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 Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.465 - 2009年12月18日

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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」

・上野動物園両生爬虫類館の特設展、12月27日(日)で終了です。お早めに!

・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どうぶ
 つと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジットカー
 ド&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/

■目次■----------------------------------------------------------------

 ・上野動物園
   ├─ニシツノメドリのひなが群れ入り
   ├─子ども動物園の教育プログラム、子どもたちの反応は?
   ├─特設展「マダガスカル ゴンドワナの落としもの」12月で終了!
   └─爬虫類のふれあいコーナー再開

 ・多摩動物公園
   ├─いそうろうのコシベニペリカン
   └─今年も金色のクリスマスツリーが登場!

 ・葛西臨海水族園
   ├─続・新たな視点で見てみると(13)東京湾に潜ってみると
   └─なぎさ通信第34号ができました

 ・井の頭自然文化園
   ├─アカゲザルおばあちゃんの子育て
   ├─井の頭池の再生を願い、浅瀬を造成
   └─特設展示「鳥々色々」研究室紹介──3

 ・書籍紹介──宮崎学『カラスのお宅拝見!』

■上野動物園■==========================================================

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 ▼ニシツノメドリのひなが群れ入り
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  上野動物園西園のニシツノメドリ展示場では、2009年7月11日と20日に1羽
 ずつひながかえり、12月7日に群れ入りしました。

  ところで、ニシツノメドリってどんな鳥か、ごぞんじですか?

  ニシツノメドリは北大西洋に生息する小型の海鳥で、全長約20センチ。繁殖
 期になると目の上に角(ツノ)状の角質があらわれるので、「角目鳥」=「ツ
 ノメドリ」というわけです。お客さんからペンギンと間違えられることもあり
 ますが、ペンギンとはまったく違う鳥で、よく見ると、くちばしの色や翼の形
 が異なります。

  では、孵化から群れ入りまでの経過をご説明しましょう。

  孵化したばかりのひなは、人の手のひらに乗るほどの大きさで、灰色の綿毛
 に包まれています。親による子育ては展示場の巣箱の中でおこなれるので、親
 鳥を驚かさないようにしながら、ときどき巣箱をのぞいて観察しました。

  孵化後1か月あまりで羽根も生えそろい、親鳥と同じくらいの大きさに成長
 したころ、ひなを巣から取り出し、別の部屋に移しました。どうして親鳥から
 離すの?と思われるかもしれませんが、ニシツノメドリは巣立ちと同時に親子
 のきずなが切れ、ひなは自分で生きていかなければなりません。巣立ち後、野
 生では広い海へ旅立つことになりますが、飼育下ではスペースに限りがあり、
 巣立ったとしても親に追い出されることがあるので、いきなり群れに入れるの
 は危険です。また、野生とは異なり、飼育下での餌場は水中ではなく陸上です。
 つまり、野生本来の環境とは違う飼育下の環境に慣れるための「訓練」が必要
 なのです。

  いきなり別の場所に移されたひなは、初めは警戒して餌を食べませんでした。
 そこで、ダンボール箱を使って隠れ場所をつくり、2羽をいっしょにしてやる
 と、落ち着きを取り戻しました。

  最初は餌をひなの近くに置き、徐々に離して、陸上で餌を食べることを覚え
 させました。その後、展示場の一部を囲ってプールをつくり、終日そこで餌を
 食べたり泳いだりできるように慣らしていきました。

  さあ、いよいよ群れ入れです! 囲いをはずして展示場に出すと、ひなたち
 はさっそく泳ぎ始めました。まだ環境に慣れないせいか、展示場の隅にいるこ
 とが多いのですが、他の個体とのトラブルもなく、餌を食べているところも確
 認できました。

  なお、ひなにはまだ「角目」はなく、くちばしの厚みも親鳥と違います。こ
 のくちばしがいつ親鳥のようになり、いつ「角目鳥」になるのか、楽しみにし
 ながら観察しています。

