 |
========================================================================
Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.348 - 2007年10月26日
========================================================================
・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」
・残念ながら、コハルはひとりになりました。
・東京動物園友の会に入会しませんか? 年会費は、 2,000円。機関誌「どう
ぶつと動物園」を年4冊お届けします。入会・継続の手続きは、クレジット
カード&オンラインでもOK! → http//www.tokyo-zoo.net/member/
■目次■----------------------------------------------------------------
・上野動物園
├─キリンの「フミ」が死亡しました
├─ぐんぐん成長、トカラ馬
└─オウサマペンギンひな誕生、育っています
・多摩動物公園
├─サソリモドキの新展示
├─アムールトラ「ビクトル」、京都市動物園へ
├─写生画コンクール、入選作決定! 表彰式開催
└─昆虫野外観察会(11月24日)加参者募集
・葛西臨海水族園
├─カリブの巨大魚、ターポン登場!
├─イワトビペンギンの子ども「ペンギンの生態」にデビュー
├─新たな視点で見てみると(16)
│ ……スローモーションで見るモンハナシャコの「ふきふき」
├─記念講演会「イワトビペンギンの島を訪ねて」開催
└─キッズカレンダー2008、11月10日と11日だけの配布です!
・井の頭自然文化園
├─ツシマヤマネコついに公開!
├─「夕暮れの動物園たんけん」レポート!
└─干支展「いのかしらネズミーズ2008」と
キーパーズトーク「ネズミのおはなし」
・上野動物園・多摩動物公園・井の頭自然文化園
└─東京文化財ウィークの催し
■上野動物園■==========================================================
--------------------------------
▼キリンの「フミ」が死亡しました
--------------------------------
2007年10月24日未明、上野動物園のキリン「フミ」(メス、24歳4か月)が
腸炎のため、死亡しました。
フミは1983年6月7日、上野動物園で「フトシ」(オス)と「ネック」(メ
ス)のあいだに生まれました。フミは、戦前に来園したキリンの「長太郎」と
「高子」から数えると4代目にあたります。上野動物園では、戦争を乗り越え
て血統が続いた唯一の動物でした。
フミは、2007年10月なかばから体調をくずし、動物園では治療にあたってき
ましたが、10月24日未明、死亡しました。
フミの死亡後、上野動物園のキリンは、メスの「コハル」だけになりました。
------------------------
▼ぐんぐん成長、トカラ馬
------------------------
2007年10月2日に上野動物園子ども動物園にやってきた「トカラ馬」のオス
を、10月16日から公開しました。公開当日の朝、いつものように餌をやってか
らその場を離れようとすると、大きくいななき、担当者を追って走ってきまし
た。一般公開が始まると知ってか知らずか(?)県庁していたのでしょうか。
開園後も、ほとんど部屋の中ですごしていました。元々おとなしく、少し臆病
なところがあるので、無理強いはできませんが、なるべく運動場にいるところ
を見てほしいのです!
