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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.358 - 2008年01月04日
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ぶつと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジット
カード&オンラインでもOK! → http://www.tokyo-zoo.net/member/
■目次■----------------------------------------------------------------
・上野動物園・多摩動物公園・葛西臨海水族園・井の頭自然文化園
└─カエルを守ろう!……国際カエル年活動宣言
・上野動物園
├─大噴火に負けず生き残った三宅島のミヤケアカネズミを展示
├─獅子舞とインドライオンが対決!?
└─サトウキビには勝てないよ……アジアゾウの訓練
・多摩動物公園
├─やまねさんの近況
└─1月の観察デーは「チョウのしぐさ」を観察!
・葛西臨海水族園
├─水族園の“ネズミ”たち
└─アミーゴの国からこんにちは! メキシコ採集出張記
・井の頭自然文化園
├─新年ヤマドリ5亜種がそろいました!
└─身を清めて新年もお出迎え
・書籍紹介──井田徹治『ウナギ──地球環境を語る魚』
■上野動物園・多摩動物公園・葛西臨海水族園・井の頭自然文化園■==========
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▼カエルを守ろう!──国際カエル年活動宣言
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2008年(平成20年)は、「国際カエル年」。財団法人東京動物園協会は、国
際カエル年にあたり、両生類の保全に向けた活動を積極的に進めます。
◎「国際カエル年」とは
両生類を絶滅の危機から救おうと、2006年、国際自然保護連合(IUCN)や世
界動物園水族館協会(WAZA)が中心となり、「両生類の箱舟」(Amphibian Ark)
プロジェクトが発足しました。この「両生類の箱舟」プロジェクトが2008年に
推進する世界的キャンペーン、それが「国際カエル年」です。
財団法人東京動物園協会が管理運営する恩賜上野動物園、多摩動物公園、葛
西臨海水族園、井の頭自然文化園は、国際カエル年の趣旨に賛同し、2008年を
通じて、さまざまな活動に取り組みます。
年頭にあたり、東京動物園協会は「国際カエル年活動宣言」を発表しました。
みなさまのご参加とご協力をよろしくお願い申しあげます。
【国際カエル年活動宣言】(PDF、2ページ、約400KB)
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2008_01/YOTF_statement.pdf
◎参考リンク
・国際自然保護連合(IUCN) http://www.iucn.org/
・国際自然保護連合(IUCN)日本委員会 http://www.iucn.jp/
・野生生物保全繁殖専門家グループ(CBSG) http://www.cbsg.org/cbsg/
(国際自然保護連合の下部組織)
・野生生物保全繁殖専門家グループ(CBSG)日本委員会
http://home.t01.itscom.net/hori/CBSG-J/
・両生類専門家グループ(ASG) http://www.amphibians.org/
(国際自然保護連合の下部組織)
・両生類の箱舟プロジェクト http://www.amphibianark.org/
・両生類の箱舟プロジェクト内「国際カエル年」
http://www.amphibianark.org/yearofthefrog.htm
・世界動物園水族館協会 http://www.waza.org/
■上野動物園■==========================================================
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▼大噴火に負けず生き残った三宅島のミヤケアカネズミを展示
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上野動物園では、2007年12月18日から、西園で干支展「ネズミたちのポケッ
ト・ハウスへようこそ!」を開催しています。お知らせはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=8005
会場では、生きたハツカネズミやジャパニーズマウスが動き回る「遊園地」が
人気を集めています。動き回るネズミたちを撮影した動画はこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0712_02/index.html
さて、2008年新年を迎え、この干支展に、伊豆諸島三宅島から来たミヤケア
カネズミが加わりました!!