 ◎写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13318

 ◎東京ズーネットBBの動画
  プールに入ったニシツノメドリのひな(2009年10月28日撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0910_02/index.html

                  〔上野動物園西園飼育展示係 坂下涼子〕

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 ▼子ども動物園の教育プログラム、子どもたちの反応は?
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  動物園にも冬の風が吹く季節になりました。子ども動物園では子どもたちに
 向けて教育プログラムを実施していますが、そのプログラムも、今年度(2009
 年度)はまもなく終わりをむかえます。

  この教育プログラムを、子ども動物園では(ちょっとカタい言葉ですが)、
 「団体指導」と呼んでいます。対象は、幼稚園の4歳児から小学校2年生まで。

  コースは、使う動物の種類によって、ABCの3つにわかれています。Aコ
 ースは、ウサギ、モルモット、ヒヨコなどの小動物。Bコースは、ニワトリ、
 ガチョウ、ヤギ。Cコースは、ラマ、ミゼットホース、ヒツジです。それぞれ
 30人以下限定、時間は20分間。1日に3回実施できるようにしています。

  最初に10分ほどお話をします。目や耳、鼻や手などを使って動物を感じ、命
 の温もりを感じてください、と伝えています。

  最近、子どもたちにこんな質問をしています──「きのう、てるてるぼうず
 を作った人は?」。テレビやラジオで天気予報が頻繁に放送され、インターネ
 ットでも簡単に調べられるようになった現代。私が子どもだったころに比べ、
 天気に関する情報量は何百倍にもふくらんでいるでしょう。でも、そんな時代
 でも、ひょっとしたら、てるてるぼうずを作る子がいるかもしれない──そう
 思ったのです。質問を始めた当初は、絶滅危惧種のてるてるぼうずを探す気持
 ちでした。

  しかし、驚きの反応が返ってきました。多いクラスでは半分ほど、少なくて
 も3~5人は必ず、てるてるぼうずを作ってきた子どもがいるのです。子ども
 動物園でのクラスを楽しみにしてくれている証拠です。毎回、とてもうれしさ
 を感じる瞬間です。私たちにとっては毎日繰り返すプログラムですが、子ども
 たちにとっては特別な日なのです。

  そしてもう一つ質問をします──「きのう、ワクワクして眠れなかった人?」。
 これにもたくさんの子どもたちが手を挙げてくれます。当日の団体指導を最高
 の出来にしなければいけないと強く感じる瞬間です。

  子どもたちの反応には、別の驚きもあります。鼻を使って動物のにおいを嗅
 ぐときです。「動物はいやなにおいですか?」と聞くと、ほとんどの子が「は
 ぁーい」と元気よく答えます。それでは困ってしまうので、「人間にもにおい
 があるのですよ。友だちの家に行ったら、その家のにおいがするよね」などと
 問いかけ、いろいろな例を出して、説明を続けます。

  そして、最後に「お母さんのにおいは?」と聞くと「いいにおい」という答
 が返ってきますが、「お父さんのにおいは?」という問いには、「くさい」の
 答。これもほとんどの子が言うのです。お父さんである私は、そのたびにさび
 しい気持ちになるのでした。

  子ども動物園の団体指導は次回、来年度2010年4月から始まります。「2010
 年4月~7月分」の受付は、2010年3月10日(水)から始まります。お電話で
 ご相談ください(上野動物園 03-3828-5171[代]9:30-17:00、月休)。

 ◎写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13317

                  〔上野動物園子ども動物園係長 高藤彰〕

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 ▼特設展「マダガスカル ゴンドワナの落としもの」12月で終了!
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  2009年3月から、約10か月にわたって開催してきた両生爬虫類館の特設展示
 「マダガスカル──ゴンドワナの落としもの」がまもなく終了します。

   2009年12月27日(日)の午後4時30分をもって展示終了。

  なかなか見られないマダガスカルのユニークな動物に会える貴重な機会です!
 残るは1週間とちょっと。ぜひこの機会を逃さず、上野動物園の両生爬虫類館
 へ!(上野動物園は、2009年12月28日[月]からお休みです。)

