上野動物園・多摩動物公園・葛西臨海水族園・井の頭自然文化園──都立動物園・水族園の公式サイト

東京動物園協会

  • どうぶつを知る
    • 東京ズーネットBB
    • どうぶつ図鑑
    • 鳴き声図鑑
    • どうぶつQ&A
    • 動物たちの横顔
  • 保全への取組
    • 生物多様性保全活動宣言
    • 野生生物保全センター
    • 保全と教育普及活動
    • 希少動物の飼育と保全
    • これまでの繁殖賞
    • 東京メダカMAP
    • 環境への配慮
    • 東京動物園協会 野生生物保全基金
    • ジャイアントパンダ保護サポート基金
    • 東京湾のトビハゼのいま
  • ジャイアントパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」
  • 東京動物園友の会
  • TokyoZooShop
  • 年間パスポート
  • 上野動物園 サイン整備事業
  • ズーライブラリー蔵書検索
  • ボランティアについて
  • ご意見・ご要望

都立動物園マスタープラン (東京都サイトへ)


リストに戻る

========================================================================

 Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.376 - 2008年05月02日

========================================================================
・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」

・多摩動物公園は5月5日で50周年をむかえます。

・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どう
 ぶつと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジット
 カード&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/

■目次■----------------------------------------------------------------

 ・上野動物園
   ├─リンリン闘病記
   └─子どもたちの「夢」をかなえました

 ・多摩動物公園
   ├─生き字引ミミーばあちゃん
   ├─チンパンジーは茶つみに夢中!?
   ├─繁殖のためコアラ「コウ」埼玉へ、埼玉から「マックス」来園
   ├─大森山動物園からイヌワシ来園
   ├─シャモアをついに公開!
   └─モグラ舎リニューアル

 ・葛西臨海水族園
   └─巨大フジツボ、ピコロコの展示

 ・井の頭自然文化園
   ├─トウキョウサンショウウオの繁殖
   └─ヤマドリの人工授精

■上野動物園■==========================================================

 ----------------
 ▼リンリン闘病記
 ----------------

  2008年4月30日未明、ジャイアントパンダのオス「リンリン」は22年7か月
 の生涯を閉じました。

  2003年12月3日、メキシコからお嫁さんシュアンシュアンが来園。その後、
 2005年9月26日にシュアンシュアンは帰国しました。1985年9月5日生まれの
 リンリンは、20歳の大台を超えたころから、年齢による行動の変化が見られる
 ようになりました。食欲が徐々に減り、食べ方もゆっくりになっていきました。

  毎日おこなっている尿検査や体重測定をもとに、食事の内容や量をこまめに
 調節しながら、体調管理をつづけたところ、リンリンはしばらくベスト体重を
 キープし、経過も順調のようすで、来園者の方々にも愛くるしいすがたを見せ
 てくれていたのでした。

  そんなリンリンに変化が見られたのは、2007年の夏でした。7月中旬から竹
 を食べる量が少なくなり、午後の食事もすぐには食べない日がつづきました。
 翌朝には食べおえているのですが、それまで食べていたリンゴはまったく口に
 しなくなりました。

  こうした状態が1か月ほどつづいたある日、リンリンのあごの下が少しふく
 らんでいたのです。そこで食事に薬をまぜてあたえたところ、いったん症状は
 消えました。ところが数日後に再発。同様の投薬をこころみましたが、腫れは
 なかなかおさまりませんでした。

  私たちは文献をあたり、尿検査の結果や、過去のジャイアントパンダの事例
 をもとに、「慢性心不全」との診断をくだしました。リンリンの回復をはかる
 ため、これまでと同様、食事に薬をまぜたのですが、多くの薬は苦いものです。
 ところが、苦いのが大嫌いなリンリン。そこで、好物のナツメに薬をしのばせ、
 また、確実に食べてもあおうと、手渡しであたえました。