住民全員が島外へ避難しなければならなくなった2000年の三宅島の大噴火は、
島の生物にとって大きな脅威だったことでしょう。島にとり残された野生動物
は、噴火という自然の猛威に逃げ場を失い、絶滅してしまうのではないかと心
配されました。
しかし、全島民避難指示から4年5か月たった2005年2月、避難指示の解除
された三宅島に人々が戻ると、残されていた野生動物たちは力強く生き残って
いたのです。
今回上野動物園で展示することとなったミヤケアカネズミは、噴火による野
生動物への影響や現状を調査研究している大学の研究者の方のご協力により、
三宅島の野生動物の現状を少しでも伝えることを目的として、三宅島で保護さ
れた個体を譲り受けたものです。
ミヤケアカネズミは三宅島にのみ生息するアカネズミで、亜種として分類さ
れたり、独立種としてあつかわれたりしています。東京都のレッドデータブッ
クでは、準絶滅危惧種に指定されています。
アカネズミは日本固有種で、北海道、本州、四国、九州に広く分布していま
すが、ミヤケアカネズミはアカネズミより小型で、毛が黒っぽく、とくに腹側
の毛色が茶色で、アカネズミとはちがって白くありません。写真は、東京ズー
ネット http://www.tokyo-zoo.net/ のニュースページをごらんください。
また、アカネズミはおもに地上で活動をし、木にあまり登りません。しかし、
ミヤケアカネズミなど、小さい島に生息するアカネズミは木に登るそうです。
ただし、詳細な報告が少ないため、まだまだ不明の点が多いネズミです。
ミヤケアカネズミは、三宅島の野生動物の現状を伝えるために、島を代表し
て上野動物園に登場しました。日本でミヤケアカネズミを展示しているのは、
おそらく上野動物園のみ!! この機会をのがすと、三宅島まで行かなければ、
生きたすがたを見ることはなかなかできません! 夜行性なので日中はあまり
活動的ではありませんが、そっとのぞきに来てください。
〔上野動物園教育普及係 齋藤圭史〕
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▼獅子舞とインドライオンが対決!?
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2008年1月2日と3日、上野動物園では「上野囃子保存会」による獅子舞の
上演をおこないました。そこで、「獅子」ならライオンだ、そうだそうだ──
ということでインドライオン展示場前で獅子舞をライオンに披露しました。
インドライオンたちは、なにやら異形の獅子たちに興味をもったらしく、ガ
ラス窓のそばまでやってきて熱心に鑑賞。ただし、1月2日は少し窓から遠い
場所で上演したため、ライオンの反応はいまひとつでした。
そこで、3日はもう少し近くで獅子舞を見せたところ、囃子にあわせて舞う
獅子によく反応するすがたが見られました。獅子舞に向かってインドライオン
のオスが立ちあがると、大勢集まったお客さんから歓声があがっていました。
そのようすを撮影したビデオをごらんください(約50秒)。
Windows Media形式↓
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2008_01/lion_dance_shishimai.wmv
QuickTime形式↓
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2008_01/lion_dance_shishimai.mov
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▼サトウキビには勝てないよ──アジアゾウの訓練
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午前8時30分、アジアゾウ舎で一日の作業が始まります。油圧式の大きな扉
を開けると、ゾウたちの体温で暖められた生暖かい空気が室内から外へ、冷た
い外気の中に流れ出します。人数分の一輪車を用意し、各人はシャベルと竹ぼ
うきを持って作業開始!
最初にメスの部屋を掃除します。多摩動物公園のアフリカゾウ舎はゾウをす
べて外に出してから掃除にとりかかりますが、上野動物園のアジアゾウ舎では、
ゾウが室内にいるままで作業をすすめます。
大量の糞や食べかすを竹ぼうきで集め、スコップで拾って、一輪車で運搬。
動物舎だけでなく、ゾウの体も掃除します。そのために、まず「座る」の号令
で座らせて、「テレー」の声で体を横にさせてから、背中を掃いてやります。
つづいて、「前へ」の号令で起こしてから、「足」の号令で足を上げさせ、足
の裏をきれいに掃除。
最初に室外に出るのはオスのアティですが、運動場に出る前に訓練をおこな
います。柵ごしに号令だけで前進や後退をさせたり、寝かせたりするのですが、
号令どおりにできたら、ごほうびにパンやバナナを与えます。つづいて、柵ご
しに足を出させる訓練に取りかかります。ちゃんと足を出したら、バナナがご
ほうび。決して叱ることはしません。ごほうびはいちばん大好きな食べ物です。
この訓練が終わったらアティは運動場へ。オスの後はメスを決まった順番で
運動場に出してから、雌雄それぞれに訓練をおこない、おやつのペレットを食
べさせると開園時間(9時30分)です。
運動場では、おやつの青草を何度か与え、午後3時半ごろ部屋に戻します。
このときも、号令で体を横にさせ、背中を掃いてやってから部屋に入れます。
まずメスを入れ、それからアティ。部屋に入れたらすぐ、号令で足を出させる
訓練をおこないます。ところが、ある日、アティが号令にしたがいません。何