  展示の内容は、こちら↓のお知らせをごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11077

 ◎東京ズーネットBBの動画

  スベビタイヘラオヤモリ
    http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0903_03/index.html

  エダハヘラオヤモリ
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0910_03/index.html

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 ▼爬虫類のふれあいコーナー再開
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  上野動物園の両生爬虫類館では、人気の「爬虫類とのふれあい」イベントを
 しばらくお休みしていました。2009年10月初旬から11月下旬まで、「ふれあい」
 に登場する動物たちの健康診断を実施したためです。イベントを楽しみにして
 いた方々にはご迷惑をおかけしました。

  動物の健康診断も無事終了し、2009年11月29日から「爬虫類とのふれあい」
 イベントを再開しました。繁忙期を除く毎週日曜日に開催しています。

  「ふれあい」イベントは屋外でおこないます。寒い冬、外に出た動物たちは
 大丈夫かな?と心配される方もいらっしゃるでしょう。そこはご心配なく。暖
 かいパネルヒーターに動物を乗せたり、暖めたケージをわきに置き、動物を交
 替させながら登場させたり、気温への対策を講じています。また、外に出す時
 間をなるべく短くして、動物たちへの負担が軽くなるようにしています。

  なお、「ふれあい」の開催場所が変わりました。これまで両生爬虫類館前の
 広場でおこなっていましたが、今は建物裏側にある駐車場で実施しています。

  開催場所が少しわかりにくくなってしまったため、お問い合わせを多くいた
 だくようになりました。そこで、開催場所へご案内するスタッフを増やしたり、
 看板を増やしたり、来園者の方が迷わないよう努めています。わかりにくい場
 合、冬の間はスタッフが目立つオレンジ色のジャンパーを着ていますので、お
 気軽にお声をおかけください。

                 〔上野動物園は虫類飼育展示係 浅野晃良〕

■多摩動物公園■========================================================

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 ▼いそうろうのコシベニペリカン
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  多摩動物公園アフリカ園の真ん中にあるサバンナ放飼場には、キリン、シマ
 ウマ、オリックスなどの草食獣の他、ダチョウやペリカン、シュバシコウとい
 った鳥類もいっしょに生活しています。

  ペリカンたち(モモイロペリカンとコシベニペリカンの2種類)は、ふだん
 は集まって餌を食べたり休息したりして、多くの時間をペリカン池付近で過ご
 しています。

  ところが、2009年10月なかばのある日を境に、コシベニペリカンの「緑」が
 ペリカン池とは反対側にあるシュバシコウ池にいつくようになってしまいまし
 た(個体識別用に足につけるカラーリングが緑色なので「緑」と呼んでいます)。

  じつはこれには理由があります。自然に恵まれた多摩動物公園には、タヌキ
 などの野生動物もたくさん出没し、陽が暮れるとサバンナ近辺にも現れるよう
 です。

  ある日の夜、そんな野生動物がペリカンたちを襲ったらしく、翌日の朝発見
 したときには、「緑」の尾羽が数本抜け、少しおびえているようでした。ひど
 く怖い思いをして「トラウマ」になっているかもしれない……。ペリカンのト
 ラウマの記憶はどれくらい続くのだろう……。

  当初は1週間かそこらで他のペリカンたちのところに戻るだろうと思ってい
 た私は、そんなのん気なことを考えながら日々観察していました。ところが、
 それからすでに約2か月が経過。「緑」は今ではすっかりシュバシコウ池の住
 人となってしまいました。

  シュバシコウ池の水深はペリカンにとってはやや浅いと思われるのですが、
 シュバシコウが遠慮気味なので、「緑」は採食時も他の鳥たちに押しのけられ
 ることなく、真っ先に餌を食べることができて居心地がいいのかもしれません。