そこで翌日から、餌の半分は運動場内に置いてみたところ、ときどき運動場
に出てきては草を食べ、部屋に戻り、また外のようすをうかがったり……。そ
んな「ひかえめ」なトカラ馬ですが、担当者の足音や声が聞こえると、部屋か
ら出てきてしきりに鳴きます。「ごはんちょうだい」?、「遊んで~」?、何
と言っているのでしょうか? でも、かれが自己主張をするのは、こんなとき
だけなので、担当者としては、なんだかちょっとうれしいのです。
成長期まっただ中のトカラ馬は、日々バクバク食べ、ぐんぐん成長していま
す。動物園に来たときより、体重が11キログラム増えました。ただし、成長期
だからといって、際限なく食べさせていると太ってしまいます。そこで、こま
めに体重を測ったり、馬の状態を見たりして、餌の量を決めています。トカラ
馬の現在の大好物はニンジンです。これはいつも食べられるわけではなく、ご
ほうびとして与えています。ニンジンを見ると、目の色が変わり、落ち着きが
なくなります。そのためニンジンは、「ここぞ!!」というときにしか使わない
ようにしています。
その「ここぞ!!」というのは、馴致(じゅんち:訓練)のときです。といっ
ても、芸をさせるわけではなく、足をあげる訓練です。馬のひづめの裏には溝
があり、そこにウンチや砂が詰まってしまいます。そのため動物園でも、夕方
馬たちを部屋に戻すときには、かならずひづめをきれいにします。しかし、生
まれながらにして足を上げられるのではなく、馴致が必要なのです。
慣れない馬にとっては、足を1本上げるとバランスが取りづらく、不安感を
おぼえます。そのため、毎日毎日短時間ではありますが、くりかえし練習する
のです。終わった後は、おおげさにほめ、ニンジンを与えます。あせらず、ゆ
っくり、そして馬に求めすぎないよう心がけています。
さて、現在トカラ馬の名前の募集をおこなっています。五つの候補名から、
「これだ!」というものを選んで投票してください。現時点では名前がないた
め、もっぱら「トカラ~」と呼んでいます。ぜひ、みなさんも投票してくださ
い。投票箱は、子ども動物園のトカラ馬放飼場前に設置してあります。
・トカラ馬の名前募集のニュース
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&link_num=7780
----------------------------------------
▼オウサマペンギンひな誕生、育っています
----------------------------------------
上野動物園では、2007年9月1日と9月20日、オウサマペンギンのひなが、
それぞれ1羽ずつ孵化しました。南極周辺にくらすオウサマペンギンは暑さが
苦手。例年、5~11月ごろは冷房室内で飼育・展示しています。
冷房室内で生まれた2羽のひなは、すくすくと成長中。フワフワした茶色の
羽毛におおわれ、親からアジをもらい、ぐんぐん大きくなっています。
誕生直後は親の足もとにいて、親にしっかり抱かれ、体が見えないほどでし
たが、最近は、親のそばに立つ成長中のひなが見られます。ひなの成長は早い
ので、お早めにごらんください! 展示場所は、上野動物園東園のペンギン池
にある冷房室です。
※なお、冬に実施していた「オウサマペンギンのお散歩」は、ひながいるので、
今年度はおこないません。ご了承ください。
・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」のオウサマペンギンはココ↓
http://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=121
■多摩動物公園■========================================================
----------------------
▼サソリモドキの新展示
----------------------
多摩動物公園の昆虫園本館では、昆虫という生き物についてよりよく知って
もらうため、昆虫以外の生き物も展示しています。そのコーナーの一角に、数
か月前から登場したのが「サソリモドキ」です。以前は昆虫生態園の「八重山
の生き物」コーナーで展示していたのですが、「南西諸島の生き物」というコ
ーナーにリニューアルしたのにともない、本館のほうに引っ越してきたのです。
サソリに似ているからサソリモドキという名前がついたはずなのですが、む
しろクモに近いような気もします。毒はもっていませんが、脅かすと、腹部の
先端にある肛門腺から強い刺激臭のある液体を噴射して身を守ります。その液
体の成分は、なんと濃度80パーセント以上の酢酸!(食用酢の酢酸濃度は約4
パーセント。)皮膚につくと炎症を起こしてしまうので注意が必要です。
予備ケースから展示ケースに移動させる際、一度噴射されたことがあります
が、その臭いはまさに「酢」そのものでした。このことから、英語で「ビネガ
ロン」という異名もつけられています(ビネガーは酢、食用酢などの意)。
夜行性で臆病な性質のため、たいていは石の下などに身を潜めており、昼間
に歩き回るようなことはあまりありませんが、同じ飼育ケースに複数の個体を
入れておくと、あっという間に共食いをしてしまうという凶暴な一面も持ち合
わせています。なので、展示ケースでは1匹のみ、アクリル板の下にもぐって
ひっそりと暮らしています。少しでも動いてくれたらもっと面白いのに……と
は思うのですが、ユニークなすがたを見るだけでも興味深いと思います。ぜひ
一度ごらんください。また、リニューアルした「南西諸島の生き物」コーナー
もお見逃しなく!