  最初のうちはうまく食べてくれていたのですが、薬の種類が増えたことにく
 わえ、苦さに気づいてしまい、ナツメを食べなくなってしまいました。それか
 らはリンリンと飼育係、獣医師の知恵比べの毎日となりました。錠剤を細かく
 くだいたり、薬をカプセルに入れてからナツメにしこんだり……。ナツメがだ
 めならサトウキビに入れてみたり……。試行錯誤の結果、サトウキビにしこむ
 ことで、確実に投薬できるようになりました。

  その後、食欲は回復しましたが、年齢相応の衰えも見られるようになり、病
 状も少しずつ進行していきました。とはいえ、食欲や行動には大きな変化はな
 く、落ちついた日々を過ごしていたのです。

  しかし、4月中旬から食欲と行動量が急激に落ちていきました。餌による投
 薬もできなくなってしまい、展示を中止して吹き矢による投薬治療をおこない
 ました。一時はタケノコを食べる食欲も見せ、回復のきざしも見られたのです
 が、それもつかの間、最期は静かに息を引き取りました。

  リンリンは、上野動物園で飼育してきたジャイアントパンダの中で3番目の
 長寿でした。ここまで長生きできたのも、ジャイアントパンダ初来日以来、飼
 育を通じて蓄積された技術や知識、先人の残した記録や資料、そして暖かく見
 守ってくださった来園者の方々や、支援をいただいたみなさんのおかげです。
 ありがとうございました。
                   〔上野動物園東園飼育展示係 倉持浩〕

 ----------------------------------
 ▼子どもたちの「夢」をかなえました
 ----------------------------------

  上野動物園の子ども動物園は、2008年4月10日で開園60周年をむかえました。
 これを記念して、子ども動物園で体験したい「夢」を募集していました。当選
 発表はこちら↓のニュース。
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=8890

  3月22日から4月6日、応募総数は 1,462。いろんな「夢」を送っていただ
 きましたが、子ども動物園では実現できないものなどを除き、まず三つの夢を
 選びました。

  一つめは「ウサギに餌をやったり、世話をしたい」という夢。2008年4月20
 日、選ばれた3名が2時間半にわたって、飼育作業やブラッシングなどを体験
 しました。

  二つめは「ヤギの飼育係になりたい」という夢。子ども動物園にうってつけ
 の夢です。同じく4月20日、長靴にはきかえ、寝小屋の掃除や餌の準備などに
 とりくむ子どもたち。小さい体ながら、大きなホウキで作業するようすは誇ら
 しげでした。

  三つ目は「在来馬と散歩がしたい」という夢。応募が多く、4月27日の午前
 と午後にわけて、計12人が体験しました。寝小屋の掃除、馬のブラッシング、
 そして、運動場の中で散歩です。木曽馬の幸泉号は、飼育担当者がすぐそばに
 いたこともあって、小さい子どもに素直にひかれて聞きわけのよいようすでし
 た。小さい体の子どもたちが大きな馬をひく光景はじつにすてきなものでした。
 最後に幸泉号の大好物、ニンジンをやって終了しました。

  ──三つの夢と書きましたが、選考会の席上で、たった1票の応募ながら、
 どうしようかと迷った夢がありました。それは、「子ども動物園の園長になり
 たい」という夢。しかし、むしろ1票だからこそ夢をかなえてあげよう、と考
 え、4月27日、千葉県の鳥山和那さんには一日園長の役目をはたしてもらいま
 した。

  子ども動物園の園長といっても、小さな係の係長です。デスクワークは少な
 いので、子ども動物園ステージで委嘱状を渡し、子ども動物園の中を細かく視
 察してもらいました。飼育の係長がつとめる「ゾウの立ち番」も体験。ゾウに
 バナナを食べさせることもできました。

  その後、本物の園長室を訪れると、園長から絵本のプレゼントがありました。
 鳥山さんは園内をたくさん歩いてちょっとくたびれたようでしたが、モルモッ
 トなどのふれあいコーナーにも参加できて、大満足の一日だったようです。

  今回は子ども動物園開園60周年の特別企画としておこないましたが、参加し
 た子どもたちの誇らしげな顔を見た今では、来年も子ども動物園の誕生日近く
 に開催できたらいいなと考えています。

