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 Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.435 - 2009年05月30日

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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」

・持ち上げるだけでも大変。毎年恒例、大島公園動物園での体重測定&引越とは?

・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どうぶ
 つと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジットカー
 ド&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/

■目次■----------------------------------------------------------------

 ・東京ズーネットBB
   └─5月の動画が公開された、ですッて~!

 ・上野動物園
   ├─アイアイとキツネザルを新施設に移動
   ├─ひとりでお留守番、フクロモモンガの子ども
   └─インカアジサシが孵化しました

 ・多摩動物公園
   ├─ハキリアリ、選手交代しました
   └─グレビーシマウマの「ライム」誕生

 ・葛西臨海水族園
   ├─開園20周年シンボルマーク決定!
   ├─開園20周年特別企画「モーニングアクアリウム」参加者募集
   ├─トキソウが咲き始めました
   ├─「生きた宿」をもつヤドカリ
   └─カニ水槽オープン!

 ・井の頭自然文化園
   ├─井の頭狸庵にようこそ[1]東京の里山にくらすタヌキ&観察会
   └─非公開のツシマヤマネコがライブカメラで見られます

 ・大島公園動物園
   └─ゾウガメが屋外の運動場に引越しました

 ・書籍紹介──『レムール──マダガスカルの不思議なサルたち』

■東京ズーネットBB■====================================================

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 ▼5月の動画が公開された、ですッて~!
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  「東京ズーネットBB」は、動画でおつたえする動物園ニュース。「東京ズー
 ネット」 http://www.tokyo-zoo.net/ のトップページから、「TokyoZooNetBB」
 をクリックしてください。

 ◎うごく!どうぶつ図鑑

 【アルパカ「モコ」、Nowムーイング!】 ────────────────

  上野動物園のアルパカ「モコ」の鳴き声「ムー」。その意味は……。
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0905_01/index.html

 【ミナミコアリクイ「アイ」です、よろしくね】─────────────

  上野動物園にミナミコアリク「アイ」来園。アイとココのこれからは?
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0905_02/index.html

 【ヒガシクロサイ赤ちゃん、元気いっぱい】───────────────

  上野動物園クロサイ赤ちゃん続報! 駆け回ってます。
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0905_03/index.html

 【グレビーシマウマ「ライム」誕生】──────────────────

  多摩動物公園に10年ぶりのシマウマ誕生。元気に育っているようすを動画で。
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0905_04/index.html

 【ニワトリ「東天紅」の美声】─────────────────────

  「東天紅」の長い鳴き声が聞こえるのは、上野動物園の子ども動物園。
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0905_05/index.html

 ◎動物園よりおしらせ

 【「アイアイのすむ森」完成! 式典開催】───────────────

  マダガスカルの動物を展示する施設。上野動物園に完成しました!
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/information/0905_01/index.html

 ※「東京ズーネット」のモバイルサイトでも、動画を公開しています(約30
  秒)。動画再生対応機種でごらんください。アクセス先は、パソコン版と
  同じく、 http://www.tokyo-zoo.net/  です!

■上野動物園■==========================================================

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 ▼アイアイとキツネザルを新施設に移動
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  2009年5月23日、上野動物園に「アイアイのすむ森」がオープンしました。
 3月末に工事が終わり、その後は、展示室を造るために毎日木や竹を組み上げ、
 怒涛の3週間が過ぎ去りました。実際、展示室が完成したのは動物搬入の前夜
 というケースがほとんどだったのです。

  新施設に初めに入ったのは、東園で展示していたクロシロエリマキキツネザ
 ルのペアでした。5月17日の朝、室内展示室へ移したのですが、メスの「イブ」
 は緊張のあまり、しばらくうつぶせになったまま、まったく動きません。かな
 り心配したのですが、その後、枝にも登るようになり安心しました。