度やっても結果は同じです。いぶかしんでいると、号令をかけていた係員が、
アティが夢中になって食べているものを指さして、「サトウキビには勝てない
よ」と言いました。
たしかにサトウキビを購入しているとは聞いていました。そのサトウキビが、
この日は餌に加わっていたのです。訓練のごほうびは、いちばんの好物にすべ
きなのですが、そのごほうびよりも美味しいものが近くにあれば、訓練は成り
立ちません。
その後、訓練が終わってからサトウキビを食べさせるようにしたのですが、
アティは訓練もそこそこに、サトウキビがもらえる場所で待つようになったの
でした。
〔上野動物園子ども動物園係長 高藤彰〕
■多摩動物公園■========================================================
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▼やまねさんの近況
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2007年9月18日に東京都檜原村で保護され、多摩動物公園にやってきた5頭
のやまねさんたち。当初は目も開いておらず、体重も 4.5グラムほどしかない
おちびさんでしたが、今では約 3.6倍! 16グラムを超えました。
残念ながら、最初に与えた粉ミルクが合わなかったため、「矢印」「ぽんぽ
こ」「ハート」「ちゃーん」「杉ちゃん」と名づけられた5頭のうち、無事育
ったのは「ぽんぽこ」と「ちゃーん」の2頭です。山梨県清里にある「やまね
ミュージアム」の館長、湊秋作さんに見ていただいたところ、2頭ともメスと
判明しました。
保護されてから動物病院の保育器の中で、28℃から30℃に保たれた環境で育
てられていました。一時は約3時間おきに1日9回の哺乳をおこなっていまし
たが、10月2日に離乳したため、10月15日には検疫が終わりました。
本来ならノウサギ舎の一角で展示をおこない、来園した方々に見ていただき
たいのですが、室温が最低7℃までさがる可能性があるため、ワンクッション
置く意味で、春までウォッチングセンター2階の事務所で飼育することになり
ました。11月は最低19℃、最高28℃の室温でした。
現在、ミールワーム(甲虫の幼虫)を中心に、秋にはどんぐりから出てくる
クリムシ、パン、チーズ、タネ類、クルミ、落花生、リンゴ、ミカン、キーウ
ィ、ブドウなどを与えています。
やまねハウスの中もバラエティに富んでいて、サクラの木にくりぬいた穴、
ベニヤ板を組み合わせた箱、小ぶりなコーヒーの空きびんに黒いガムテープを
巻いた容器を巣にしていたり、ときには餌のクルミなどにまぎれて、餌容器の
びんに入り込んでいることもあります。毎日決まった巣を選択するのではなく、
気ままに日替わりで寝床を選んでいるように感じます。引っ越してきた当初、
朝の体重測定のときには2頭いっしょに寝ていることが多かったのですが、最
近は別々の巣を選ぶ行動が目立ってきました。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 由村泰雄〕
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▼1月の観察デーは「チョウのしぐさ」を観察!
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毎月第3土曜日に開催している、多摩動物公園の「観察デー」。動物解説員
とともに、動物をじっくり観察します。
2008年1月の観察デーは、1月19日(土)開催。あたらしい観察シートを使
って、チョウのしぐさを観察します。1月下旬は一年でもっとも寒い季節です
が、チョウが活発に飛びかっている昆虫生態園の大温室で春を先取りします!
参加ご希望の方は、午前10時にウォッチングセンターにおこしください。動
物解説員がごいっしょに昆虫園に行って、みなさんの観察をサポートいたしま
す。11時30分ごろ終了です
観察デーと観察シートについて詳しく知りたい方は、こちら↓をどうぞ。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&inst=&link_num=6713
■葛西臨海水族園■======================================================
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▼水族園の“ネズミ”たち
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新年明けましておめでとうございます。楽しい正月も終わりに近づき、そろ
そろ宿題にも手をつけないといけないころでしょうか? 年賀状でもたくさん
目にしたと思いますが、今年の干支は“ネズミ”です。水族園でも水の中でく
らす“ネズミ”たちがみなさんをお迎えします。
まず、大きなメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)やタマカイが悠然
と泳ぐ「南シナ海」の水槽では、“クリッ”と大きな目をした、フグのなかま
のネズミフグ。世界中の暖かい海に広くすんでいて、体長約70センチにもなる
大型のハリセンボンのなかまです。危険を感じると、体じゅうにたくさんある
トゲを逆立たせ、敵を威嚇して身を守ります。なかなか目にすることはできま
せんが、トゲを立てたすがたはハリネズミのようでもあります。
体色、すがた、顔つきのどれが由来となってネズミフグと名づけられたのか
よくわかりませんが、水族園では愛嬌のあるすがたから、人気のある魚のひと