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 中澤洋子〕
------------------------------------------
▼アムールトラ「ビクトル」、京都市動物園へ
------------------------------------------
2007年11月1日(木)、多摩動物公園で飼育しているアムールトラ「ビクト
ル」(オス、10歳、1997年5月18日、独ライプツィヒ動物園生まれ)を、京都
市動物園に移動します。国内のアムールトラは飼育数が少ないため、繁殖成績
のよいビクトル(繁殖に3回成功)を京都市に貸し出すことになったためです。
京都市動物園には、メス1頭(「アオイ」、2004年9月30日、静岡市日本平
動物園生まれ)がいます。
アムールトラは、国内23の施設にて、オス28頭、メス20頭が飼育されていま
す(2006年12月31日時点でのデータ)。
・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」のアムールトラはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=8
--------------------------------------------
▼写生画コンクール、入選作決定! 表彰式開催
--------------------------------------------
下記のニュース↓でお知らせしたとおり、多摩動物公園では「第49回子供写
生画コンクール」の募集をおこなっていました。このたび入選作が決まりまし
たので、作品の展示と表彰式をおこないます。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=6933
応募総数は 499点でした(2006年度は 830点)。この中から金賞1点、銀賞
3点、銅賞21点、特別賞6点、佳作15点を選びました。
表彰式(佳作は除く)は、2007年11月4日(日)午前10時から11時、ウォッ
チングセンター内動物ホールにて。入選作品の発表と賞状・記念品の贈呈をお
こないます。
入選作品は、2007年11月1日(木)から12月4日(科)まで、多摩動物公園
ウォッチングセンター内の「展示ホール」で展示します。上位入賞者名等、く
わしくは、こちら↓のお知らせをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&inst=&link_num=7874
--------------------------------------
▼昆虫野外観察会(11月24日)加参者募集
--------------------------------------
多摩動物公園となりの七生公園(ななおこうえん)で、冬の昆虫観察会をお
こないます! ふるってご応募ください。
2007年11月24日(土)午前10時から午後0時30分(雨天中止)、定員は小学
生以上30名(小学生は保護者同伴)。往復はがきに参加希望者全員の氏名と年
齢と、代表者の住所・電話を明記し、返信面に代表者の住所と氏名を記入して、
〒191-0042 日野市程久保 7-1-1 多摩動物公園「昆虫野外観察会」にお送りく
ださい。応募多数の際は抽選をおこない、当落にかかわらずご連絡します。
しめきりは、2007年11月10日(土)消印有効です!
■葛西臨海水族園■======================================================
--------------------------------
▼カリブの巨大魚、ターポン登場!
--------------------------------
葛西臨海水族園では2007年10月18日から、「世界の海」エリアの「カリブ海」
の水槽でターポンを展示しています。
ターポンはイセゴイ科の魚で最大 2.5メートルにまで成長します。大西洋の
サンゴ礁やマングローブ域などの比較的浅くて暖かい海に生息しています。マ
イワシをちょっと格好よくしたようなすがたをしていて、大きな口からもわか
るように、おもに魚などを餌とします。
展示しているターポンは全長1メートルほどで、水族園開園当初(1989年)
より裏側の予備水槽で飼育してきた個体です。ですから、水族園の歴史を考え
ると、年齢は少なくとも18才以上になります。しかし、最大体長が 2.5メート
ルということを考えると、さらに成長するわけですから、まだまだ何年も生き
るのでしょう。
餌の魚を襲うときや、驚いたときなど、ターポンはよくジャンプをします。
今回、裏側の予備水槽から担架ですくい上げるときにはジャンプを繰り返し、
私の頭をかすめて行ったほどです。この「動きのよさ」からルアー釣りの対象
魚としてもとても有名な魚です。
水槽では上の方をゆっくりと泳いでいて、体は銀色に輝き、とても威圧感が
あります。この水槽には、ターポンのほかに、サンゴ礁にすむさまざな小型の
魚類も展示していますが、これらの魚類が食べられてしまわないのか、心配に
思う方もいると思います。
しかし、よく見るとこれらの魚たちはサンゴからあまり遠く離れることなく、
隙間から出たり入ったりしていて、ターポンが近づくと、すぐにサンゴの隙間
に入ってしまいます。これは、実際の海で見られる行動で、今まで水槽の中で
は、敵がいなかったために見ることができませんでした。
このように、「食う、食われる」の関係を、「食われない」ようにしながら
見せるのはとてもむずかしいことで、今後はこの微妙な関係が保てるように、
観察を続けていきたいと思います。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕
------------------------------------------------------
▼イワトビペンギンの子ども「ペンギンの生態」にデビュー
------------------------------------------------------
◎イワトビペンギンの展示を再開しました
南極周囲の島々に住むイワトビペンギンにとって、日本の夏はとっても暑く
て大変です。しかも、今年は記録的な猛暑。連日30℃を超す真夏日に、暑さに
は比較的強いフンボルトペンギンですら、うんざりした顔をしていました。し
かし、最近になってやっと秋らしい気候となり、ほっと一息というところでし
ょうか。
避暑と繁殖のため、冷房のきいた快適な部屋で過ごしていたイワトビペンギ
ンですが、この夏はあまりの暑さにクーラーが悲鳴をあげ、温度が思うように
さがらないというハプニングもありました。
しかし、無事ピンチを乗り切り、2羽の子どもが巣立ちました。2007年10月
18日には「ペンギンの生態」でイワトビペンギンの展示を再開し、子どももデ
ビューしました。体の大きさはもうおとなと変わらないくらいまで成長してい
ますが、目の上の黄色い羽かざりがないのが特徴です。
ぜひみなさんも「ペンギンの生態」でイワトビペンギンの子どもを探してみ
てください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 山口香子〕
----------------------------------------------------------
▼新たな視点で見てみると(16)
──スローモーションで見るモンハナシャコの「ふきふき」
----------------------------------------------------------
連載「新たな視点で見てみると」では、特殊な撮影方法を駆使し、ふだん肉
眼では見ることができないような映像をおつたえしています。
さて、今週はひさびさに水槽の中の生き物が主役です。鹿児島県で葛西臨海
水族園の職員が採集してきた「モンハナシャコ」です。とてもきれいな生き物
なのですが、残念ながら、現在展示できる水槽がないため、裏の予備水槽で飼
育しています。
今回は、このシャコ君の「ある行動」をスローモーションで撮影しよう思っ
たのですが、撮影時には、狙った「ある行動」を起こしてくれませんでした。
しかし、撮影用に用意した水槽の海水が気に入らなかったのか、眼や触角、体
表などをさかんに擦る行動が見られました。なかなか面白い行動なので、今回
はそのようすをスローモーションでお伝えすることにします。
【モンハナシャコの動画】
(それぞれ上の行が Windows Media Player形式、下の行がQuickTime形式で
す。なお、画像が乱れるときは、データをすべて読み込んでから再生して
みてください。)
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2007_10/monhana_shako.wmv
http://www.tokyo-zoo.net/news/temp/2007_10/monhana_shako.mov
撮影用に用意した水槽の海水には、非常に細かなサンゴ砂の粒子がただよっ
ていて、これが体に降り積もってくるのがイヤだったようです。先端がブラシ
状になっている脚を器用に使い、さらにスナップをきかせながら「ふきふき」
していました。
通常のスピードで見ると、たしかに「ふきふき」しているように見えますが、
時間を4倍に引きのばして見てみると、自分には「カユいカユい」しているよ
うに見えて、ちょっと笑えました。
(今回、お伝えできなかった「ある行動」については、撮影に再チャレンジし
てみます。)
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
------------------------------------------------
▼記念講演会「イワトビペンギンの島を訪ねて」開催
------------------------------------------------
特設展示「PENGUIN PARK」(ペンギンパーク)を記念した講演会を開催しま
す! 特設展示のお知らせはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&link_num=7711
野生のイワトビペンギンは、営巣地でどんな暮らしをしているのでしょうか。
南米フォークランド諸島の西端に位置するニューアイランドを訪れた写真家・
鎌倉文也さんが、写真とともにお話しします。
日時 2007年12月1日(土)午後3時から3時45分
会場 葛西臨海水族園本館2階レクチャールーム
定員 80名
参加費 無料(入園料は必要です)
申込 往復はがきに、参加者全員の氏名(1枚に2名まで)、代表者の住
所と電話番号を明記し、返信面に代表者の住所と氏名を記入して、
〒134-8587 東京都江戸川区臨海町 6-2-3 東京都葛西臨海水族園
「PENGUIN PARK 特別講演会」係までお送りください。応募多数の
際は抽選をおこない、当落にかかわらずお知らせします。
締切 2007年11月19日(月)消印有効
講演者 鎌倉文也(かまくら・ふみや)
サイト: http://www17.ocn.ne.jp/%7Ekpenguin/index.html
プロフィール: http://www17.ocn.ne.jp/%7Ekpenguin/profile.html
------------------------------------------------------
▼キッズカレンダー2008、11月10日と11日だけの配布です!
