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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.441 - 2009年07月10日
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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」
・夏に向けて盛り上がって盛り上がってポンポコの巻。
・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どうぶ
つと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジットカー
ド&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/
■目次■----------------------------------------------------------------
・上野動物園
├─コビトカバ誕生!
├─カリフォルニアアシカが生まれました
├─シュモクドリ、四つ子誕生
├─バナナ大好き、セバタンビヘラコウモリ
└─上野動物園イベント
・多摩動物公園
├─アゲハ類のために暑さをしのぐ袋がけ
├─コアラの赤ちゃん、名前は「ミライ」に決定
├─ガイドツアーの「サマータイム」7/20-8/31
├─サタデーナイト@TamaZoo、今年も開催!
├─ワープアクアリウム開催、海の生き物が来園
├─ユキヒョウ誕生! ユキとヴァルデマール新ペア繁殖
└─アミメキリンの「リンタ」が死亡しました
・葛西臨海水族園
└─水族園のアーティスト集団、マイワシ
・井の頭自然文化園
├─オオコノハズクの展示
├─カイツブリの子育て順調、さらに産卵
└─井の頭自然文化園のイベント
・東京動物園友の会
└─「どうぶつと動物園」2009年夏号ができました!
・書籍紹介──倉谷うらら『フジツボ──魅惑の足まねき』
■上野動物園■==========================================================
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▼コビトカバ誕生!
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上野動物園のコビトカバ、「ショウヘイ」(オス)と「エボニー」(メス)
のあいだに7頭目の赤ちゃん(メス)が生まれました! 写真はこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12058
2009年6月22日の夕方、ふだんえさをよく食べる時間帯なのに、エボニーの
ようすがいつもと違います。えさに見向きもせず、じっと伏せているのです。
ふと気づくと、エボニーのお尻のあたりから羊膜が少し見えていました。
エボニーはそれから何度もお腹に力を入れていましたが、なかなか赤ちゃん
は生まれてくれません。けっして若くはないエボニーを見守っていると……呼
吸が急に荒くなった途端、勢いよく赤ちゃんが生まれました! 18時56分でし
た。出産を終えたエボニーは、鼻先で赤ちゃんを自分の脇に寄せ、そっと寄り
そって眠ってしまいました。
その後の赤ちゃんの成長の早さは目をみはるばかりです。生まれた翌日、ち
ゃんとお母さんのお乳を飲んでいたのでホッとしていると……なんとその日の
うちに、お母さんのまねをしたのか、草を口に入れて噛んでいるではありませ
んか!
その2日後、赤ちゃんは大胆にもエボニーについてプールの中へ……。しか
し、赤ちゃんのようすを見ていると、すでに夜のうちに何度も泳ぎの練習をし
ていたようです。このとき、エボニーの母としてのベテランぶりを垣間見るこ
とができました。エボニーは、沈みそうになる赤ちゃんの体を鼻先で押し上げ、
おぼれないようにしてやっているのです。こうした支えがあってこそ、赤ちゃ
んは泳ぎをおぼえていくのだなぁ、と感動した瞬間でした。
その後も驚きと感動の日々は続き、赤ちゃんはエボニーのえさをつまみ食い
するほどになりました。誕生直後は骨が浮き出して弱々しかった体も、今では
ぷっくりとしていて、力強さも感じさせます。まだまだ成長中の赤ちゃんコビ
トカバ。上野動物園でぜひごらんください。
〔上野動物園西園飼育展示係 山本達也〕
・過去の動画ニュース「コビトカバの親子」(2006年04月)
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0604_02/index.html
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▼カリフォルニアアシカが生まれました
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2009年6月21日、上野動物園のカリフォルニアアシカに子どもが生まれまし
た。父親はジョン、母親はチャッピーです。写真はこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12057