  翌5月18日は、アイアイとハイイロジェントルキツネザル全頭の大移動です。
 アイアイはなるべく静かに運びたかったため、巣箱の入口に運搬用の箱をつけ、
 巣箱の中にいるアイアイを運搬用の箱に直接追い込んでから、移動する方法を
 とりました。アイアイが巣箱にいるうちに作業しなければならないので、いち
 ばん早起きのオスの「マルミア」が目覚める前、朝の7時半から取りかかりま
 した。アイアイを無事移動させ、ハイイロジェントルキツネザルもケガをさせ
 ることなく、新居に入れることができました。

  同じ5月18日の午後、今度はワオキツネザルの引越しです。まず、東園にい
 るワオキツネザルのうち、1週間前に出産した母子を除いて、オス3頭を移動
 させました。つづいて、この日羽村市動物公園から到着したオス2頭も、新施
 設へ運びこみました。移動のようすは、東京ズーネットのニュースページで↓
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11618

  ワオキツネザルの展示場は、不忍池のほとりにある寝室から、池の中にある
 島まで、約8メートルの吊り橋がかかっています。島までなかなかわたろうと
 しませんでしたが、搬入後1週間後には全頭がわたりました。

  また、公開前日にブラウンキツネザル2頭が進化生物学研究所から到着。さ
 らに、クロシロエリマキキツネザルが市川市動植物園とサンシャイン国際水族
 館から1頭ずつ来園しました。

  準備も動物たちも間に合うか不安な日々でしたが、こうして無事オープンで
 きて心からほっとしています。アイアイも含め、少しずつ環境になれてきまし
 た。浮き桟橋を歩くと、不忍池やその周囲にはこれまでの上野動物園とは異な
 るひろびろとした空間が広がっています。気持ちのよい景観とともに、あたら
 しい施設をぜひお楽しみください。

 ・東京ズーネットBBの動画「『アイアイのすむ森』完成! 式典開催」
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/information/0905_01/index.html

                  〔上野動物園西園飼育展示係 細田孝久〕

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 ▼ひとりでお留守番、フクロモモンガの子ども
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  上野動物園西園にある小獣館の地下では、さまざまな夜行性の哺乳類を飼育・
 展示しています。今から約1か月前(2009年4月下旬)、ここでフクロモモン
 ガの子どもが出袋(しゅったい)しました。おとなのフクロモモンガはやや茶
 色がかった色をしていますが、子どものうちは灰色っぽい色をしています。写
 真は、下記ニュースページの写真をごらんください。1枚目の写真の真ん中に
 小さく写っている子どもがおわかりになりますか?
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11617

  フクロモモンガは、コアラやカンガルーと同じく有袋類(ゆうたいるい)と
 呼ばれる動物で、母親のおなかの袋(育児嚢)の中で子どもを育てます。有袋
 類は、母親の子宮から産まれる日を知ることがむずかしく、出産日を特定でき
 ないことが多いため、身体の一部が袋からすがたを見せた「出袋日」を誕生日
 がわりにします。

  カンガルーなどでは、子どもが袋から顔だけ出したり、袋から自由に出たり
 入ったりしますが、フクロモモンガは体が小さいためか、一度袋から出てしま
 うと、戻ることはほぼありません。

  しかし、出袋したばかりの子どもは、まだ自分ではえさを採ったり、固形物
 を食べたりすることができません。そのため、母親がえさを食べに巣の外へ出
 かけていくときは、巣の中で留守番をすることになります。そして、母親が巣
 に戻ってきてから、袋の中の乳首に吸い付き、おっぱいをもらいます。

  出袋してから1か月、子どもはまだまだ小さいのですが、だいぶしっかりし
 てきました。巣の外の世界にデビューして、自分でえさを食べるのももうすぐ
 です。

 ・東京ズーネットBBの動画「フクロモモンガ」(2004年11月撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0411_03/index.html

                  〔上野動物園西園飼育展示係 井上智右〕
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 ▼インカアジサシが孵化しました
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  インカアジサシは、「インカ」の名のとおり、南アメリカ西部の海岸地帯に
 生息し、赤いくちばしと、ひげのように形にカールした白色の飾り羽が特徴的
 なアジサシのなかまです。

