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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.23 - Aug 31, 2001
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都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」。
九つのキューブを、コロン、コロンと転がしながら遊ぶと楽しい……。
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葛西臨海水族園の閉園時間は通常午後5時ですが、9月2日(日)までの土・
日曜日は1時間の閉園延長を行なっています(入園は5時まで、閉園は6時)。
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■多摩動物公園■======================================================
▽ニホンカモシカの「小雪」仲間入り!
多摩動物公園では、7月19日に岩手県鳥獣保護センターから来園したニホ
ンカモシカの「小雪」(メス、推定1歳)の公開を8月30日からはじめまし
た。場所は、アジア園のシフゾウ舎です。
ニホンカモシカは、その名のとおり日本の特産種。かつては肉と毛皮をと
るために狩猟の対象となり、数が減りましたが、1955年には特別天然記念物
に指定され、手あつく保護されてきました。標高1,500~2,000メートルの山
岳地帯で草や木の葉を食べてくらしていますが、北の生息地では海岸線ちか
くにまであらわれるとのこと。目の下とひづめの間に匂いをつける腺が発達
しており、なわばりのマーキングに使われます。
これまで多摩動物公園では、ニホンカモシカのオス1頭(ヒロシ、4歳)
を飼育展示していましたが、今後は繁殖をめざした飼育にとりくみます。
“山の哲学者”ともいわれるニホンカモシカの姿をぜひ見にきてください。
・世界で唯一のカモシカ専門動物園「日本カモシカセンター」(三重県)
http://www.gozaisho.co.jp/kamosika/center.htm
「御在所ロープウェイ」 http://www.gozaisho.co.jp/ 内の一ページ。
「カモシカ占い」もあります。試してみたら「シャモア・タイプ」でした。
それって……?
・「小雪」の写真は「東京ズーネット」 http://www.tokyo-zoo.net/ から
「What's New」へ。
・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」のニホンカモシカはこちら↓
http://www.tokyo-zoo.net/servlet/DispZooList02?Level=4&Num=65&Free=
■葛西臨海水族園■====================================================
▽貝殻をすてた貝の武器──アオウミウシ
〔特設展「軟らかな体のしなやかなくらし──軟体動物」展示種紹介[3]〕
芸術家でも思いつきそうにない多彩な色と模様──ウミウシはその華麗な
姿から“海の宝石”と呼ばれ、ダイバーなどに人気があります。水族園で展
示しているアオウミウシも、青・赤・黄の原色のコントラストが美しいウミ
ウシです(写真は東京ズーネット内の http://www.tokyo-zoo.net/event/
をご覧ください)。
ウミウシの飼育でいちばん苦労するのは餌です。ウミウシの多くは、カイ
メン、コケムシ、ホヤ、サンゴなど、岩にくっついてくらしている、まるで
“植物のような動物”を餌としています。アオウミウシの餌はカイメンで、
しかもある特定の種類しか食べません。この餌を常備するのはたいへんです。
ところが、この偏食(?)こそ、ウミウシの身の守り方と深い関係があるの
です。
ウミウシは生まれてからしばらくのあいだ、貝殻をもっています。しかし、
成長にともない、この貝殻はなくなってしまいます。軟らかな体を守るはず
の貝殻を脱ぎ捨てて、ウミウシたちはどうやって身を守っているのでしょう?