上野動物園のアシカ池では毎年出産が見られます。2頭のメス(カコとチャ
ッピー)が交互に産むことが多く、いずれもすでに出産5回以上のベテランマ
マさんです。
アシカ池には、昨年(2008年)生まれたカコの娘カリンがいますが、今回の
赤ちゃんの母親はカコではありませんし、カリンはもう魚をふだん食べていて、
お乳をもらうことはなくなりました。そのため、今回の赤ちゃんを気にするよ
うすは見られません。ただ、何かを感じるのか、赤ちゃんが生まれる前後は、
カコの乳を吸う行動が目立つようなりました。
アシカ池で同居しているゼニガタアザラシのメイ(メス)は、ときどき赤ち
ゃんのようすを見に来ます。そして、そのたびに母親チャッピーに怒られてい
ます。それでも気になるのか、メイは赤ちゃんのようすをうかがいに繰り返し
やって来ます。
父親ジョンは育児に協力しませんが、ときどき子を見に行っては、やはりチ
ャッピーに威嚇されています。ふだんは気の弱い性格のチャッピーも、子育て
の時期には気が強くなり、たのもしい一面をのぞかせます。
チャッピーは出産5日前からえさを食べなくなり、出産後も4日間、子につ
きっきりで、10日近くえさを食べませんでした。子が育つにつれ、安心したの
か、除々にえさを食べるようになり、子から目を離す時間も増えました。赤ち
ゃんも最初は弱々しく、きちんと四肢で立って歩くことができませんでしたが、
徐々に活発になり、ひとりで歩いたり、階段を登り降りするようになりました。
アシカの子は、生まれてすぐ泳げるわけではありません。顔を水につけたり、
浅瀬で泳ぐ練習をしたりしながら、だんだん泳げるようになります。昨年生ま
れのカリンは、生後2週間で泳ぐことができるようになりました。個体によっ
て、泳ぎ始める時期はだいぶ異なります。今年の子はいつごろ泳ぐことができ
るようになるでしょうか。
母親チャッピーは、「大丈夫。泳いでみたら?」とでも語りかけるように、
ときどき水の中から子を呼びます。しかし、自分の目の届かないところで子が
泳いでいると不安になり、すぐ陸に連れ戻そうとします。
今日(7月5日)、子が浅瀬で水にひたっているすがたを初めて見ることが
できました。7月6日には、浅瀬から浅瀬へと短い距離を泳いでわたれるよう
にもなりました。教育はベテランママにお任せし、私は他のアシカやアザラシ
とともにカリフォルニアアシカの赤ちゃんの成長を見守っています。
〔上野動物園東園飼育展示係 野田瑞穗〕
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▼シュモクドリ、四つ子誕生
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2009年6月の初めに上野動物園でシュモクドリの卵がかえりました。といっ
てもこの目で確認したわけではありません。シュモクドリの巣は大きなドーム
状をしていますが、入口はシュモクドリがちょうど入れる程度の大きさしかな
く、巣の中をうかがい知ることができないのです。
手がかりとなるのは、ひなの鳴き声、そして、親鳥がえさを食べているすき
にカメラを巣に入れて撮影した画像です。この撮影方法により、4羽のひなを
確認することができました。
かえったばかりのひなは、薄灰色の幼綿羽(ようめんう:ひなに特有のふわ
ふわした羽毛)で覆われていましたが、孵化後19日目にはシュモクドリの特徴
でもある冠羽(かんう:鳥の頭部に伸びる特徴的な羽毛)がすでに生えそろっ
ています。シュモクドリの冠羽は後方に伸びており、頸を撞木(しゅもく=ハ
ンマー)の柄と見立てたとき、この冠羽とくちばしが撞木の頭に見えるため、
シュモクドリと呼ばれているのです。写真は、こちら↓のページをどうぞ。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12056
孵化後1か月も経つと羽毛も生えそろい、親と変わらない外見になります。
巣立つのは孵化後44~50日なので、みなさんの前にひなが登場するのは7月中
旬、もう間もなくです。
上野動物園にいらっしゃったときは、シュモクドリの巣にも注目してくださ
い。人が作ったわけではありません。シュモクドリが枝や藁を球状に組み上げ、
りっぱな巣を作りあげました。重さは約33キログラムにもなります。
鳥の巣は卵を産み育てる場所であることが多いのですが、シュモクドリの巣
はねぐらとしての役割も果たしています。そのため、長持ちする頑丈な巣を作
りあげるのでしょう。りっぱな巣なので、野生では猛禽類や小型哺乳類、爬虫
類など、さまざまな生き物に乗っ取られることが多く、1年につき3~5個の
巣を作るそうです。
・東京ズーネットBBの動画「シュモクドリ」(2008年09月撮影)
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0809_03/index.html
〔上野動物園東園飼育展示係 永野知〕
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▼バナナ大好き、セバタンビヘラコウモリ