  上野動物園では、西園の水禽舎で飼育・展示しており、毎年繁殖が見られま
 す。野生のインカアジサシは海岸の傾斜地に穴を掘り、巣を作ります。ときに
 は、自然にできた穴を利用したり、ほかの鳥の作った巣穴を、そのまま「居抜
 き」で使用したりすることもあるそうです。

  動物園では、傾斜地や穴を掘る場所がないため、ケージ内にある高さ約3メ
 ートルのテラス状の場所にコンクリート製の「U字溝」を設置し、インカアジ
 サシに巣穴として利用させています。U字溝は土の上に伏せるようにして置き、
 一端は壁にあててふさぎ、もう一端はあけておきます。こうすると、高い場所
 に穴があるように見えるため、インカアジサシは中に入って地面に少しくぼみ
 をつくり、産卵します。

  卵はウズラの卵のように黒いまだら模様です。1回の産卵数は2個。卵は親
 の体のわりには大きく、ニワトリのチャボの卵くらい。重量は約40グラムです。
 そして、約4週間の抱卵後、ひなが生まれます。灰色の綿毛に包まれた孵化し
 たてのひなは、自分で歩くこともできますが、しばらくは巣の中でくらします。
 写真は東京ズーネットのニュースページ↓をごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11616

  ひなは、親と同じくキビナゴを食べます。キビナゴは親からもらい、1匹を
 丸ごとほおばるようにして食べます。

  ひなは1か月半ほど巣の中でくらした後、巣から出てきます(巣立ち)。巣
 立ちのときのひなは、親と変わらない大きさですが、体やくちばしは濃い灰色
 をしており、ひげのような飾り羽もまだ生えていないため、すぐに子どもとわ
 かります。巣立ちをしてもしばらくは親からえさをもらい、少しずつえさのと
 り方をおぼえていきます。おとなの体色になるまでには約2年が必要です。ま
 た、ペアをつくって繁殖できるようになるのも約2年後です。

  今年(2009年)は4月24日に最初のひなが孵化し、5月22日までに全6ペア
 がすべて孵化しました。例年ですと、大雨の影響で孵化しなかったり、ひなが
 死亡したりしますが、さいわい今年は大雨もなく、12羽のひながU字溝の巣の
 中で育っています──と原稿を書いた直後の5月24日、東京地方に大雨が降り、
 残念ながら2羽が死亡していしまいました。

  残りのひなは、順調に行くと6月中旬には巣立ちます。巣立ちの後、親に甘
 えながらえさをねだるひなのすがたが見られるようになるでしょう。

 ・東京ズーネットBBの動画「インカアジサシの餌やり」(2003年10月撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0310_02/index.html

                  〔上野動物園西園飼育展示係 神門英夫〕

■多摩動物公園■========================================================

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 ▼ハキリアリ、選手交代しました
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  昨年(2008年)、多摩動物公園は開園50周年を迎え、毎月さまざまな動物を
 テーマにした「月間動物」のイベントを開催しました。9月の月間動物は「昆
 虫」でした(おしらせ↓)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=9913

  昆虫月間のシンボルになったのがハキリアリですが、展示してきた群れの勢
 いが次第におとろえ、葉を切る行動も少なくなってきました。

  そこで、2009年4月22日、バックヤードで飼育していた予備群と入れ替えま
 した。これまで展示していた群れの飼育ケースをくわしく検査したところ、ケ
 ースの片隅で死亡している女王アリを見つけました。そのまわりを多くの働き
 アリが取り囲んでいます。そのようすは、動かなくなった女王アリを、いまだ
 に守っているようにも見えました。なお、この女王アリは2003年7月に昆虫園
 にやってきました。長いあいだ、ご苦労さまでした。

  あたらしく展示した群れは、2008年11月10日に南米のペルーからやってきま
 した。ハキリアリは葉をかじり取って巣に持ち込み、そこで菌類を栽培して、
 「菌巣」をつくり、自分たちの食糧にします。あたらしい群れは日本にやって
 きて半年あまり。まだ菌巣も小さいのですが、これから徐々に大きくなってい
 くと思いますので、見守ってやってください。