------------------------------------------------------
「キッズカレンダー」は、葛西臨海水族園の生きものたちがで登場する子ど
も向けのカレンダー。生きものたちの名前シールを貼って、カレンダーを完成
させよう!
昨年ご好評いただいたキッズカレンダーの2008年版が完成しましたので、2
日間限定で配布します(無料です!)。なくなりしだい終了です。おさそいあ
わせのうえ、お早めにご来園ください。
日時 2007年11月10日(土)と11月11日(日)
各日午前9時30分から。なくなりしだい終了
場所 チケット売場付近で配布します
費用 無料です
■井の頭自然文化園■====================================================
----------------------------
▼ツシマヤマネコついに公開!
----------------------------
先週もお知らせしたとおり、2007年10月20日(土)、井の頭自然文化園では、
ついにツシマヤマネコのオスを公開しました! 先週のニュースはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=ino&link_num=7810
公開前日、展示施設である「ヤマネコ舎」に移動しましたが、翌朝、無事に
寝部屋から出てくれるかが不安でした。しかし、そんな私たちの心配をよそに、
オスすんなりと寝部屋から出て来て、しばらく新しい住居の中を歩きまわった
後、高い切り株の上にどっしりと腰をおろしました。ツシマヤマネコ目あてに
いらしゃった来園者や取材の方々にとっては、絶好のポジションです。たくさ
んのカメラが向けられても動じるようすはありません。その後も、日のあたる
床で寝そべったりする行動が見られました。
今回、公開したのは5歳のオスです。昨年(2006年)11月に対馬の野生生物
保全センターから来園したときの体重は 5,000グラム弱でしたが、今回移動し
た時に測定すると 5,400グラムもありました。すがたも態度?も貫禄じゅうぶ
んです。
また、公開にともない、10月20日と21日には、飼育担当職員によるキーパー
ズトーク「ツシマヤマネコの話」を開催しました。ツシマヤマネコの生態のほ
か、ツシマヤマネコの置かれた現状、地元である対馬を中心におこなわれてい
る保全活動、当園が協力している繁殖事業について紹介しました。大勢の人に
お集まりいただき、質問もさかんで、30分の予定が1時間以上になった回もあ
りました。対馬からやってきた着ぐるみ、ツシマヤマネコの「つばき」も参加
して、ヤマネコ舎の前はいつになく大にぎわいでした。
ヤマネコ舎の中にはツシマヤマネコの生態や分布などを紹介する大型パネル
も設置しています。沖縄県西表島だけにくらす「イリオモテヤマネコ」よりも
知名度が低いツシマヤマネコですが、今回の公開をきっかけとして、多くの方
々に「ツシマヤマネコ」を知っていただければと思います。
大盛況だったキーパーズトークを、2007年10月28日(日)にも実施します。
午後2時から約30分。ヤマネコ舎前にお集まりください!
--------------------------------------
▼「夕暮れの動物園たんけん」レポート!