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先週、セバタンビヘラコウモリの子育てについてお伝えしました↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11935
今週は、ふだんの彼らのくらしぶりをちょっとだけ紹介します。
セバタンビヘラコウモリは植物を食べるコウモリです。えさとして、上野動
物園では毎日バナナやオレンジ、リンゴを与えています。また、土曜・日曜・
祝日の午前11時ごろ、ハチミツを薄めたジュースを与え、食事風景をごらんい
ただいています。
毎日午後2時から3時ごろ、木の枝にえさをつけて部屋の中に入れます。コ
ウモリたちも腹時計(?)と、部屋の外でえさの準備をする係員の気配でえさ
の時間を察知するようで、たくさんの個体がせわしなく飛び回り始めます。
そこにえさをつけた木の枝を入れてやると、お腹をすかせたコウモリたちが
つぎつぎに飛んできて、まずバナナから食べ始めます。飛びながら一口かじっ
ていくもの、バナナにちょっと止まって二、三口かじっていくもの、はたまた
しっかりとバナナにしがみついて10秒くらい独占して食べ続けるものなど、食
べかたはさまざまです。写真はこちら↓のページをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12055
そしてバナナをあらかた食べつくすと、彼らはとりあえずお腹がいっぱいに
なるのか、天井にぶら下がって休憩モードに入ります。ときどき、えさのよう
すを探りに飛んでくる個体もいます。残りのオレンジとリンゴは、夕方以降、
次の日の朝までに食べます。
飛ぶためにたくさんのカロリーを必要とするコウモリは、体の大きさの割に
は多量のえさを食べます。
そんな彼らのえさの時間は、上にも書いたとおり、午後2時から3時くらい
のあいだです(小獣館には飼育展示室がたくさんありますが、小獣館入口に近
いところから順番にえさを入れていくため、時間には幅があります)。つぎつ
ぎにえさに群がり、バナナを食べつくしていくセバタンビヘラコウモリたちの
ようすをぜひ見に来てください!(小獣館、ただいま冷房中です!)
・東京ズーネットBBの動画「セバタンビヘラコウモリ」(2003年03月撮影)
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0303_02/index.html
〔上野動物園西園飼育展示係 井上智右〕
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▼上野動物園イベント
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◎真夏の夜の動物園8/11-8/16追加情報
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=12012
◎発泡スチロールの日、ホッキョクグマに鮭をプレゼント
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=12011
◎映画「クヌート」からホッキョクグマに氷のプレゼント
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=12010
■多摩動物公園■========================================================
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▼アゲハ類のために暑さをしのぐ袋がけ
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蒸し暑い日が続いています。暑くなると、多摩動物公園昆虫園では、チョウ
飼育室の幼虫死亡率が高まります。エアコンを入れても、あまり効果がないた
め、苦労のわりにあまり報われない季節です。
とくにクロアゲハ、ナミアゲハなど、シロオビアゲハを除いたアゲハのなか
まは全滅、あるいは幼虫の1割か2割しか蛹にならない状態が続きます。
この状態を改善するため、昆虫生態園の裏側にあるミカンの木を利用するこ
とにしました。このミカンの木はコナラの大木の下にあり、涼しくて風通しの
よい場所に植えられています。このミカンの木に防虫ネットで作った袋をかぶ
せ、幼虫をその中で育てることにしたのです。
幼虫は2令か3令まで室内で育て、防虫ネットの目から出られない大きさに
なったらミカンの木に移し、蛹になる直前まで屋外で飼育します。室内より温
度が低いため、成長に時間がかかりますが、幼虫の死亡率は下がります。暑さ
がおさまる10月ごろまで、この飼育方法を続ける予定です。
〔多摩動物公園昆虫飼育展示係 深谷高司〕
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▼コアラの赤ちゃん、名前は「ミライ」に決定
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下記ニュースでお伝えしたとおり、多摩動物公園では、2009年10月25日に生
まれたコアラの赤ちゃんの名前を募集していました(出袋日[しゅったい:お
母さんのお腹の袋から完全に出た日]2009年4月27日)が、このたび名前決定!