 ・2007年のハキリアリ「選手交代」ニュース
   http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=6435

 ・東京ズーネットBB、動画「ハキリアリ」(2003年撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0303_05/index.html

                〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 野村友宏〕

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 ▼グレビーシマウマの「ライム」誕生
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  2009年5月19日、多摩動物公園でグレビーシマウマのメス「ライチ」が出産!
 10年ぶりのシマウマ誕生です。父親は「ノバータ」。赤ちゃんはオスで、「ラ
 イム」と命名しました。さわやかな季節に生まれた子どもに、さわやかな香り
 の果実の名、そして、未《来》の《夢》を託して……。

  ライムの母親ライチは1999年3月26日、多摩動物公園で生まれた個体です。
 父親ノバータは1990年7月13日、チェコのドゥヴール・クラーロヴェー動物公
 園 http://www.zoodvurkralove.cz/en/ 生まれです。

  母親ライチは初産ですが、おちついて子育て中。赤ちゃんは生まれて30分後
 には立ち上がり、今では軽く跳ねるように走ったりしています。母親のお乳を
 飲んでは横になって休むなど、順調に育っています。

  現在、アフリカ園サバンナ内の一区画である「小放飼場」に母子だけを入れ
 ています。今後、ようすを見て、群れといっしょにする予定です。

 ・本号上↑の記事でもご紹介しましたが、グレビーシマウマの母子のようすを
  東京ズーネットBBの動画でご紹介しています↓(2009年05月20日撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0905_04/index.html

■葛西臨海水族園■======================================================

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 ▼開園20周年シンボルマーク決定!
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  葛西臨海水族園は、1989年10月10日に開園しました。今年(2009年)10月10
 日に開園20周年を迎えます。20周年を記念して、このたびシンボルマークを作
 成しました。デザインは、東京ズーネットのニュースページ↓をどうぞ。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11613

  葛西臨海水族園は、約 500種45,000点の生物を飼育展示しています。その主
 役は魚とペンギン。シンボールマークは、主役である「魚」と「ペンギン」を
 組み合わせたデザインです。

  現在、開園20周年の特別イベントをたっぷり企画中。お楽しみに!

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 ▼開園20周年特別企画「モーニングアクアリウム」参加者募集
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  1989年10月10日で開園20周年を迎える葛西臨海水族園。その特別企画として
 2009年4月から1年間、開園前の水族園を見学するガイドツアー「モーニング
 アクアリウム」を開催しています(4~6月開催分のお知らせはこちら↓)。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11134

  今回、第2期(7月と9月実施の4回分)の募集をおこないます。早朝、人
 の少ない水族園は特別な世界。ご応募お待ちしています! くわしくは↓
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=11591

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 ▼トキソウが咲き始めました
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  葛西臨海水族園「水辺のエリア」にある流れの湿地でトキソウが咲き始めま
 した。トキソウの名前の由来は、花の色がトキの繁殖期の羽の色に似ているか
 らとのことです。写真は東京ズーネットのニュースページ↓をごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11612

  本家のトキほどではありませんが、トキソウも個体数が減っていて、環境省
 レッドリストでは準絶滅危惧種に指定されています。開発による湿地の消失や、
 花がきれいなことから起きる園芸目的の盗掘などによって、年々数が減ってい
 ます。

  野生のトキソウは湿地や湿原に生育しています。それも日当たりがよく、栄
 養分の乏しい湿地です。こうした本来の生育条件にかなった場所に移植しない
 と、植物は生長しなかったり、他の植物との競争に負けたりして年々衰退し、
 数も先細りになってしまいます。逆に、生育に適した条件に移植すれば、毎年
 株が増え、花を咲かせてくれます。

  また、トキソウは高さ約20センチほどで、背丈の低い植物なので、来園者か
 ら見やすい位置に展示しないと、せっかく花が咲いても見ていただけません。
 そこで、流れの通路近くの浅瀬に、他の植物が増えにくい「栄養分の少ない土」
 を移植し、トキソウを植えました。

