参加するといわれています。ところが10月26
 日、メスが赤ちゃんの首筋をくわえて持ち上げ、巣から巣へと引越しを始める
 と、ゴンタくんは引っ越し先とは別の巣に他の赤ちゃんを連れて行ってしまい
 ます。いったい、手伝っているのか、ジャマをしているのか、わかりません。
 そんな行動にカワちゃんもあきれたのか、ゴンタくんが運んでいる子を奪い返
 すこともありました。

  こんなようすが11月上旬まで続きましたが、中旬以降、子の世話にも慣れて
 きたのか、巣から出て行こうとする子を巣内に引き戻したり、巣の入口にかま
 えて、飼育係や物音に対して警戒したりするようになりました。

  じつは、コツメカワウソにとって今回が3回目の出産でした。1回目は子が
 食べられてしまい死亡。2回目は死産でした。2回目は、子がすでに死亡して
 いるにもかかわらず、子が麻袋の中にいるあいだ、親は巣材をしきりに運び込
 み、飼育係に対して警戒するなど、あきらかに子育てをしようという気が1回
 目よりも感じられたので、飼育係も今度こそはと期待していました。

  子の数が2頭とはいえ、無事に成長しており、ほっと一安心です。コツメカ
 ワウソは家族で暮らすことが知られています。「ゴンタくんカワちゃんファミ
 リー」がどこまで大きくなっていくのか、楽しみです。

                 〔多摩動物公園南園飼育展示係 大橋直哉〕

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 ▼アフリカゾウ「アイ」、群馬サファリパークでの近況
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  昨年(2009年)3月4日、多摩動物公園からアフリカゾウのアイ(メス、推
 定27歳)が群馬サファリパークに移動しました。ブリーディングローン(繁殖
 を目的とした動物貸与)による移動です。

 ・ニュース「アフリカゾウ『アイ』の嫁入り修行」
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=10973

  群馬サファリパークへの到着後、アイは緊張して眠れない夜を過ごしていた
 ようですが、寝室に「タンゴ」(オス、23歳)が戻ってくると落ち着くらしく、
 しばらくすると横になって寝るようになりました。

  新しい環境で、新しい飼育担当者とのあいだに少しずつ信頼関係を築きつつ
 あるようです。多摩動物公園と同様、「ターゲットトレーニング」を実施して
 おり、訓練も順調に進んでいます。(ターゲットトレーニングについては、こ
 ちら↓のニュースをごらんください。)
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=10333

  アイは持ち前の楽天家ぶりをすぐに発揮し、タンゴと同じ放飼場に初めて出
 した時も、最初はお互いモジモジしたものの、しばらくすると自分からタンゴ
 に近づき、あいさつをしていました。今では押しかけ女房状態です。

  タンゴはとてもやさしい性格なのか、アイに餌を取られても怒らず、穏やか
 な表情でアイを見つめています(写真はこちら↓のページをごらんください)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13553

  発情の状態に合わせて2頭を何度もいっしょにしていますが、今のところ、
 繁殖に結びついてはいません。よい結果が出るよう、気長に見守っていきたい
 と思います。
                 〔多摩動物公園北園飼育展示係 片柳雅之〕

■葛西臨海水族園■======================================================

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 ▼開けまして、フナムシでございます
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  「この季節に、どうしてフナムシなの?」と思われる方もきっといらっしゃ
 るでしょう。それもそのはず、フナムシといえば、夏の海辺にザワザワとうご
 めく姿を思い浮かべるのではないでしょうか。

  しかし、冬の寒い時期、フナムシたちがどこでどう過ごしているのか、気に
 なりませんか? そんな素朴な疑問を抱いて、北風の吹くなか、葛西海浜公園
 の西なぎさに行ってみました。

  西なぎさに生息しているフナムシは「キタフナムシ」という種類です(2008
 年5月の記事「どこからやってキタ?“ムシ”の話」↓をごらんください)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=9157

  春から秋にかけて、天気のよい穏やかな日には、潮の引いた干潟や石を組ん
 だ護岸の上を集団で這い回っています。しかし今、そんな光景はまったく見ら
 れません。

  フナムシは枯れ枝やゴミなどの堆積物の下に隠れていますが、探してみても
 見つかりません。そこで、護岸にあった大きめの石をひっくり返してみました。
 すると、いました!いました! 砂に半分体をうずめて、たくさん集まってい
 ます。アカテガニやハマトビムシのなかまも同じようにじっとしています(写
 真はこちら↓のニュースページをごらんください)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13552