・誕生、出袋、名前募集のニュース
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11403
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11436
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11694
その名は……「ミライ」です!
いただいた投票は全部で 1,360票。「ミライ」は190票でした。
2位は「ミラ」でしたが、こちらは32票。かなりの票差でした。
2009年7月12日(日)11:30~12:00、ウォッチングセンター内動物ホールで
命名式を開催します。成長記録もご紹介します。
コアラの赤ちゃんの毛色は茶色ぽいのですが、ミライはこれまでの赤ちゃん
にくらべると、やや薄めの茶色のようです。最近は、お母さん「ミリー」の背
や頭に乗って動きまわっています。ユーカリの葉も口にするようになりました。
写真はこちら↓のニュースページをどうぞ。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12053
コアラはよく寝る動物ですが、ミライもお母さんといっしょによく寝ていま
す。お母さんの体に埋もれるようにして、でも顔を外に出して寝ているミライ。
母子のようすを多摩動物公園でごらんください。
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▼ガイドツアーの「サマータイム」7/20-8/31
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多摩動物公園では夏休み期間中、ガイドツアー・サマータイムを実施します。
実施期間 2009年7月20日(月)~8月31日(月)
開始時間 午前10時、または午後3時
炎天下で暑さをしのぐ動物を見るのも一興ですが、坂道の多い当園で真夏の
日中に行なうツアーは、やはりお客様の身体に負担がかかります。また、同じ
動物や同じコースでも、少し時間を変えてみると、いつもとはちがった動物の
表情をごらんになれます。
そこで、通常午前11時または午後2時から実施しているガイドツアーの時間
を、夏休み期間中のみ変更することにしました。午前は1時間早く10時。午後
は1時間遅く3時から開催します。
朝運動場に出てきた動物や、夕方近くになってそろそろ動き出す動物を見な
がらコースをまわります。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
※実施曜日はこれまで通り、金、土、日、月、祝日です。
※2009年7月31日(金)と8月1日(土)は実施曜日ですが、特別企画実施
のためガイドツアーを中止いたします。
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▼サタデーナイト@TamaZoo、今年も開催!
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2009年8月1日、8日、15日、22日、29日の各土曜日、多摩動物公園は午後
8時30分まで開園します! 入園は午後7時まで。一部見られないエリアもあ
ります。くわしくはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11992
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▼ワープアクアリウム開催、海の生き物が来園
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2009年7月26日(日)、葛西臨海水族園から、海の生き物が多摩動物公園に
やってきます!
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=12013
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▼ユキヒョウ誕生! ユキとヴァルデマール新ペア繁殖
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ウェブサイトではすでにお伝えしたとおり、多摩動物公園でユキヒョウ誕生。
母はユキ、父はヴァルデマール。ヴァルデマールは今回が初めての繁殖です。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11970
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▼アミメキリンの「リンタ」が死亡しました
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こちらもすでにウェブサイトでお伝えしましたが、いしかわ動物園から多摩
動物公園に来園していたアミメキリンのリンタが死亡しました。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11950
■葛西臨海水族園■======================================================
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▼水族園のアーティスト集団、マイワシ