  この作業をおこなったのは昨年(2008年)なので、トキソウがこの場所を気
 に入ってくれたかどうか、その答は数年後に出ると思います。

                  〔葛西臨海水族園飼育展示係 橋本浩史〕

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 ▼「生きた宿」をもつヤドカリ
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  葛西臨海水族園の実験展示コーナーにある「トピック水槽」に、スタッグホ
 ーンハーミットクラブというヤドカリのなかまを展示しました。メキシコのカ
 リフォルニア湾でくらすヤドカリです。スタッグホーン(stag horn) とは、
 「オスジカのツノ」という意味です。シカのツノのように枝分かれした、とて
 も勇ましいかたちの「宿」をもっているのです。写真は、東京ズーネットのニ
 ュースページ↓をごらんください。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=11611

  ヤドカリの多くは巻貝の殻を宿にし、成長するとからだの大きさにあった貝
 殻に引越します。でも、スタッグホーンハミットクラブの宿は貝殻ではありま
 せん。スタッグホーンハイドロコーラルという、サンゴやイソギンチャクと同
 じ刺胞動物のなかまです。宿自身も成長するため、引越しをする必要がありま
 せん。また、成長しすぎて入口がふさがらないよう、ハサミを使って手入れを
 します。

  ヤドカリの中には、宿となる貝殻にイソギンチャクを乗せて持ち運ぶなかま
 が知られています。刺胞動物であるイソギンチャクは小さな毒針をもっている
 ため、それがヤドカリの身をまもるのに役立っていると考えられています。

  スタッグホーンハーミットクラブの「生きた宿」も、このような役割がある
 のかもしれません。大きな宿を持ち運ぶのは少し大変そうにも見えますが、安
 心して隠れることができる、大切な相棒なのでしょう。

  「生きた宿」を持つヤドカリ、スタッグホーンハーミットクラブを、葛西臨
 海水族園でぜひごらんください!
                  〔葛西臨海水族園飼育展示係 中沢純一〕

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 ▼カニ水槽オープン!
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  葛西臨海水族園「東京の海」の地先コーナーに「カニ水槽」がオープンしま
 した。水族園周辺は、陸上から観察するだけで、じつに10種類をこえるカニた
 ちが見られる「カニカニパラダイス」なのです。また、カニたちは、潮の満ち
 引きの影響をうける干潟や、海から少し離れた陸上など、さまざまな環境で暮
 らしています。この水槽では、そんなカニたちをご紹介しています。

  なんとかオープンしたカニ水槽ですが、ここに漕ぎつけるまではちょっと厄
 介なことがありました。当初は、水槽に砂をしきつめ、石を配置したりして順
 調に進んでいたのですが、いよいよ海水を入れ、ポンプを回し始めると、数日
 で水中がまっ茶色になり、何も見えなくなりました。

  じつは水槽の置いてある場所は、アシ等の植物を生育させるため、ギンギン
 に直射日光があたります。このため、あっという間に水中にコケ(珪藻)が大
 発生したのです。あわてて、排水付近の水通しをよくしたり、水流を強めたり、
 なるべくコケが滞留しにくい状況を作ったところ、なんとかコケの大発生を抑
 えることができるようになりました。それでだけではなく、小型のカニを入れ
 たところ、すぐ大型のカニが何匹も寄ってきて襲いかかるなどのトラブルも発
 生しました。なかなか思いどおりにはいかないものです。

  そんな中でようやくオープンできました。現在、干潟の部分では、小さなチ
 ゴガニがハサミを上下に振り動かして踊るすがたが見られたり、陸上では、大
 きく堂々としたクロベンケイガニなどのすがたが少しずつ観察されるようにな
 ってきました。まだまだ発展途上の水槽ですが、今後もカニたちがくらしやす
 く、観察しやすい水槽にしていくつもりです。