  種類の違う生き物が寄り添うようにしているようすは、何やらほほえましく
 思えますが、これら3種類の生き物には共通点があります。それは、「海から
 陸へ進出した甲殻類」だということです。

  甲殻類とはカニやエビのなかまで、その多くは水中で生活し、エラで呼吸し
 ています。つまり、これらの生物が陸へ上がるためには、乾燥から身を守り、
 水を確保して呼吸しないといけません。冬のあいだはジメッとした物陰でじっ
 と身を寄せ合うことでやり過ごしているのでしょうか。

  フナムシは夏だけの生き物じゃないのです! 冬は動きが少ないので捕まえ
 やすいし、観察もしやすいので好都合です。ただし、ひっくり返した石はもと
 に戻し、観察したフナムシも戻してやりましょう。さあ、冬の西なぎさにも出
 かけてみよう!

  ──「でも、ちょっと寒いしなあ……」という方は、葛西臨海水族園の「し
 おだまり」水槽においでください。昨年(2009年)10月からキタフナムシの展
 示を始めました。現在、寒さよけのため、フナムシの水槽にはフタをしていま
 すが、ぜひ、フタを“開けまして”観察してください(やっとタイトルに結び
 つきました)。
                   〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕

■井の頭自然文化園■====================================================

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 ▼カイウサギの展示を再開しました
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  井の頭自然文化園では、しばらくカイウサギの展示を中止していましたが、
 家畜舎に新しい飼育室を増設し、先月末(2009年12月末)から展示を再開しま
 した。

  現在、展示しているメス2頭はいずれも2009年生まれで、江戸川区自然動物
 園からやってきました。灰色の個体は「クリ」、白地にちょっと変わった黒い
 斑紋がある個体は「グミ」と呼ばれています(写真はこちら↓)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13551

  カイウサギは、食肉・毛皮・ペットなどとして利用するために、野生種であ
 るアナウサギから人間が作った家畜です。アナウサギは、ヨーロッパの南西部
 から南部、および北アフリカの西部に分布し、巣穴を掘って集団でくらします。

  一方、日本で見られる野生のウサギ「ノウサギ」は、特別な巣穴をもたず、
 単独でくらすなどの点で、アナウサギとは生活様式が大きく異なります。最近
 は、捨てられたり逃げ出したりしたカイウサギが野生化し、問題を起こしてい
 ます。

  展示している2頭は、若いということもあるのか、比較的よく動きます。飼
 育室に置いてある木をかじったり、穴を掘るように乾草をかきわけたり、お互
 いにグルーミングしたりするようすを観察することができるかもしれません!

■東京動物園友の会■====================================================

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 ▼「どうぶつと動物園」2010年冬号ができました!
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  2010年冬号の表紙は多摩動物公園のトキ。本文では、佐渡で撮影したトキの
 いる風景や、多摩動物公園でのトキ繁殖への試みをご紹介します!

  「どうぶつと動物園」は東京動物園友の会の機関誌です。年会費 2,000円。
 友の会への入会資料請求は、こちらのページから「入会資料申込み」でどうぞ。
 → http://www.tokyo-zoo.net/member/

  クレジットカードをお使いの方は、オンラインでのお支払いも可能です!

 【最新号(2010年冬号)の目次から】

 トキがくらす島、佐渡をたずねて

[多摩動物公園]トキをふやす──飼育下繁殖の工夫、飼育してわかったこと

 アフリカの森でゴリラが教えてくれたこと……山極寿一

 日本のモグラはどこからきたか?──モグラ科動物の分布の謎をとく
  ……篠原明男

[多摩動物公園]ニホンコウノトリの保全についてわかりやすく伝えるために
  ──解説板とアイキャッチの設置

 読者の誌上写真展

[上野動物園]オグロヅルの繁殖作戦
  ──オグロヅルによる自然育雛に成功するまで……永野知

[詩]トラ 木坂涼 画・長谷川義史

[ヒト、どうぶつを語る]わかれと出逢い……乃南アサ

[上野動物園]木の皮、卵を産む!──スベビタイヘラオヤモリの孵化

 動物園の話題──海外から/国内から/東京から

 新妻昭夫の図書館だより

[上野動物園]ニシローランドゴリラの“モモコ”、9年ぶりに出産

 ほか

■ B O O K S ■=========================================================

 『サイチョウ──熱帯の森にタネをまく巨鳥』(フィールドの生物学2)