つです。
ネズミフグがいる暖かくて明るい水槽とはうって変わって、「深海の生物」
コーナーの冷たく薄暗い水槽でも、ほかの“ネズミ”が待っています。それは、
ギンザメのなかま、スポッテッドラットフィッシュ。大きな胸びれをゆったり
とはためかせて遊泳しています。
スポッテッドラットフィッシュはアラスカから南カリフォルニアにかけての
東太平洋沿岸にすみ、深海にくらすギンザメのなかまでとしては珍しく浅い海
でも見ることができます。「斑点のあるネズミのような魚」という英名は、体
にある白い斑点や、大きな前歯と口の形がネズミに似ていることからつけられ
たのでしょう。砂の上の餌を鼻先で探るようすは、動きの遅いネズミの食事の
ように見えなくもありません(かなりひいき目な見方ですが……)。
みなさんが思いうかべるすばしっこいネズミとくらべると、少しのんびりし
た水族園のネズミたち。ぜひ会いに来てください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕
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▼アミーゴの国からこんにちは! メキシコ採集出張記
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日本が海に囲まれているからなのか、日本人は他の国の人よりも水族館好き
では?と感じます。そんないわゆる「通」なお客さんの多い日本の水族館は、
それぞれ特徴を出そうとがんばっています。で、葛西臨海水族園の特徴は、や
っぱりマグロの群泳! そして忘れちゃならないのが「世界の海」エリア。地
球上のさまざまな海の生物たちを飼育・展示しているこのエリアは、まさしく
「通好み」。中には世界唯一の展示だってあるのですから。
そんな世界各地の生物たちが、どのように葛西臨海水族園にやってくるのか
ごぞんじですか? 購入したり、海外の水族館と交換したり、ルートはさまざ
まですが、職員が海に潜って採集してくる場合も少なくないんです。
昨年(2007年)11月におこなったメキシコ出張もその一つ。目的地は世界一
長い半島として有名なカリフォルニア半島の南端近く、ラパスという町です。
ハゲ山にサボテンが生え、コンドルが舞う荒涼とした大地とは裏腹に、世界屈
指の豊な生物相をほこるコルテス海。そこからやってきたのは、ダイバーにも
大人気のジョーフィッシュ(アゴアマダイ)のなかまの大型種、ファインスポ
ッテッドジョーフィッシュです。
このファインスポッテッドジョーフィッシュ、他のアゴアマダイのなかまに
くらべると、おおらかな性格です。さすがアミーゴ(友だち)の国、メキシコ
出身。だから採集もいたってスムーズ。指でちょっとくすぐっただけで巣穴か
ら出てくる個体もいたくらいです。
大変だったのは日本までの空の旅です。とにかく地球の裏側から当園におい
でいただくわけですから。もちろん最短時間で届く飛行ルートを確保。飛行機
への積み込みも時間ギリギリまで待つんです。なぜかって? それは生物の輸
送に使う海水を搭乗直前にすべて入れ替えるためです。
ルートの関係でその日は朝の3時から作業を開始しました。入れ替える海水
は、前日汲んできた沖合の澄んだ水です。そんな手厚いケアを受けながらメキ
シコを旅立った魚たちは、約40時間後、無事に水族園までたどりつきました。
こうして国内外から集まってくれた「海の親善大使」に敬意を表し、ぜひみ
なさんもさまざまな海に思いをはせてみてください。そしてこの大使たちが暮
らす海が、かけがえのないものであることを感じていただけたらと思います。
〔葛西臨海水族園調査係 増渕和彦〕
■井の頭自然文化園■====================================================
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▼新年ヤマドリ5亜種がそろいました!
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みなさん、ヤマドリという鳥を知っていますか? 日本固有のキジのなかま
で、オスが長く美しい尾羽をもつのが特徴です。同じなかまでも、近縁のニホ
ンキジは平地にくらしており、人里近くでも見られるためか、よく知られてい
ます。一方、ヤマドリは奥深い山で単独でくらしているため、一般の人の目に
あまりふれることがなく、その生息状況や生態も不明な点が多いのです。
ところでヤマドリは青森県から鹿児島県まで生息していますが、地域によっ
て羽の色や模様が異なり、キタヤマドリ、シコクヤマドリ、ウスアカヤマドリ、
アカヤマドリ、コシジロヤマドリの5亜種に分けられます。しかし近年、狩猟
などにより生息数が減少するとともに、放鳥による亜種間交雑の危険性も高く
なっています。
井の頭自然文化園では、ヤマドリの飼育下での繁殖に取り組み、亜種の保全
を目指していますが、この年明け2008年1月から、ひさしぶりに「ヤマドリ舎」
で5亜種をそろって展示しました。
5亜種のオスの長い尾羽の節の模様や、赤銅色の美しい体色をぜひ見くらべ
てみてください。また、春にかけて繁殖期が近づくと、オスが羽をふくらませ
体を大きく見せるようすや、運がよければ羽ばたいて出す大きな音(ドラミン
グ)が聞けるかもしれません。さらに「リスの小径」にも、コシジロヤマドリ
の雌雄2羽が放し飼いにされており、広いケージ内での行動を観察できます。
・東京ズーネットBB、動画「コシジロヤマドリ」(2006年2月17日撮影)
http://www.tokyo-zoo.net/movie/information/0602_01/index.html