                  〔葛西臨海水族園飼育展示係 田辺信吾〕

■井の頭自然文化園■====================================================

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 ▼井の頭狸庵にようこそ[1]東京の里山にくらすタヌキ&観察会
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  井の頭自然文化園では現在、本園の資料館でタヌキをテーマにした特設展示
 「井の頭狸庵にようこそ──のぞいてみるタヌキの真実」を開催中! その展
 示の内容を、今回から3回にわたって紹介します。

  タヌキといえば昔話や童謡に登場し、だれもが名前を知っている動物ですが、
 ほんとうの姿はあまり知られていません。お腹がポッコリ、金玉がでかいなど、
 信楽焼のイメージをそのまま実際のタヌキにいだいている方もいるようです。

  そこで、身近なタヌキをもっとよく知ってもらうおうと、展示では東京の里
 山にくらすタヌキと井の頭の周辺にくらすタヌキを紹介するとともに、日本人
 が描く狸の姿の変遷をテーマに、狸文化についても紹介しています。

  展示は古い民家(井の頭狸庵)に来園者を招待するというストーリー。この
 民家は、青梅市永山北部丘陵(青梅の森)に実在する築 100年の農家をモデル
 にしました。また、最初のコーナーでは、この青梅の森での取材をもとに、東
 京の里山でのタヌキのくらしを紹介しています。

  青梅の森で観察されたアナグマやキツネの巣穴、けもの道などをビデオや写
 真で紹介するとともに、タヌキのタメフンや、タメフンから出てきたモノ、タ
 ヌキのおもちゃなどの本物も展示しています。東京にもこんな場所があるんだ!
 と、おどろかれる来園者の方も少なくありません。

  先週2009年5月24日には、特設展示にあわせて、この青梅の森で観察会を実
 施しました。あいにくの雨でしたが、長年この青梅の森で動物を観察している
 熊谷さとしさんの案内のもと、30人ほどの参加者が里山を歩きました。けもの
 道をタヌキの目線でたどったり、タメフンの臭いをかいだり、急な斜面で足を
 すべらせながら、そこにいくつも作られたアナグマの巣穴をのぞいたり、ニホ
 ンリスの「エビフライ」(リスが食べ残した松ぼっくりの芯)をさがしたり、
 みんな泥だらけになりながらも、里山歩きを堪能しました。

  次回は、二つめのコーナー、狸文化の奥深い世界をご紹介します。

                 〔井の頭自然文化園教育普及係 天野未知〕

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 ▼非公開のツシマヤマネコがライブカメラで見られます
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  井の頭自然文化園では、現在合計4頭のツシマヤマネコを飼育しています。
 そのうちの1頭、オスのトラジロウはヤマネコ舎で公開していますが、残りの
 3頭、オスのエビゾウ、メスのサクラとリリーは非公開施設で飼育し、繁殖を
 目指しています。

  今回、ヤマネコ舎に大型モニターを設置し、これら非公開の3個体をライブ
 カメラで見られるようにしました。また、あわせて長崎県が制作したツシマヤ
 マネコ紹介ビデオもごらんになれます。ビデオでは、ツシマヤマネコの生息地
 である対馬や、対馬での保護活動についても紹介しています。

  いずれ、ツシマヤマネコの子育てのようすが、モニターでごらんになれるか
 もしれません。

 ・東京ズーネットBB動画「ツシマヤマネコ、井の頭に来園」(2006年6月撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/information/0611_01/index.html

 ・東京ズーネットBB動画「ツシマヤマネコ公開!」(2007年10月撮影)
   http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0710_01/index.html

■大島公園動物園■======================================================

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 ▼ゾウガメが屋外の運動場に引越しました
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  2009年5月21日、大島公園のアルダブラゾウガメ9頭とケヅメリクガメ2頭
 を、温室から屋外の運動場へ移しました。

  大島公園では、「最低気温15度以上」を目安にして、ゾウガメの引越しをし
 ています。運動場に出る前に、全頭の体重を測りました。

  いちばん重かったのは、アルダブラゾウガメの「ロク」(オス)で、 195.1
 キログラムありました。1995年に来園したロクは、当時 130キログラムだった
 ので、この14年間で約65キログラム体重が増えたことになります。