  しかし、そろそろ繁殖シーズンに向けての準備が始まります。ペリカンたち
 はなかまの中から相手を見つけ、私たち飼育係は巣台など環境を整えていかね
 ばなりません。1羽だけ離れた状態でいるのをそのままにしておいてはいけな
 いと思い、「緑」をペリカン池のなかまの方に行かせようと追ってみたりもし
 ましたが、やっぱり戻ってしまいました。こればっかりは、自分の意思で行っ
 てもらわないとどうしようもありません。

  「緑」が一日でも早く、なかまのペリカンたちのところに戻ってくれること
 を、シュバシコウともども願いながら見守っています。

 ◎写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13316

                 〔多摩動物公園北園飼育展示係 高原由妃〕

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 ▼今年も金色のクリスマスツリーが登場!
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  12月も中旬。もうすぐクリスマス! 多摩動物公園の昆虫園生態園では、昨
 年(2008年)に引き続き、オオゴマダラのサナギを使ったクリスマスツリーと
 リースを飾っています。

  オオゴマダラは日本最大のチョウです。そして、そのさなぎは、まさしく金
 色をしています。アゲハチョウのさなぎは「おしり」の部分を枝につけ、頭が
 上に来るようにし、体を糸でささえていますが、オオゴマダラのさなぎは「お
 しり」の先を枝や葉裏につけ、頭を下にしてぶらさがります。

  蛹の輝きは、ごらんになる方から「本物なの?」「作り物でしょ!」という
 声も聞こえてくるほどの美しさ。光をあてると、さらにきれいに輝きます。

  クリスマスツリーの「飾りつけ」としてはぴったりの派手なさなぎですが、
 逆に、野生では目立ってしまい、発見されやすくなってしまうのではないかと
 不思議に思いませんか? じつは、光を反射して輝くので鳥がむしろ警戒して
 近づかないとか、周囲の景色を反射するので目立たなくなるとか、さまざまな
 説が唱えられています。いずれにせよ、さなぎの輝く金色は、オオゴマダラが
 生き残るための戦略なのでしょう。

  ツリーに使用している金色のさなぎはもちろん生きています。運がよければ、
 日本最大種であるこのオオゴマダラの羽化をごらんになれるかもしれません。

  金色に輝くさなぎのツリー。展示は2009年12月25日(金)まで。なお、昆虫
 生態園は午後4時30分で閉園ですので、ご注意ください。お待ちしています!

 ◎写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=13270

■葛西臨海水族園■======================================================

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 ▼続・新たな視点で見てみると(13)東京湾に潜ってみると
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  葛西臨海水族園では、水族園周辺の環境を知るために、さまざまな調査をお
 こなっています。その中に、実際に海の中にダイビングをして、生き物を観察
 する調査があります。

  2007年12月にも下記ニュースで潜水調査のようすをお伝えしましたが、今年
 (2009年)も12月11日に潜水調査をおこないました。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=8131

  当日の水温は15~16℃ほどで、冬用のダイビングスーツを着ていれば、水中
 はそれほど寒くありません。しかし、気温は7℃。しかも北風に吹かれた冷た
 い雨が降っています。小型ボートで調査地点を移動するのですが、その間、と
 てもつらく感じました。

  ビデオでは3種類の生き物を紹介します。

 【動画:東京湾に潜ってみると】

 ・Windows Media形式
   http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2009_12/diving_research.wmv

 ・QuickTime形式
   http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2009_12/diving_research.mov

  最初に映っているのは「ヒメハゼ」です。全長4~6センチのものがよく見
 られました。カメラをかまえて近づくと、泳いで逃げてしまうことが多いので
 すが、砂の中に潜ってしまうものもいます。

  その次に映っているのは、砂に半分潜っていた魚「ハタタテヌメリ」です。
 体の模様が砂地とよく似ていて、じっとしているとなかなか見つけることがで
 きません。全長2センチほどの小さな個体も見られました。