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▼身を清めて新年もお出迎え
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2008年が始まりました。今年はネズミ年というわけで、干支展「いのかしら
ネズミーズ2008」が好評開催中です。目玉はハツカネズミ 100頭による大型水
槽展示で、来園者からは「かわいい~」とよろこばれています。
・これまでのニュース
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=7871
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=8090
ところで、井の頭自然文化園でハツカネズミと同じ齧歯類の人気者といえば、
忘れちゃいけないのがテンジクネズミ(モルモット)です。こちらも、「ふれ
あいコーナー」でみなさんのご来園をお待ちしています。今回は、このモルモ
ットたちにとって年末恒例の「全頭シャンプー」について紹介しましょう。
飼育係は、モルモットとみなさんとのふれあいを安全におこなうため、日々
衛生管理に気を配り、飼育管理にあたっています。それでも餌の乾牧草や人間
の手などから、なんらかの雑菌やカビなどをもらってしまう可能性があります。
これを放置しておくと、たとえば皮膚炎などが群れ全体に広がってしまうかも
しれません。
そこで、年末の2007年12月25日、獣医2名と飼育係3名で「ふれあいコーナ
ー」のモルモットたちを医療用の薬用石鹸で洗い、ドライヤーで乾かす作業を
おこないました。その数なんと 130頭! 1頭ずつていねいに作業するため、
午前と午後合わせて4時間強かかりました。
お湯の中で「ピィィー……」(ヤメテ~?)と声をあげる個体や、ドライヤ
ーの熱風から逃げようと脱走を試み、台から落ちそうになる個体……。中には
洗われたショックで放心状態になる個体もいました。しかし、これも健康維持
のためと、がんばってもらいました。洗いあがったモルたちはどことなくツヤ
ツヤ、白いところがまぶしく白く、一大行事を終えた私たちにはまばゆく見え
ました。
今年もモルモットふれあいコーナーをよろしくお願いします!
〔井の頭自然文化園飼育展示係 永田典子〕
■ B O O K S ■=========================================================
『ウナギ──地球環境を語る魚』(岩波新書1090)
井田徹治、岩波書店、2007年8月21日刊
本体740円、ISBN978-4-00-431090-7
世界のウナギの70%を食べているとさえ言われる日本人。ウナギ資源は日本、
欧州、そして米国でさえも減少しています。
ウナギは海で生まれ、川へと移動し、海に戻って産卵します。その間、海流
の特徴を利用した移動をおこない、海水と淡水という環境のちがいを乗り越え、
ゆっくりと長距離を移動します。しかし、そのスローな生活史に対して、河川
環境等は急速に変化し、ウナギの生存を脅かしています。
ウナギの産卵場所発見までの研究史も詳細に語られ、産卵場所をピンポイン
トで発見した日本人らの業績も紹介されています。その発見者は「ウナギの産
卵場の発見は海洋生物学に残されたロマンの一つ」と語っているそうです。
ウナギ養殖については、餌の貴重さや各種コストが原因で、現在「年間 100
匹程度のシラスウナギを『作る』ことが限界だそうだ。日本で一年間にに必要
なシラスウナギの数はなんと一億匹」とのこと。つづいて乱獲や汚染にともな
う世界各地のウナギの危機が描かれています。
そして、日本へ輸出するための台湾や中国のウナギ漁とその盛衰、品質問題、
輸出入規制の問題などが語られた後に、巻末では「“うなぎを増やす”のが日
本人の責務である」と研究者の言葉を引用していいます。
ウナギの未来を守るために、ウナギの世界と現状を紹介する一冊。
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N E W S C L I P S
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●オキノタユウ(=アホウドリ)最新調査結果(長谷川博先生のサイト)
2020年ころには鳥島全体でおよそ1000組が繁殖するようになるだろうとの予測。
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/research/report/no97-0712/97.html
●ライオンの赤ちゃん2頭(オスとメス)を公開──札幌市円山動物園
http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-69.html
●車のエンジンルームにケープハイラックスが営巣?──南アフリカ共和国
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2332496/2498872 (AFP)
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▽編集後記
・今年の初夢は……なんだっけ。もうなにもかもがモーロー体。
・あたらしい年を迎えました。今年は国際カエル年。(最初の記事↑をごらん
ください。)本年も動物園と水族園をよろしくお願いいたします! (大平)
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