--------------------------------------
2007年10月20日におこなわれた「夕暮れの動物園たんけん」のレポートです。
「夜の動物園」でないところがミソ(?)。日が暮れる前と真っ暗になった園
内の両方を一度に楽しめるイベントです。
応募総数 474人の中から選ばれた強運の30名の参加者一行は、最初に「リス
の小径」へ向かいました。薄暗くなり始めていますが、リスたちの中にはまだ
活動しているものもチラホラ。サル山のサルは、まだいつもと変わらぬようす
で、くつろいだり、子どもどうしで遊んだり。参加者は、懸命にリスやサルの
さまざまな行動を探して、「動物観察ビンゴゲーム」に挑戦し、ビンゴを目指
そうと必死です。
次のメニューは「動物園の台所見学」。担当するのは新人飼育係です。いく
ぶん緊張しながら、鶏頭がぎっしり詰まっている冷凍パックやミールワームな
どの食材を紹介し、参加者の興味をそそるツボをしっかり押えて話を進めます。
ふだん入ることのできない裏側見学に、大人も子どもも興味津々でした。
そしてベテラン飼育係の登場。暗闇のなかで動物たちに餌やりです。ハクビ
シン三姉妹は待ちきれず、飼育係が餌の説明をしているあいだ、ずっとウロウ
ロ、ソワソワ。この日はちょっと奮発して、房のままのブドウ、柿、洋梨の3
種類を与えてみました。しかし、丸ごとの食べ物に慣れていないからか、匂い
は嗅ぐものの、なかなか食べようとしません。あーあ、なんてもったいないこ
とでしょう。いつもの餌を与えると、やっと食べ始めました。
広場へ出て、バットディテクターでコウモリを探索しますが、気温が低いか
らなのか、反応はまったくありません……。かわりに、まだ小さいヒキガエル
が現れ、注目を集めていました。
フクロウのコールバックテスト(鳴き返しの実験)では、フクロウを驚かさ
ないよう、そーっと近づき、録音しておいたフクロウの「ホーッホーッ」とい
う声を流します。鳴き返してくれるかどうか、全員が息を詰めて見守りますが、
こちらも残念ながら、応答なし……。練習では、ちゃんと返してくれたのに!
内容盛りだくさんの「夕暮れの動物園たんけん」もそろそろ終わりです。出
口に向かうと、ほとんど外灯のない園内に、ボーッと浮き上がるお化けカボチ
ャの灯りが現れました。造園係の職員が、園内で育てたお化けカボチャでハロ
ウィーンの「ジャック・オー・ランタン」を作ったのです。イベント最後の粋
なプレゼントに、子どもたちは大喜びしてくれました。
〔井の頭自然文化園管理係 高松美香子〕
--------------------------------------
▼干支展「いのかしらネズミーズ2008」と
キーパーズトーク「ネズミのおはなし」
--------------------------------------
井の頭自然文化園では、来年(2008年)の干支の動物「ネズミ」にちなみ、
特設展「いのかしらネズミーズ2008」を開催します。目玉は数十頭のハツカネ
ズミを、上からも横からも観察できる大型水槽展示「ネズミランド」。カヤネ
ズミやハタネズミのほか、園内で展示している齧歯木のなかまや、ネズミの名
がつく動物をパネルで紹介します。また、テンジクネズミ(モルモット)にな
りきれる写真コーナーもあります。
会期 2007年11月20日(火)~2008年1月14日(月・祝)
場所 井の頭自然文化園 資料館1階
展示生物 ハツカネズミ、ニホンハツカネズミ、カヤネズミ、
ウスイロアレチネズミ、ハタネズミ
◎キーパーズトーク「ネズミのおはなし」
特設展開催中、飼育係によるトーク「ネズミのおはなし」をおこないます。
日時 2007年11月24日(土)、12月16日(日)、12月24日(月・祝)、
2008年1月3日(木)、各日午後1時30分から約30分
会場 井の頭自然文化園 モルモットふれあいコーナー前
■上野動物園・多摩動物公園・井の頭自然文化園■==========================
--------------------------
▼東京文化財ウィークの催し
--------------------------
11月3~11日は「東京文化財ウィーク」。ガイド冊子はこちらから↓
http://www.syougai.metro.tokyo.jp/sesaku/week.html
動物園で飼育されている動物の中にも、「特別天然記念物」や「国指定天然
記念物」があります。上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園では、そ
うした動物舎の前に「のぼり」を立て、「解説カード」をお配りします(多摩
動物公園での動物カード配布場所は、動物舎ではなく、正門近くの情報テント)。
期間は文化財ウィーク(2007年11月3日から11日)。ただし、上野動物園と
井の頭自然文化園は、11月5日(月)は休園。多摩動物公園は11月7日(水)
は休園です。
また、多摩動物公園では2007年11月3日(土・祝)、11月11日(日)各日午