  最後は「スピオのなかま」です。いわゆるゴカイのなかまなのですが、自分
 で作った「棲管」(せいかん)に入っています。2本伸びているのは、「副感
 触手」と呼ばれる器官です。表面に絨毛(じゅうもう)が生えていて、流れに
 乗って来た食物がここにくっつくと、絨毛の動きによって口にまで運ばれてい
 きます。

 ◎潜水調査には特別な許可を得ています。葛西臨海水族園の前の海は遊泳禁止
  です。

 ◎写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13315

                  〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

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 ▼なぎさ通信第34号ができました
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  「西なぎさ」は、葛西臨海水族園のすぐそばの人工干潟。何もいないように見
 えますが、じつはいろいろな生き物がくらしています。ここでの生き物ウォッ
 チングのコツをお教えするのが「なぎさ通信」(2頁、隔月刊)。

  水族園の情報コーナーでも配布していますが、東京ズーネットからダウンロ
 ードも可能です。こちら↓のページからどうぞ(PDF形式)。
  http://www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/nagisa/index.html

■井の頭自然文化園■====================================================

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 ▼アカゲザルおばあちゃんの子育て
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  昨年(2008年)、井の頭自然文化園のアカゲザルがいるサル山では、子ども
 が11頭も生まれました。今年も同じように生まれると収容定数を超えてしまう
 ので、昨年秋に出産したメスにホルモン剤を投与して妊娠しないようにした結
 果、4歳の「オペレッタ」と「ラップ」が2009年6月23日、同じ日にそれぞれ
 1頭を産みました。いずれも初産です。

  ところが、生後1か月を過ぎるころになっても、オペレッタの子(メス)が
 なかなか大きくなりません。それどころか、母親の方が徐々に痩せてきました。
 産後の肥立ちが悪いのだな、と思って注意して見ていると、7月31日朝、オペ
 レッタの母親「カオナシコ」が、赤ちゃんを抱いていたのです。

  最初は、歩き回り始めたばかりの子ザルをたまたま抱っこしているだけなの
 だろうと思っていたのですが、しっかり抱いたまま、なかなか離そうとしませ
 ん。オペレッタは、自分の母であるカオナシコに寄り添ったままです。子ザル
 は元気そうでしたが、痩せてきたオペレッタのことも心配だったので、サル山
 にある部屋に3頭を隔離することにしました。

  隔離するといっても、真夏の暑い時期なので、無理に追い回すとサルが肺充
 血などで死亡するおそれもあります。そこで、部屋に餌を置いておき、入った
 らすばやく扉を落とす作戦をとりましたが、ただでさえ警戒心が強くなってい
 るカオナシコはまったく入ろうとしません。2日かけて試みましたが、結果は
 同じ。しかたなく、そのままようすを見ることにしました。

  カオナシコは3日経っても子ザルを抱いています。それどころか、子ザルは
 カオナシコの乳首を吸っています。子ザルは1か月齢にしては体が小さく、足
 でしがみつくこともできないので、カオナシコは子ザルの下半身をしっかり抱
 えています。

  こうして1週間が過ぎても子ザルは生きています。通常の餌は食べられない
 ので、栄養は母乳に頼るしかありません。もしかしたら、夜間など私たちの見
 ていないところで母親のオペレッタが哺乳しているのかもしれないと考えまし
 たが、オペレッタはカオナシコから徐々に距離を置くようになり、餌は食べる
 ものの痩せていく一方なので、哺乳する余裕があるように見えません。この状
 況のまま数か月が過ぎ、子ザルも少しずつ大きくなっていきました。

 (その後の子ザルやオペレッタのようすは……
                        続きはこちら↓をどうぞ!)
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13310

                 〔井の頭自然文化園飼育展示係 森久保秀〕

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 ▼井の頭池の再生を願い、浅瀬を造成
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  かつての井の頭池は、豊富な湧水に支えられ、清澄な水をたたえ、水草が一
 面に繁茂し、多種多様な動植物が見られた、すばらしい光景の池でした。