じつは、餌にしている生き物から武器をもらっているです。カイメンとい
う生物は、天敵に食べられないように、鋭い骨片や敵のいやがる化学物質な
どをもっています。アオウミウシはカイメンを食べ、それらの武器をもらっ
て自分の体の中にためこみ、身を守る武器として使うのです。サンゴなどの
刺胞(しほう。刺胞内には小さな針がある)を背中の突起にためて武器とし
ているウミウシもいます。アオウミウシの派手な体色は、「私はまずくて、
毒があるぞ」という警戒色であると考えられています。
近年、ウミウシ関連でよい本が出版されています。
『ウミウシ学──海の宝石、その謎を探る』平野義明著、東海大学出版会
ウミウシの生態・繁殖・分類などについてやさしく紹介してくれる本。
「好きなもののことを人に話すのは楽しい」とあるように、 研究者であ
る筆者のウミウシへの愛情があふれています。読めばもっとウミウシの
ことを知りたくなるります。bk1に著者のコメントあり。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=freelink&bibid=00023586
『ウミウシガイドブック──沖縄・慶良間諸島の海から』
小野篤司著、TBSブリタニカ
『ウミウシガイドブック2──伊豆半島の海から』
鈴木敬宇著、TBSブリタニカ
ウミウシ専門の図鑑。それぞれ 300種ちかくをオールカラーで紹介。写
真をながめるだけでも楽しい。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=freelink&bibid=01686389
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=freelink&bibid=00013222
〔葛西臨海水族園調査係 天野未知〕
▽台風11号にヒヤリ!──鹿児島県笠沙町からのレポート
照りつける太陽のもと、洋上にある生け簀(いけす)の上で漁船の帰りを
待っています。じっとしていても汗が体からふきだしてきます。ここは鹿児
島県の西端にある笠沙(かささ)町です。
黒潮にのってマグロやカツオの仲間が笠沙周辺の海にあらわれる8月、幼
魚を採集するために、私たちは毎年笠沙町を訪れます。採集するのは、クロ
マグロ、キハダ、カツオ、スマなど、体重にしてほんの200~300グラムの赤
ちゃんです。
ただし、マグロやカツオの仲間は体が傷つきやすく、泳げないと死んでし
まうため、生かしておくのは簡単ではありません。そこで、釣りのプロであ
る漁師さんの協力を得て、沖で釣った魚を生きたまま持ち帰ってもらうよう
にしています。生け簀で餌に慣れさせ、約1カ月間ほど飼育してから、葛西
臨海水族園の水槽まで船とトラックで運びます。
ただしこの時期、一番怖いのは台風です。大型の台風が周辺海域を通過し
た場合、風雨や波浪の影響はさけられません。先日も大型の台風11号が日本
に上陸しました。鹿児島県本土はかすって行っただけでしたが、それでも3
日間ほど海が大荒れで、魚に餌を与えることができませんでした。
台風が去り、3日ぶりに生け簀でマグロやカツオの泳いでいる姿を見たと
きは正直ほっとしました。9月の下旬には、採集したカツオをお見せできる
と思います。乞うご期待!! 〔葛西臨海水族園調査係 松山俊樹〕
■TokyoZooShopのお知らせ■============================================
▽オリジナル・キューブパズル「せかいのどうぶつ」好評発売中!
オリジナルパズルの定番アイテム、人気の「キューブパズル」を全面リニ
ューアルしました。5センチ角のキューブ9個を並べ替えると、6とおりの
絵があらわれます。
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種類は、アフリカ、アジア、アメリカ、オーストラリア、北極・南極それ
ぞれの代表的な動物と、両生・爬虫類。 http://www.tokyo-zoo.net/shop/
から「ショップニュース」をごらんください。
イラストレーターは結城嘉徳さんです。株式会社TDC のサイトには、結城
さんの作品が紹介されています http://www.tdc-1.co.jp/ild.html 。
価格は 1,400円(税別)。上野動物園・多摩動物公園のギフトショップで
お求めください。
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▼山形県の庄内浜加茂水族館 http://www5b.biglobe.ne.jp/~kamo-a/ は、ク
ラゲの展示を中心とした水族館です。一般種ながら水族館ではめずらしいツノ
クラゲの展示を8月からおこなっています。同水族館は15種ほどのクラゲの常
設展示に成功しており、飼育の秘訣は庄内浜の海水を豊富に使えることにある
ようです。
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▼本文中に示したリンクによって表示されるページには、他のページへの移動
リンクが含まれていない場合があります。とくに東京ズーネットの「どうぶ
つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
http://www.tokyo-zoo.net/search/ から検索してください。
▼ZooExpressではみなさんからのお便りを募集しています。匿名やペンネーム
希望の方はその旨をお伝えください。webmaster@tokyo-zoo.net まで。ご意
見・ご要望・お問い合わせもこのアドレスまでどうぞ。
▼メール配信先変更、配信停止は下記URLにてお願いいたします。配信先の
変更をご希望の方は、いったん解除をおこない、あらためて新アドレスを登
録してください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/
▼編集後記
カモシカは本来「氈鹿」で、氈(かも)は「毛織りの敷物」(カモシカの
毛は毛氈に使われたそうです)。『語源辞典──動物編』(吉田金彦)によ
ると、南欧や西アジアのシャモア(ヤギ亜科)の語源となる camo-(カモ)
が、製品の毛氈とともに日本に入り、毛氈を「かも」とよぶようになった可
能性がある、とか。
ただし、『日本国語大辞典』によると、氈は毛裳の義だとか、蒲、菰の転
だとか、朝鮮語からだとか、カモシカの方が先だとか……。だれか教えてー。
(大平)
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メールマガジン ZooExpress No.23 - 2001年08月31日
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電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
(c)2001 Tokyo Zoological Park Society
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