                  〔上野動物園子ども動物園係長 高藤彰〕

■多摩動物公園■========================================================

 --------------------------
 ▼生き字引ミミーばあちゃん
 --------------------------

  2008年5月5日に開園50周年をむかえる多摩動物公園。その歴史とともに歩
 んできたチンパンジーのメス「ミミー」が来園したのは、1958年5月4日。多
 摩動物公園最初の個体です。

  のちにジャーニー、ぺぺ、ベティーが来園し、ミミーを含めた4頭で「ザ・
 カルテット」としてステージやテレビCMなどで活躍しました。引退後は3頭
 の子をもうけ、「トリオ・ザ・ママ」として多摩の群れ展示の基礎個体になり
 ました。

  そして現在、推定52歳を迎えたミミーは、チンパンジーとしては国内で2番
 目に長生きの個体となりました。

  幼いころのミミーはどんな感じだったのでしょう。当時の飼育日誌にはこん
 なことが書かれています──「飼育事務所の机上に遊ぶミミーの珍しさにひか
 れ、その姿をカメラにおさめんものとカメラを構えて窓ガラスにすり寄る多勢
 の来客が窓辺を暗くした」。また、「最初に来て大勢の人に必要以上に可愛が
 られあまやかされたせいか、ひねくれやすくずるさも有り扱いにくい」とも。

  大人になってもミミーは変わらずとても賢いチンパンジーで、群れの中の順
 位も高く、怒ると迫力があり、一目おかれています。人間に対して甘えること
 もなく、駆け引きも大変上手です。言われたことは義務的にそつなくこなしま
 すが、ときどき意地悪をしておどかします。

  最近子どもと遊んでいるすがたや、日なたでゴロ寝をしているミミーを見る
 と、温和になったように感じます。寄る年波のせいで腰も少しばかり曲がって
 いますが、食欲や動きなどはちっともおとろえず、群れへの目配りをしている
 元気なすがたが見られます。

  毎年季節の変わり目には、体調を崩さないよう、私たちはミミーを注意深く
 見守っています。一年でも一日でも長生きをして、若いチンパンジーたちに生
 きざまを語ってもらいたいものです。

                 〔多摩動物公園北園飼育展示係 島原直樹〕

 ------------------------------
 ▼チンパンジーは茶つみに夢中!?
 ------------------------------

  桜も散り、日増しに新芽が顔を出し、チンパンジーの放飼場も緑にいろどら
 れてきました。いつもこの季節になると、「♪夏も近づく、八十八夜~」、こ
 の茶つみの歌が頭に流れてくるんです。

  最近、昼過ぎにキーパールームからモニターで見ていると、表側にまったく
 チンパンジーのすがたが見あたらないことがあります。外に出て確認すると、
 みんな山の裏側でばらばらに散って、なにかに夢中になっているのでした。

  かれらがいた山の裏側には、ピラカンサという植物が植えてあります。ピラ
 カンサには、鋭いとげがあるため、近くを通ったり、上をまたぐときは慎重に
 よけながら移動します。かれらのいつも通るところは、きれいな獣道(と呼ん
 でいいのか?)ができています。

  しかしこの日、ピラカンサに群がるかれらは、枝を豪快に折ったり、やや騒
 がしいことが多かったりするふだんとは、かけ離れていました。ものすごく静
 かで、とげが刺さらないよう、繊細なタッチで新芽をつまんで食べているので
 す。ただ、そのすがたがどう見ても茶つみに見えるので、担当者は「茶つみ」
 と呼んでいます。この季節ですし……。

  とはいえ、このペースで植物を食べられると山が丸坊主になってしまうので、
 園内からさまざまな種類の枝葉を取ってきてあたえます。ペコ(48歳)やチコ
 (13歳)はネズミモチの樹皮が好きですが、デッキー(29歳)は葉の方が好き
 で、好みはさまざまです。この時期の葉っぱがいちばんおいしいようで、食べ
 ている彼らの表情はじつに満足げです。こちらが「俺も食べてみようかな?」
 と思えるほど、おいしそうに食べているんです。