  残念ながら現在の姿にはその面影を見いだすことはできません。湧水の涸渇
 と水生植物の衰退が変貌の大きな要因だと思われます。いまの池に水生植物は
 ほとんどありませんが、池の周囲はほぼ護岸されていて、水際に浅瀬がないた
 め、水生植物がこれ以上増える余地はありません。

  井の頭自然文化園では、現在おこなっている特設展示「井の頭池のためにで
 きること」に合わせて、2009年12月15日~16日、水生物館のテラス前にある井
 の頭池の岸に、わずか4メートル幅ですが「浅瀬」を造成しました。今は植物
 も生えておらず、さえない状態に見えるかもしれません。でも、初夏になれば、
 単調な岸辺に変化が感じられるはずです。

  今回は、井の頭池で近年急速に減ってきてしまったテナガエビやスジエビの
 生息場所の確保を念頭におき、大きな割り石で土台を作りました。

  わずか幅4メートルの浅瀬で池が変わることはありません。少しずつでも浅
 瀬を増やしていくことが「井の頭池のためにできること」だと思っています。

 ◎写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=13290

 ◎特設展示「井の頭池のためにできること」は、2010年2月7日(日)まで開
  催しています。おしらせはこちら↓
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=12819

              〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

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 ▼特設展示「鳥々色々」研究室紹介──3
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  お待たせいたしました。井の頭自然文化園の特設展示「鳥々色々」内の「チ
 ョットコイ研究所」の中でもひときわ異彩を放つ研究室と言われている「鳥類
 色彩学研究所」の担当研究者、サド・トキコ・モレシャンです。

  鳥のもつ豊かな色彩に魅せられたワタクシの研究室では、美的観点から、羽
 根や虹彩の色について、日本の鳥を中心に研究しています。羽根や虹彩の色は、
 求愛や身を守るためのカモフラージュなど、鳥にとって実際に役立つものです
 が、その美しい色彩は、はからずも私たちの目も楽しませてくれます。

  一般に色の名前は、食べ物や鉱物、気象など、自然物をもとにつけられるこ
 とが多く、鳥も古くから色の名前として使われてきました。たとえば、漢字で
 「翡翠」と書くカワセミの羽の色は、「翡翠色」(ひすいいろ)として色彩を
 表わす言葉になりました。

  ワタクシの羽根コレクションは、井の頭自然文化園で展示している和鳥を主
 としています。ヤマドリ5亜種の尾羽や、園内などで身近に観察できても羽根
 を採集することが難しい小鳥たち、まだ分類中ですがカケス1羽分の羽根など、
 見どころ満載です。

  また今回、みなさんに研究室を見ていただくにあたって、特別に多摩動物公
 園から借りて制作したトキの羽根標本も見逃せません。羽軸まで目の覚めるよ
 うな朱鷺色(ときいろ)をしているのがご覧いただけるでしょう。

  鳥の虹彩もまた、宝石のような美しさがあります。雌雄で違っていたり、成
 長するにしたがって変化したり、赤系から青系まで、じつにさまざまです。精
 巧につくられた剥製用のガラス玉と写真パネルでお楽しみください。

  最後に、チョットだけ自慢させてくださいね。机の上に置いてある、和鳥の
 羽根で作ったコサージュつきの帽子のことです。これは、パリで開催される学
 会出席のためにあつらえました。他の研究者からムダづかいだと苦い顔をされ
 ていますけれど、素敵でしょう? 美しい帽子箱にもどうぞご注目あれ。

 ◎研究室の写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=13311

 ◎特設展示「鳥々色々」は2010年2月28日まで。くわしくはこちら↓
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=12890

 ◎「鳥々色々」研究室紹介

  1「ヒトと鳥の関係学研究室」
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=13031

  2「鳥類音声学研究室」
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=13252

                〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕

■ B O O K S ■=========================================================

 『カラスのお宅拝見!』
              宮崎学、新樹社、2009年12月25日刊、本体2,000円
                          ISBN978-4-7875-8593-6