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みなさんはレオ・レーニの絵本『スイミー』のお話を知っていますか? 小
さな魚が群れになって大きな魚のかたちをつくり、自分たちを食べようとする
大きな魚を追い払うお話ですね。今、葛西臨海水族園に入って一つ目の水槽、
アカシュモクザメの泳ぐ「大洋の航海者:サメ」には、スイミーたちのように
大きな群れをつくる魚がいます。それはマイワシです。
マイワシは沿岸から沖合の海面近くを群れで泳ぎながら生活しています。口
を大きく開けて泳ぎ、えらにある「鰓耙」(さいは)と呼ばれるクシのような
部分で、水中のプランクトンをこして食べます。また、マイワシは食用魚種と
して利用され、私たちの食卓にものぼります。
さて、マイワシはなぜ群れをつくるのでしょうか? 魚が群れをつくる理由
のひとつは、襲ってくる敵から身を守ることです。小さな魚もたくさん集まれ
ば、全体で大きな魚に見せかけることができます。これはスイミーたちと同じ
作戦ですね。
また、敵が襲ってきたとき、その前を無数の小さな魚が動き回れば、狙いを
さだめにくくすることができます。さらに、まわりを見ている個体がたくさん
いるので、いち早く敵に気づくこともできます。そして、残念ながら襲われて
しまっても、少しの犠牲を残して群れのほとんどが逃げることができます。
このように、群れを作ることで個々の魚が身を守れるだけでなく、群れ全体
が生き残ることにもつながります。ほかにも群れをつくる理由には、集団で効
果的に餌を見つけたり、繁殖相手が探しやすかったり、多くの利点があります。
水槽の中でマイワシたちがつくる群れは、まん丸のボール、グルグル回る竜
巻、ドーナツ、そしてクジラなど、いろいろなかたちに見えます。キラキラと
光りながら、統率されたかのような動きでかたちを変えるマイワシの群れは芸
術的です。また、マイワシの群れに見入っていると、突然アカシュモクザメが
マイワシのトンネルから現れてびっくりすることもあります。ぜひ、葛西臨海
水族園にお出かけになり、マイワシたちの織りなすアートをごらんください。
・マイワシの群れの写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12052
〔葛西臨海水族園飼育展示係 雨宮健太郎〕
■井の頭自然文化園■====================================================
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▼オオコノハズクの展示
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先月(2009年6月)、井の頭自然文化園にあらたななかまが加わりました!
長野市茶臼山動物園からやってきたオオコノハズクのモモ(メス、2008年4月
17日生まれ)、リョウ(オス、2008年4月19日生まれ)、カイ(オス、2008年
4月3日生まれ)の3羽です。
オオコノハズクはフクロウの中でも小型で、隣に展示されているメンフクロ
ウの2分の1ほどしかありません。体の色は木の幹によく似た保護色になって
います。
おまけにオオコノハズクは夜行性。日中はほとんどじっとしています。です
から、「あら、ここには何もいないわね」といって素通りしてしまわないよう
にご注意を! よ~く目をこらすと、うまく木々に溶け込んでいながら、しっ
かりこちらの様子をうかがっている、愛らしいオオコノハズクたちのすがたが
見えてくるはずです。
来園したばかりのころは、パチン、パチンとくちばしで鳴らす警戒音を発し
ていたオオコノハズクたちですが、今では新居にもなじんだようすで、飼育係
の手にも乗ってくれるようになりました。運がよければ、そんなすがたもごら
んになれることと思います。
展示場所はモルモットのふれあいコーナーの手前です。ぜひ、井の頭自然文
化園のニューフェイス、オオコノハズクに会いに来てください!
・オオコノハズクの写真はこちら↓のニュースページをどうぞ。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12051
〔井の頭自然文化園飼育展示係 古川沙織〕
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▼カイツブリの子育て順調、さらに産卵
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井の頭自然文化園水生物館でカイツブリのひなが順調に育っています。これ
までのニュースはこちら↓
・ニュース「カイツブリのひなが親鳥の背中から顔を出しました」
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11790
・ニュース「カイツブリのひなの成長」
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11850
・ニュース「大きくなったカイツブリのひな」
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=11930
・動画ニュース「カイツブリのひな、成長中」
http://www.tokyo-zoo.net/movie/information/0906_01/index.html
カイツブリのひなの成長は、毎日のように見ていても感じられるほどです。
先週まではさかんに親鳥の背中にもぐり込もうとしていたひなたちですが、今