  新芽をつまんで食べたり、好きな枝葉を選んで食べるすがたには、まるで野
 生にいるかのような錯覚をおぼえます。ここは東京ですが、アフリカを感じに
 多摩動物公園に来てみませんか?
                 〔多摩動物公園北園飼育展示係 木岡真一〕

 ----------------------------------------------------------
 ▼繁殖のためコアラ「コウ」埼玉へ、埼玉から「マックス」来園
 ----------------------------------------------------------

  多摩動物公園では、1984年の初来日以来、コアラの繁殖に力を注いでいます。
 2008年4月23日、コアラの「コウ」(オス)を多摩動物公園から埼玉県こども
 動物自然公園に移動しました。また同日、埼玉県こども動物自然公園から「マ
 ックス」(オス)が来園しました。

  コアラのコウは1995年7月15日に鹿児島市平川動物園で生まれたオス。2003
 年5月15日に繁殖を目的として、多摩動物公園にやってきました。昨年(2007
 年)にも、コウは埼玉県こども動物自然公園に行って、1頭の繁殖に成功して
 います。

  今回、コウはふたたび埼玉に行き、入れ替わりでマックスを受け入れます。
 マックスは、2006年5月26日に埼玉県こども動物自然公園で生まれたオス。

  交換期間は2008年4月23日から11月30日までの予定。このコアラの移動によ
 る繁殖計画は、鹿児島市平川動物公園、多摩動物公園、埼玉県こども動物自然
 公園の3園の合意にもとづき進められています。

 ・埼玉県こども動物自然公園 http://www.parks.or.jp/sczoo/
  (URLも変わって、サイトがあたらしくなりました)

 ・平川動物公園 http://www.jazga.or.jp/hirakawa/

 ------------------------------
 ▼大森山動物園からイヌワシ来園
 ------------------------------

  2008年4月25日、秋田市の大森山動物園から、国指定天然記念物であるイヌ
 ワシが来園しました。来園したのは、2007年4月11日に大森山動物園で生まれ
 たオスの「望」(のぞみ)。父親は多摩動物公園から繁殖目的で貸し出されて
 いる「信濃」。母親は田沢湖町で保護された「たつ子」です。

  多摩動物公園出自のオスと野生由来のメスとのあいだで生まれた「望」は、
 血統の観点から見て、今後のイヌワシ繁殖計画のためにも重要な個体です。

  多摩動物公園での飼育数は、望を含め、オス13羽、メス6羽となりました。
 イヌワシ繁殖計画への望による貢献が期待されます。

 ・大森山動物園 http://www.city.akita.akita.jp/city/in/zo/

 ------------------------
 ▼シャモアをついに公開!
 ------------------------

  一昨年、日本カモシカセンターが2006年11月30日に閉鎖されることになり、
 多摩動物公園では、2006年10月にシャモア3頭(オス2頭、メス1頭)を引
 き取りました。このたび施設が整備されたため、2008年5月1日からシャモ
 アを公開しています。シャモア舎は、アジア園のターキン舎のとなりです。

  写真は、東京ズーネット http://www.tokyo-zoo.net/  のニュースページ
 をごらんください。

  シャモアはヤギにも似たウシ科の動物。ヨーロッパの中部や南部、トルコ
 やカフカスの山岳でくらしています。オスにもメスにも角があります。硬い
 ひづめは岩場の生活に適していて、四肢のバネも強く、ジャンプが得意。通
 常群れで生活しますが、成熟したオスは繁殖期などを除き、単独でくらしま
 す。

 ----------------------
 ▼モグラ舎リニューアル
 ----------------------

  2008年5月1日、多摩動物公園の「アジアの沼地」がオープン!(↓)
  http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=8792

  「アジアの沼地」オープンにあわせて、モグラ舎もリニューアル。ログハウ
 ス風の建物内に、モグラや、モグラのなかまのトウキョウトガリネズミ、オオ
 アシトガリネズミ、ヒミズなどを展示。さらに見やすく、生態観察もできるよ
 うになりました。生息場所や特徴などもパネルで解説。