  かつて人家の庭木や集落内のどこでも見られたカラスの巣。人間の生活の変
 化とともに、奥深い山野に営巣するようになりました。そんなカラスの変化を
 「逆手に取って、ちょっとしたイタズラをしてやろうと思った」(p.141) と
 いう著者。木に登り、巣や卵の写真を撮るうちに、カラスが人間生活に依存し、
 人間の生活をよく観察していることがわかってきたと書かれています。

  とはいえ、カラスの巣は高いところにあります。本文にも巣を撮影した木の
 写真が各所に添えられています。しかし、著者はこう書いています──「とう
 ぜん10mもの木登りをしなければならない。だが、そこは子どものころからの
 経験もあり、問題はなかった」(p.3)(!)。

  本文は、覗き込むようなアングルで撮られた巣の写真がメイン。日本各地で
 撮影された巣の写真には、住宅地、田んぼ、山や海など、さまざまな背景が見
 えます。巣の数は 100。写真には撮影地やカラスの種類、樹種、巣のサイズは
 もちろん、巣材がくわしく記録されています。「カラスは悪食で腐りかけの餌
 も多い」(p.142) ので、スギやヒノキなど、殺菌作用のある植物が利用され
 ていたり、全国的に断熱材が多用されていたり。中には、人間の白髪が大量に
 使用されていた例も……。

  また、巣も几帳面な造りだったり、ズボラな造りだったり、カラスにも「個
 性」があるようです。本文にはコラムもはさまれていて、新宿地下道で「手乗
 りカラス」を見世物にして稼いでいるオジサンの話は、都会の人々が自然と疎
 遠であることを浮き彫りにするエピソードとして描かれています。

 ・新樹社 http://www.shinjusha.net/ の書籍紹介ページ
   http://www.shinjusha.net/isbn/978-4-7875-8593-6.html

 ・著者・“自然界の報道写真家”宮崎学さんのサイト「森の365日」
   http://www.owlet.net/

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  N E W S  C L I P S
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●「オカピの首はなぜ短い?」──よこはま動物園ズーラシア
http://www.hama-zoo.org/blog/?bsid=56&bid=1645

●「音の正体」(シャコパンチ!)──よしもとおもしろ水族館
http://suizokukan.laff.jp/blog/2009/12/post-46b1.html

●「ウツボーンは冬の珍味??」──モラスコむぎ「モラっこ水族館日誌」
http://mollusco.blog.shinobi.jp/Entry/97/

●「天王寺動物園ビデオポッドキャスト」配信スタート
http://blog.zaq.ne.jp/zoo_tennoji/daily/200912/11

●頭を上にした状態で葉にぶらさがるコウモリの「くっつく」仕組み
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=46292443
(ナショナルジオグラフィック)

●NHK総合2009年12月22日19:30-20:30「こんにちは!動物の赤ちゃん2009」
http://cgi4.nhk.or.jp/feature/index.cgi?p=PPfqKMBy&c=1

●2010年の上海万博に四川省から10頭のジャイアントパンダを1年間貸出

2010年前半は上海動物園、後半は野生動物園での飼育。(エクスプロア上海)
http://www2.explore.ne.jp/news/articles/13638.html?r=sh

●育児放棄に遭ったアフリカゾウの子をウクライナの動物園飼育係が自宅で飼育
http://www.waliboo.com/animaux_sauvages/news/un-bebe-elephant-la-maison/38857
(動画)http://www.youtube.com/watch?v=8SMqCgX6G3E

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▽そんなこんなで編集後記

 ・上記NEWS CLIPSでもご紹介した「モラスコむぎ」。徳島県牟岐町という、か
  なり「遠い」ところにありますが、自分としてはよ~くなじみのあるところ。
  ブログもついついチェックしてしまいます。ひいき目でスイマセン。

 ・忘年会など予定される季節、編集後記における「はっちゃけ度」とは何デス
  カーッ、と叫びながら遠い世界へ。

 ・2009年も今号を含めて2回配信で終了。一年をふり返る間もなく送信ボタン
  押下。送られた? 送られたの?                (大平)

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