はもぐり込もうとする気配はありません。それもそのはず。もう大きくてもぐ
り込めないし、背中に乗れないのです。ひなの体は親鳥と同じくらいになって
きました。
成長は体だけでなく、行動にもあらわれています。よく水中を眺めているひ
なですが、潜水練習には後押しが必要なのでしょう。親鳥につつかれて半強制
的な潜水訓練を重ね、最近では自力で小魚(モツゴ)を捕まえることもできる
ようになってきました。
でも、ひなは魚よりも、孵化直後から食べてきたミールワームやコオロギを
好んで食べます。親鳥がくわえて持っていったときの反応が明らかに違うので
わかります。
ミールワームを水面にまくと、ひなは親鳥がくわえて持ってきてくれるミー
ルワームを食べつつ、自分でも近くに浮いているミールワームをつぎつぎに食
べます。そして大好物のミールワームをほかのひなに与えることがあります。
ひなが同腹(同じ母親からいっしょに生まれた個体)のひなに給餌しているの
です。どうも、あるていどお腹がいっぱいになった大きなひなが、自分より小
さなひなに与えているように見えます。兄弟への手助けですからわかりやすい
のですが、こういう行動は鳥の生態としてふつうに見られるわけではないよう
です。くわしく観察してみようと思います。
順調なひなの成長のかたわら、親鳥には「不審な」行動が見られていました。
まだ、ひなを背中に乗せ、幸せそうな家族の風景が見られた6月の下旬から、
さかんに巣の手直しをして、巣の上で首を下げた求愛姿勢や交尾姿勢が観察さ
れていたのです。そして、2009年7月5日には予想通り産卵が始まりました。
ひながいるのに産卵を始めるのは、野外でも観察されることで異常なことでは
ありません。
今育っているひなが巣立つのは7月下旬から8月上旬だと思われます。卵は
約3週間で孵化しますから、あらたなひなが誕生するころには、今のひなは親
鳥に追い立てられ、同じ水槽にはいられなくなってしまう計算です。
親鳥が抱卵を始めるまで、ひなたちは巣の上で休んでいました。でも今はひ
なたちは巣に入れてもらえません。巣の近くの陸地に肩寄せあって並んでいる
のです。
日々、あらたな発見と展開があり、あきることなく毎日観察を楽しんでいま
す。みなさんもぜひ、間近で繰り広げられるカイツブリ劇場をごらんになりま
せんか。
・カイツブリたちの最新の写真はこちら↓のニュースページをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=12050
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕
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▼井の頭自然文化園のイベント
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◎夏の夕暮れ・狸ばやしコンサート8/13-14 スティールパンとガムラン演奏
なぜ打楽器?──それは、狸だからですポンポコ。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11991
(開催中の特設展示「井の頭狸庵にようこそ──のぞいてみるタヌキの真実」
についてはこちら↓)
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11590
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11650
◎文化園コンサート「‘音’を楽しむ」出演者大募集!
出演者を募集しております。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11990
(募集要項はこちら↓から)
http://www.tokyo-zoo.net/event/temp/2009_07/inokashira_concert.pdf
■東京動物園友の会■====================================================
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▼「どうぶつと動物園」2009年夏号ができました!
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チンパンジーが「空き缶回収機」を利用するまでのくわしい経緯、アフリカ
ゾウ搬出トレーニングの実際、アフリカゾウとアジアゾウの骨格のちがい、右
利き(!)のヘビなど、充実の夏号が完成しました!
「どうぶつと動物園」は東京動物園友の会の機関誌です。年会費2,000円。
友の会への入会資料請求は http://www.tokyo-zoo.net/member/ の「入会資料
申込み」でどうぞ。
クレジットカードをおもちの方は、オンラインでのお支払いも可能です!
→ http://www.tokyo-zoo.net/member/
【最新号(2009年夏号)の目次から】
[上野動物園]クロサイの赤ちゃん誕生
[多摩動物公園]「空き缶回収機」を利用したチンパンジー“ミル”
……木岡真一・永田裕基・島原直樹・高原由妃
[多摩動物公園]
アフリカゾウ“アイ”を搬出するまで──安全な輸送のためのトレーニング
……中尾理幸・片柳雅之・山口翔平・櫻井佑子・野本寛二
骨格から見たアフリカゾウとアジアゾウ
──“タマオ”と“メナム”をくらべてみると……………………川田伸一郎
[上野動物園]「アイアイのすむ森」がオープンしました!