  2008年3月31日時点での飼育数は、モグラ6頭、トウキョウトガリネズミ4
 頭、ヒミズ3頭です。

■葛西臨海水族園■======================================================

 ------------------------------
 ▼巨大フジツボ、ピコロコの展示
 ------------------------------

  東京湾でも桟橋や岸壁に近づくと、びっしりと1センチ程度の貝殻のような
 ものが着いているのを見ることができます。よく観察すると、どれも小さな富
 士山のような形の殻で、その頂上に穴が開いているのがわかります。これらは
 フジツボという生き物のなかまで、貝殻のようなものに入っていますが、貝で
 はなく、エビやカニに近い生物です。

  フジツボのなかまは、生まれたてのころはエビやカニと同じくプランクトン
 として生活し、水中の岩など、気に入った場所に固着して殻を作り、以後まっ
 たく移動せずに大きくなるのです。

  日本中の海辺でフジツボを見ることができますが、葛西臨海水族園では、日
 本では見ることのできないくらい大きなフジツボ、「ピコロコ」を展示してい
 ます。葛西臨海水族園の「世界の海」エリアの「チリ」の水槽に展示している
 ピコロコは、殻の直径が7センチ程度、殻の高さが10センチ以上にもなる大型
 のフジツボで、「チリ」の水槽の名にたがわず、実際に当園の職員がチリまで
 おもむいて採集してきました。

  小さなフジツボではわかりにくいのですが、ピコロコを観察していると、殻
 の上に開いた穴から白っぽい熊手のようなものが、まるで手招きをするように
 出たり入ったりするのを見ることができます。これは蔓脚(まんきゃく)とい
 うもので、エビやカニの脚にあたる器官なのですが、フジツボのなかまでは、
 水中のプランクトンなど、細かい餌を捕らえて食べるための役割を果たしてい
 ます。

  ピコロコの飼育で難しいことのひとつが餌やりです。ピコロコ自身は移動で
 きないため、ピコロコが蔓脚で餌を捕まえられるよう、水槽の中に長い時間餌
 を漂わせる必要がありますが、葛西臨海水族園では、ピコロコの餌として、生
 まれたてのエビの幼生や、他の水槽の魚が産んだ「分離浮遊卵」と呼ばれる浮
 きやすい卵をあたえています。生きたプランクトンや水に浮きやすい魚の卵を
 あたえることで、餌が水槽の底に沈まず、ピコロコがより多くの餌を食べられ
 るからです。

  葛西臨海水族園では、フジツボの代表選手「ピコロコ」の展示を10年以上続
 けています。日本でもありふれたフジツボですが、そのの巨大ななかまをぜひ
 一度ごらんください。
                  〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕

■井の頭自然文化園■====================================================

 --------------------------------
 ▼トウキョウサンショウウオの繁殖
 --------------------------------

  両生類の飼育に力を入れている井の頭自然文化園水生物館で、トウキョウサ
 ンショウウオの繁殖に成功しました。

  トウキョウサンショウウオは、群馬県を除く関東地方と福島県の標高 300メ
 ートル以下の、おもに丘陵地に生息する、全長9~13センチ程度の小型のサン
 ショウウオです。関東平野がおもな生息場所ですから、開発の影響を受けやす
 く、生息場所は狭められてきています。環境省のレッドリスト(2006)では、
 絶滅危惧II類(VU)、東京都のレッドデータブック(1998)ではBランク(絶
 滅危惧II類(VU)に相当)に指定されています。

  すでに卵をもった野生のトウキョウサンショウウオを採集し、それが飼育下
 で産卵することは珍しいことではありません。しかし、飼育下でずっと育てて
 いた親が産卵に成功するのはとても珍しいことです。水生物館でも、ここ数年
 は毎年産卵が確認されていましたが、卵が発生したことはありませんでした。

  今回は、昨冬に屋外にあるビニールハウスの中にセットした水槽へ移動させ、
 冬の寒さ(0℃くらいまで下がりました)を経験させたことが、繁殖成功につ
 なったのではないかと考えています。16年前の上野動物園水族館での成功例も、
 屋上で飼育していたことが、うまくいった要因だったようです。