  温室から運動場に出たゾウガメたちは、青々と茂った芝生をおいしそうに食
 べていました。この日、ゾウガメたちは、近くの保育園から見学に来てくれた
 子どもたちから特別にアシタバのプレゼントをもらいました。

                       〔大島公園動物園 天野典子〕

■ B O O K S ■=========================================================

 『レムール──マダガスカルの不思議なサルたち』(進化生研ライブラリー8)

     監修=淡輪俊、編著=宗近功
     企画=財団法人進化生物学研究所、東京農業大学「食と農」の博物館
            東京農業大学出版会、2009年03月10日刊、本体3,600円
                          ISBN978-4-88694-205-0

  上野動物園は2009年5月23日、「アイアイのすむ森」を公開。この新施設に
 は、上↑の本文記事にもあるとおり、クロシロエリマキキツネザルやハイイロ
 ジェントルキツネザル、ワオキツネザルなど、マダガスカルのキツネザル類が
 います。そこで、キツネザルの本をご紹介します!

  ただし、財団法人進化生物研究所の創立者である故・近藤典生博士は、キツ
 ネザルという呼称を嫌い、「レムール」を使用したとのこと。本書もその表記
 法を踏襲しています(例:ワオレムール)。

  この本は、2008年から2009年にかけて東京農業大学「食と農」の博物館で開
 催された企画展を契機に刊行されました。最初に野生のレムール数十種が写真
 とともに紹介されており、その多様性に驚かされます。つづいてマダガスカル
 島のユニークな自然がその成り立ちとともに描かれ、近藤典生博士が設立され
 た「ボランティアサザンクロスジャパン協会」によるマダガスカルでの自然林
 復元保全活動について述べられています。

  保護区などで調査が進む一方で、観光地化の進んだ保護区では、ワオキツネ
 ザルが増えたり、ペットとして飼育されていたアカビタイキツネザルが野生化
 するなど、弊害も生じているそうです。

  最終章では、レムール類に「執念」とでも言うべき情熱を抱かれていた近藤
 博士について触れ、進化生物学研究所の飼育施設や繁殖実績、染色体から見た
 進化研究を詳述。さらには、ツィンバザザ動植物公園の概要が紹介されていま
 す。第1章以降も写真が豊富に添えられており、資料としても貴重な書籍です。

 ・財団法人進化生物学研究所 http://www.nodai.ac.jp/rieb/
 ・東京農業大学「食と農」の博物館 http://www.nodai.ac.jp/syokutonou/
 ・東京農業大学出版会 http://www.nodai.ac.jp/sites/syuppankai/

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  N E W S  C L I P S
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●葛西臨海公園と葛西海浜公園は開園20周年!
 「葛西臨海たんけん隊」開催

2009年5月30日、31日、6月1日、6日、7日、13日、14日、20日、葛西臨海水
族園、鳥類園、観覧車、なぎさなどで、自然について学びます。お話を聞いたり、
自然観察をしたり、マップ作り、取材に取り組んだり、さまざまなプログラムを
通じて楽しむ企画。小学生~大人が対象。参加は有料です。申込はメールかファ
ックスで。申込にあたっては、上記日程から1日をお選びください。くわしくは
公式サイトへ!→ http://www.cd-inst.co.jp/kasai/index.html

●和歌山県の迷いマッコウクジラ、移動距離減少(紀伊民報)
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=168456

マッコウクジラ、死亡時は海洋投入を検討(紀伊民報)
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=168672

●チェンマイ動物園でジャイアントパンダのメス誕生、タイでは初繁殖
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2607005/4198614 (AFPBB)

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▽編集後記

 ・なんだか気温の低い週末ですがなぜ。先週の大雨の影響はインカアジサシに
  も……(本文↑記事をどうぞ)。葛西臨海水族園は開園20周年企画でひた走
  っております。モーニングアクアリウム、どうぞご参加ください。

 ・さぁ今週も切迫してまいりました。ん? 「今週」?       (大平)

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