「右利き」ヘビのからだとくらし
──イワサキセダカヘビの歯の数が左右で異なる理由…………………細将貴
読者の誌上写真展
[多摩動物公園]
オオカミのパックができてから──ヨーロッパオオカミの動物園でのくらし
……熊谷岳
[上野動物園 両生爬虫類館]マダガスカル──ゴンドワナの落としもの
[詩]カブトムシ 木坂涼 画・長谷川義史
[ヒト、どうぶつを語る]さまざまな動物とさまざまな人と…………三谷雅純
[多摩動物公園]未来ワークショップを開きました……………………冨田恭正
動物園の話題──海外から/国内から/東京から
新妻昭夫の図書館だより
[上野動物園]アジアゾウのトレーニング用の柵が完成
ほか
■ B O O K S ■=========================================================
『フジツボ──魅惑の足まねき』(岩波科学ライブラリー 159)
倉谷うらら、岩波書店、2009年06月24日刊
本体1,500円、ISBN978-4-00-007499-5
「自分でもあきれるほど、フジツボに心を奪われている」と始まるフジツボ
の本。読み進めるにつれ、フジツボの生態や人間とのかかわりが描き出され、
読者もフジツボの魅惑の世界にひきこまれていくのではないでしょうか。
巻頭で多様なフジツボが図鑑のかたちで紹介されたのち、貝類ではなく、カ
ニなどと同じ節足動物であることに始まって、フジツボがくっつく場所(特定
の相手[たとえばクジラ]にしかつかない種類もあるそうです)、節足動物だ
からこそ脱皮をすること、足をのばして水中のえさをつかまえること、動かな
いからこそ、生殖器が体長の何倍も伸びること、独特の生活史をもつことなど
がカラーイラストと写真でわかりやすく紹介されています。
また、フジツボはダーウィンが研究に没頭した動物のひとつ。「フジツボの
せいで『種の起原』の発表が遅れた」とさえ言われるそうですが、著者はむし
ろフジツボ研究はダーウィンの進化研究の基盤にあったことを示しています。
「背骨のある生物にはいまいち興味がわかない私だが」と前置きして紹介さ
れるのは、フジツボに擬態する魚の話。また、日本の本草画に登場するフジツ
ボに関しては、今のような「『きもち悪い生物』としての扱いは受けていない
ばかりか、美しいものとして認知されているように感じる」と書かれています。
最後の章では、フジツボと人間の関わり、とくに船などに付着することから
「汚損生物」と称されるフジツボについて、塗料などによる付着防止法や、フ
ジツボの有無によって船のスピードが大きく変わること(東郷平八郎は、敵艦
のフジツボ付着を予想し、その到着を遅めに予想したのだとか)、さらには指
標動物としての役割、また、歯科治療や水中接着剤の世界ではフジツボの「接
着力」が研究されていることなどが紹介されています。
巻末にはフジツボ観察法に加え、フジツボのペーパークラフトも! ページ
の端にはフジツボパラパラマンガも。岩波書店のページには、「変態パラパラ」
や「編集担当者のつぶやき」など、魅惑のコンテンツ満載。
・岩波書店の紹介ページ http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0074990/
本書には大型フジツボ「ピコロコ」も登場します。葛西臨海水族園のピコロ
コ動画はこちら→ http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0609_04/
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N E W S C L I P S
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●「杉田修一 Selection 作家が選んだ作家展」2009年7月21日~31日
ウッドクラフト、ステンドグラス、前掛けバッグ、ニードルフェルトの4人の作
家展。ニードルフェルトで動物を創られている加門純子さんは岡山県の動物園に
勤務していた方。動物をモチーフにされているのは、もう一人、ウッドクラフト
の杉田修一さん。上記期間、東京都千代田区の彌屋(やや)ギャラリー↓で開催。
http://www.imperial-arcade.co.jp/shop/art/yaya.html
平日10時~19時、日祭日10時~17時、無休、初日は12時から、最終日は15時まで
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つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
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▽編集後記
・突如インターネットに接続できなくなりボーゼン。ぜんぜん復旧せず。ISDN
につないでみたら、あ、つながった! なんだか懐かしいこの感覚。画像も
ゆっくり表示されます……とか言ってる場合じゃなかったので送信アワワワ。
・ご紹介した書籍『フジツボ』の表紙を拝見したとき、副題の「魅惑の足まね
き」が独特のフォントでした。これはなにかある……。ありました。
・東京動物園友の会の会誌「どうぶつと動物園」夏号ができました。友の会の
年会費は 2,000円。季刊「どうぶつと動物園」を年4冊をお届けします。友
の会への入会資料請求は http://www.tokyo-zoo.net/member/ の「入会資料
申込み」でどうぞ。クレジットカード決済も可能です。
・では、本号も長くなりましたが、ウェブページと合わせてごらんください!
(大平)
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メールマガジン ZooExpress No.441 - 2009年07月10日
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