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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.25 - Sep 14, 2001
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都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」。
「おーい」「……」「オーイ」「……」「オーイ!」「……(不動)」。
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■上野動物園■========================================================
▽ホフマンナマケモノ、放飼場に登場!
これまでずっと室内にいたホフマンナマケモノ(一つがい、推定年齢21歳)
が、屋外に登場しました。かつては東園類人猿舎入口ちかくの部屋で展示し、
1993年以降は西園小獣館1階で展示していました。
室内から屋外へ移動したのは、9月13日です。小獣館の展示室内には、ナ
マケモノがつかまるための木の枝が設置されていますが、移動するために用
意した太い枝に移すまでが大仕事でした。「これにつかまって~」とばかり、
担当者が枝を差し出すのですが、なかなかつかまってくれません。いつもは
じっとしているナマケモノも、ずいぶん興奮したのでしょう、ときおり人間
にむかってくるかのように体を激しくゆすっていました。
用意した枝につかまったのは、作業を始めて約30分後のこと。すぐちかく
の放飼場まで急ぎます。ナマケモノはぶらさがったまま。放飼場内の木の枝
にちかづけると、難なく移動してくれました。ホッ。
もう1頭は作戦を変え、大きな網で運んだため、短時間で作業終了。見て
いると2頭はどんどん木をのぼっていき、10分ほどでとりあえず落ちついた
ようすでした。
2頭が上野動物園にやってきたのは、1983年4月3日でした。日本航空の
「シアトル-シカゴ線」就航記念に、シカゴのリンカーンパーク動物園から
贈られました。ナマケモノは中南米にすむ動物で、ごぞんじのとおり、ゆー
っくりと動くのが特徴です。分類上は、アリクイやアルマジロとおなじ「貧
歯目」(ひんしもく)に属します。
ナマケモノは前肢の指が2本あるフタユビナマケモノ類と、3本のミユビ
ナマケモノ類の2属にわかれ、7種が知られていますが、ホフマンナマケモ
ノはフタユビナマケモノ類の一種です。
【クイズ】ナマケモノは小食で、しかも、食べた餌がすべて消化されて腸
の方に出るまで1カ月かかるといわれています。では、上野動物園のホフマ
ンナマケモノが来園してから3年間で排便した回数は、いったい何回だった
でしょう?(答は編集後記をご覧ください↓)。
屋外に出て、なぜか大きく見えるホフマンナマケモノ2頭。ホントにじー
っとしているので、見つけづらいかもしれません。木の上にいるはずです。
負けずにじーっと眺めてみてください。
展示場所は西園。ミナミジサイチョウをはさんで、おなじ貧歯目のなかま
であるオオアリクイのとなりのとなりです。アカクビワラビーのいた放飼場
ですが、ワラビーは現在病気療養中です。
・リンカーンパーク動物園
http://www.lpzoo.com/
・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」からホフマンナマケモノ
http://www.tokyo-zoo.net/servlet/DispZooList02?Level=4&Num=57&Free=
・ユニークなサイト「ナマケモノ倶楽部」
http://www.sloth.gr.jp/
■葛西臨海水族園■====================================================
▽鎧をつけた貝──ヒザラガイ
〔特設展「軟らかな体のしなやかなくらし──軟体動物」展示種紹介[5]〕
磯遊びをしているとき、岩にぴったりとはりついた、ゾウリのようなすが
たの生き物を見かけたことはありませんか? 岩にとけ込むような地味な色
合いですが、よく見ると背中に8枚の殻があるのがわかります(写真は東京
ズーネット内の http://www.tokyo-zoo.net/event/ をご覧ください)。殻
は硬い筋肉とざらざらの皮膚でかこまれていて、まるで鎧(よろい)を着て
いるようです。扁平な足で岩にしっかりと吸いついていますが、その力は相
当なもので、大人の力でもひきはがせないほど。採集するときは、ヒザラガ
イが“ゆだん”しているすきに、ヘラなどの道具を腹側にすばやく差し込む
ようにして採集します。強い吸着力は、敵から身を守るだけでなく、荒い波
がうち寄せてきたときにも役立ちます。
ひきはがされたヒザラガイは、ダンゴムシのように丸まってやわらいお腹
側を守ります。一列にならんだ複数の殻をもっているおかげで、体を曲げる
ことができるのです。丸まったすがたが人間の膝頭(ひざがしら)に似てい
るため、膝皿貝(ひざらがい)とよばれるようになったようです。
岩のくぼみでじっとしているように見えるヒザラガイですが、夜になると
岩の上をはいずりまわり、岩に付着した海藻などを、かたい歯で削りとって
食べます。一部の歯にかたい金属のキャップをもち、岩ごと海藻を削りとっ
てしまう種類もあります。食事を終えると、もとの岩のくぼみに帰るという
「帰巣行動」をすることも知られています。
水族園の特設展示会場では、関東近海の磯でふつうに見られる3種類のヒ
ザラガイ類とともに、寒流域にすむオオバンヒザラガイという世界最大の種
も見ることができます。またその鎧(8枚の殻)も展示しています。
〔葛西臨海水族園調査係 天野未知〕
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▼大阪市天王寺動植物公園でクロサイのメスが誕生しました。母乳で元気に育
っているそうです。クロサイはアフリカに生息する巨大な陸上動物で、乱獲等
により、絶滅が心配されています。11月ごろ公開予定。
・大阪市天王寺動植物公園
公式サイト http://www.jazga.or.jp/tennoji/base/
私的サイト http://www.tennojizoo.com/
▼世界で唯一のカモシカ専門動物園「日本カモシカセンター」(三重県)で飼
育されているジャコウウシの「チャッピー」(メス)が9月で23歳5カ月をむ
かえ、世界最長寿記録を更新しました。ジャコウウシの平均寿命は15歳といわ
れており、これまでの長寿記録はオスが23歳4カ月、メスが21歳6カ月でした。
チャッピーは1978年4月23日、アメリカのサンディエゴ動物園生まれ。1987年
に日本カモシカセンターに来園しました。国内でジャコウウシを飼育してして
いるのは、同センターだけです。
・日本カモシカセンター
http://www.gozaisho.co.jp/kamosika/center.htm
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▼編集後記
クイズの答: 3年間で、オスは115回、メスは95回でした!(東京動物園
友の会の会誌「どうぶつと動物園」の1986年7月号、黒鳥英俊氏による記録
です)。
ホフマンナマケモノは夜行性、とはいうものの、夜見てみても、昼とおな
じ場所でじーっとしていました……。 (大平)
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メールマガジン ZooExpress No.25 - 2001年09月14日
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電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
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(c)2001 Tokyo Zoological Park Society
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