               北村俊平、東海大学出版会、2009年11月05日刊
                   本体2,000円、ISBN978-4-486-01841-4

  大学在学中に調査ボランティアとしてマレーシアを訪れ、ふとしたきっかけ
 から、熱帯林でサイチョウの研究に打ち込むようになった著者。本書では、タ
 イでのフィールドワークをもとに、サイチョウだけでなく、野外調査の魅力が
 語られています。

  サイチョウの特徴のひとつは、「メスが産卵前に自分のくちばしが出るだけ
 の隙間を残して、樹洞の入口を塞ぐ形で巣ごもり、ヒナを育てる」こと。サイ
 チョウ以外の鳥類には見られないユニークな行動です。

  また、果実を餌として利用するので、種子を散布する動物として知られてい
 ます。調査にあたっては、植物に注目し、果実を食べに来る動物を記録する方
 法と、動物に主眼をおき、糞を分析する方法があります。著者はその両方に取
 り組みますが、自動撮影カメラをゾウにバラバラにされたことも……。

  タイのカオヤイ国立公園でのハードな調査。種子の大きさと散布する動物の
 関連を論文にまとめた著者は、博士課程でも長期滞在調査を続け、結実木周辺
 では、齧歯類が種子を食べてしまうので実生が定着せず、一方、サイチョウな
 ど、種子を食べてしまわない動物の場合、種子は結果的に遠い地に運ばれて定
 着すると予想します。

  野外調査ではさまざまな手続や異国での人との交流がいちばん大変であるこ
 と、調査中の入院の経験、アジアゾウやさまざまな動物との遭遇、データ入力
 やバックアップの大切さ、倒木・毒蛾・ヘビなどの危険、森の中でサイチョウ
 を走って追跡したようす(著者は陸上部出身)など、フィールドワークにとも
 なうさまざまな苦労も描き出されています。

  フィールドワークの楽しさと困難さ、研究への情熱、発見の喜びが描き出さ
 れた一冊です。

 ・東海大学出版会 http://www.press.tokai.ac.jp/ の書籍紹介ページ
   http://www.press.tokai.ac.jp/bookdetail.jsp?isbn_code=ISBN978-4-486-01841-4

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  N E W S  C L I P S
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●コペンハーゲン動物園のバス車体広告

この発想はなかった……。日本だとカワイイ動物優先でしょうか。
http://www.fubiz.net/2009/12/26/copenhagen-zoo/

●よこはま動物園ズーラシアで生まれたヤブイヌ、その後
http://www.hama-zoo.org/blog/?bsid=27&bid=1694

●大森山動物園、子ども入園料有料化を検討(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20100108-OYT8T00003.htm

●平川動物公園のコアラのオス「ミッキー」老衰で死亡(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100108-OYT1T00211.htm

●いしかわ動物園にトキ来園、直接公開せず、カメラでライブ映像公開(毎日)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100108k0000e040013000c.html

●作品展「しろくまに会いに……」、大阪市北区にて開催

ブログ「動物園でお散歩」のリッピさん、ブログ「しろくま工房」のmacokumaさ
んお二人の作品展。2010年1月9日から24日まで。会場は「Kangaroo poche」。
天王寺動物園の宮下実園長とのトークイベントも予定されていますが、すでに定
員に達したそうです。くわしくはこちら↓
http://asitahare.exblog.jp/12471412/#12471412_1
・動物園でお散歩 http://asitahare.exblog.jp/
・しろくま工房  http://macokuma.exblog.jp/

●ボルネオ生物多様性保全・東京セミナー

 「サバ州野生生物局長 ボルネオ生物多様性保全の現場からの報告」

2010年2月9日、東京表参道で開催。参加費 500円。マレーシアのサバ州野生生
物局長他によるお話。主催はボルネオ保全トラストジャパン。くわしくはこちら
→ http://www.bctj.jp/home/event.html

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 ・え? 雌雄で歯の数がちがう? そんなシロウトなつぶやきで今週もまた。
  ゾウ班の担当者自身の「お肌の手入れ」も応援中。        (大平)

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