  今回繁殖に成功した親は、10年近く飼育してきた個体です。2008年2月9日
 から17日にかけてバナナ状の卵のうが四つ産み出され、そのうち一つの卵嚢の
 ごく一部で発生が進みました。3月26日~4月5日にかけて、17ミリほどの幼
 生が6個体孵化しました。現在は、5個体が35ミリほどに成長しています。

              〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

 --------------------
 ▼ヤマドリの人工授精
 --------------------

  2008年4月26日、井の頭自然文化園では今年3回目のヤマドリの人工授精を
 おこないました。

  ヤマドリは日本固有のキジのなかまで、本州、四国、九州に分布し、地域に
 より五つの亜種にわけられていますが、生態や生息数など、くわしいことはあ
 まり知られていません。

  そして現在、生息環境の変化による減少に加え、地域を考慮しない放鳥によ
 る亜種間交雑などの問題が生じています。このままでは詳しいことがわからな
 いまま、貴重な日本の固有種が失われかねません。井の頭自然文化園では、日
 本を代表するこの鳥の5亜種の飼育展示に取り組んでいます。

  しかし、厄介なことに、ヤマドリは気性の激しい鳥で、動物園の一般的なサ
 イズのキジ用ケージでオスとメスを同居させることはむずかしく、とくに繁殖
 期の同居は困難です。同居していなければ当然繁殖はできません。

  そこで、オスから人工的に精子を採取し、メスに注入する人工授精をおこな
 うことになります。井の頭自然文化園では、ヤマドリ研究家の伊達孝さんに指
 導していただきながら、人工授精による繁殖に取り組んでいます。

  2月ごろになると、オスは体を膨らませ、翼を羽ばたかせて「ドドド」とい
 う地響きのような音を出します。キジはケンケンと鳴きますが、ヤマドリ鳴か
 ずにこのホロ打ちをします。繁殖期の行動です。そして、メスが卵を産み始め
 ると人工授精に取りかかります。

  ヤマドリの精子はメスの体内でしばらく生きていますので1~2週間おきに
 人工授精をします。メスが卵を産んだ翌日が注入するのによいタイミングです。
 精子の採取は「マッサージ法」と呼ばれる、オスの後背部を刺激して射精させ
 る方法でおこないます。

  私たち飼育係は直接見ることはもちろん、写真を撮ったりビデオを撮ったり
 して勉強しているのですが、伊達さんの技は素早く、あっというまに精子が出
 てしまいます。素早く精子を採取した後、希釈してメスの卵管に注入します。
 この後、生まれた卵を孵卵器に入れ、24日後のひなの孵化を待つのです。

  受精が成功しているかはまだわかりませんが、うまくいけば、結果を後日お
 知らせできると思います。
                〔井の頭自然文化園飼育展示係長 小林和夫〕

========================================================================

▽本文中にしめしたリンクによって表示されるページには、ほかのページへの移
 動リンクが含まれていない場合があります。とくに東京ズーネットの「どうぶ
 つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
  http://www.tokyo-zoo.net/search/ から検索してください。

▽ズー・エクスプレスでは、みなさんからのおたよりを募集しています。匿名や
 ペンネーム希望の方はその旨をおつたえください。 webmaster@tokyo-zoo.net
 まで。ご意見・ご要望・お問い合わせもこのアドレスまでどうぞ。

▽メール配信先変更、配信停止は下記URLにてお願いいたします。配信先の変
 更をご希望の方は、いったん解除をおこない、あらためて新アドレスを登録し
 てください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/

▽編集後記

 ・リンリン、やすらかに……。ありがとう。

 ・今週は2号発行いたします。本号(No.376)は動物メインの記事、もう1号
  (No.377)はイベント等のお知らせです。あわせてごらんください。(大平)

========================================================================
メールマガジン ZooExpress No.376 - 2008年05月02日
財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL  : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
携帯サイト: http://www.tokyo-zoo.net/ (PC版と同じです)
(c)2008 Tokyo Zoological Park Society
リストに戻る

ページトップへ