前11時から約45分、「天然記念物の鳥たち」をテーマに、ガイドツアーをおこ
ないます。正門看板前に集合! タンチョウ、水鳥(ヒシクイ、マガン)、ワ
シ(ニホンイヌワシ、オジロワシ、オオワシ)、ニホンコウノトリなどを紹介
します。
・各園の文化財は、下記ニュースをごらんください。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=event&inst=&link_num=7870
----------------------
N E W S C L I P S
----------------------
●天皇陛下が戦前の捕鯨フィルムを国立歴史民俗博物館に寄贈
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007102601000589.html
●サンゴ産卵の謎解明──満月の光が合図
http://www.asahi.com/science/update/1019/TKY200710190433.html (朝日)
●マサイ族を嗅ぎ分ける?アフリカゾウ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071020-00000911-san-int (Yahoo!Japan)
●シンポジウム「シーラカンスの謎に迫る」──アクアマリンふくしま
2007年11月24日、いわき明星大学にて。要申込。締切は11月初旬。
http://www.marine.fks.ed.jp/symposium.html
●米カリフォルニア州南部の山火事、延焼止まる。サンディエゴ動物園再開
2007年10月21日に発生し、米カリフォルニア州南部各地に広がった山火事によ
り、サンディエゴ動物園 http://www.sandiegozoo.org/ は閉鎖。動物も一時避
難。25日には季節風がやみ、住宅地への延焼の恐れはなくなりました。サンディ
エゴ動物園では、オニクイナ2羽とキャン1頭以外は無事。 600エーカーを超え
る敷地が燃え、一部建物にも被害が発生。本日(10月26日)から正常開園してい
ます。動画もあるブログ↓
http://www.sandiegozoo.org/wordpress/default/fire-update-from-the-wild-animal-park/
========================================================================
▽本文中にしめしたリンクによって表示されるページには、ほかのページへの移
動リンクが含まれていない場合があります。とくに東京ズーネットの「どうぶ
つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
http://www.tokyo-zoo.net/search/ から検索してください。
▽ズー・エクスプレスでは、みなさんからのおたよりを募集しています。匿名や
ペンネーム希望の方はその旨をおつたえください。 webmaster@tokyo-zoo.net
まで。ご意見・ご要望・お問い合わせもこのアドレスまでどうぞ。
▽メール配信先変更、配信停止は下記URLにてお願いいたします。配信先の変
更をご希望の方は、いったん解除をおこない、あらためて新アドレスを登録し
てください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/
▽編集後記
・台風20号が北東にどどどと進行中。一方、アメリカのカリフォルニア州は雨
不足。サンディエゴ動物園は、メールマガジン No.136 でも取り上げたよう
に、以前も10月下旬に山火事の被害を受け、動物の避難をおこなっています。
http://www.tokyo-zoo.net/ROOT/express/express_back?record=297 雨不足
で火事も発生しやすくなっていますが、放火を疑う捜査もおこなわれている
のだとか。
・本の紹介は大人の事情でお休みいたしました。そっとしておいていただける
と幸甚です(またか)。いつもご紹介している書籍は、上野動物園内にある
「資料室」で収集しています。和書と外国図書、いずれも東京ズーネット内
の「ズーライブラリー蔵書検索」を使えば、基本書誌情報を確認することが
できます。 http://www.tokyo-zoo.net/library/ ご利用ください。(大平)
========================================================================
メールマガジン ZooExpress No.348 - 2007年10月26日
財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
携帯サイト: http://www.tokyo-zoo.net/ (PC版と同じです)
(c)2007 Tokyo Zoological Park Society
|
 |