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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.126 - Aug 22, 2003
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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」
・はっ-こう【八紘】四方と四隅。地のはて。転じて、天下。全世界(広辞苑)
■おしらせ■==========================================================
▼『はな子が逃げた』売り切れです、ごめんなさい!
先週号(No.125)でおしらせした、小森厚著『はな子が逃げた』(東京動
物園協会)ですが、ドシドシとお申し込みをいただき、完売です(感涙)。
ご注文の受け付けは終了いたします。ありがとうございました!
■上野動物園■========================================================
▼夏はこれでしょ──「氷のプレゼント」
やっと真夏らしくなってきた8月、ことしも動物たちに、好物入りのプレ
ゼントをしました。8月10日から21日にかけて、ニシローランドゴリラには
バナナやオレンジ、リンゴなど、ホッキョクグマにはソーセージ、リンゴ、
バナナ。
ヤギ、アジアゾウ、ジャイアントパンダ、ニホンザル、カナダヤマアラシ
にも氷を味わってもらいました。
餌が見えるけど取れないし、ツメタイじゃん!と思っているかどうか──
ガジガジと氷をかじるホッキョクグマの動画を、来週初頭、東京ズーネット
BBで公開します!
▼ヒョウの「八紘」、本になる──浜畑賢吉著『戦場の天使』
昨年(2002年)8月、上野動物園の開園 120周年と東京動物園友の会の創
立50周年を記念して、俳優の浜畑賢吉さんによるミュージカルトークを上演
しました。
その浜畑さんが今月、『戦場の天使』(角川春樹事務所、本体1300円)を
上梓。上野動物園にやってきたヒョウ「八紘」の物語です。
『上野動物園百年史』p.156より
昭和17年5月30日には、中支派遣軍第6884部隊の成岡なる兵隊か
ら昭和16年春生まれたばかりで捕えられ、部隊のマスコットになっ
ていたヒョウが1頭送られ、「八紘」と名付けられて、新聞をにぎ
わせた。このヒョウは、後に、これを世話したという兵隊が動物園
に訪れたり、戦後も、『豹と兵隊』という本になって出版されたり、
いくつかの話題をかかえた動物である。
八紘の写真は、東京ズーネット http://www.tokyo-zoo.net/ のニュース
ベージをごらんください。
1941年、中国湖北省に展開していた日本軍部隊がヒョウの子どもを捕獲。
一躍、兵士たちのスターとなります。
『戦場の天使』pp.25-26より
突然現われたヒョウの仔の無垢な寝顔が、兵士たちの心に残って
いたやさしさや純粋さを揺り動かしたのか、みんな子どもに返った
ような顔をしている。
「かわいいのう!」
「うん、こいつは戦場のわしらの天使じゃ。」
ヒョウは、第8中隊の名をとってハチと名づけられ、兵士の心のささえと
なりますが、日本軍が負けいくさに向かうなか、中隊にも転戦命令がくだり
ます。
ハチは野生では生きていけない、と判断した成岡曹長は、動物園に送ろう
としますが、高知の柳原動物園、大阪の天王寺動物園が受け入れを拒否。し
かし、1942年5月、上野動物園が「大いに歓迎します」と表明。ハチだけ日
本に単身でわたり、八紘と名づけられたのでした。
1943年8月、成岡さんは休暇をとって戦地から帰国。しかし、上野動物園
から受け取った電報は……。
・角川春樹事務所の紹介ページ
http://www.kadokawaharuki.co.jp/cgi-bin/location.cgi?isbn=475841016X
・bk1の紹介ページ
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=freelink&bibid=02353146
・8月24、25日、浜畑さんが高知市の潮江図書館と市内の書店で朗読とサイ
ン会(潮江図書館には八紘の剥製があります)
・浜畑賢吉さんのサイト http://www.ss.iij4u.or.jp/~hamasan/
■葛西臨海水族園■====================================================
▼メスを追いかけるオス──スマの追尾行動
動物園や水族館のおもしろさは、なんといっても生きた動物を間近で見ら
れること。そして、動物を「生」で見ることの醍醐味のひとつは、こちらが
予測もしなかった行動を目にするチャンスがあることでしょう。わたしもト
ラの大あくびや、ゾウのうんちシーンに幸運にもでくわして、妙に得したき
もちになった記憶があります。
というわけで、今回は、水族園でしか見られない、マグロたちのおもしろ
い行動を紹介しましょう。ただし、いつでも見られるわけではないので、ご
了承ください。
水族園の「大水槽」では、現在6種類のマグロのなかまが泳いでいます。
その中で、全長50cmぐらいの小型の「スマ」に注目です。スマは、たいてい
5~15尾ほどの群れを作って泳いでいますが、そのうちの何尾かに変わった
泳ぎが見られます。
一尾が、ほかの一尾を追いかけながら、お腹のあたりを頭でつつきます。
すると、つつかれた方は、からだを横だおしにして、お腹を見せるようなし
ぐさをするのです。
このような行動は、穏やかに(?)泳いでいる群れの中で突発的に起こり、
何度かつづきます。ときには、数尾が1尾をすばやく追いかけて、もつれあ
うように泳ぐようすも見られます。どの個体も背びれと腹びれをピッと立て、
興奮しているようです。
じつは、追いかけられているのはメス、追いかけているのはオスたちなの
です。どうして追いかけっこをしているのかは、もう少しようすを見ている
とわかります。
追いかけっこは、だんだんとヒートアップしてきます。メスは、ゆっくり
泳いでいたかと思うと、急に目にもとまらぬハイスピードで右から左へ突っ
走ったり、すばやくターンしたりします。メスの「ついてこられるならつい
てきなさいよ!」という泳ぎに、オスは必死でついていきます。はげしい追
いかけっこが何度か長くつづいたあと、猛スピードで泳ぐ一団から、白い帯
がたなびきます。
この場面はほんとうにあっという間に終わってしまうのですが、これはス
マの産卵、放精のシーンなのです。白い帯はオスの精液。メスも同時に水中
に卵をばらまきます。透明で直径1ミリほどの小さな卵は、よ~く目をこら
してみると水中をただようのが見えることもあります。
スマのこうした行動は、8月初めから観察されるようになりました。残念
ながら産卵の時間は不規則で、しかも夕方遅くなってからの場合が多いので、
その瞬間を目にするのは簡単ではありません。でも、産卵にいたるまでの追
いかけっこ(追尾行動)であれば、午後の早い時間から見られるかもしれま
せん。
外洋でくらすマグロたちの行動を、海の中で見る機会はまずありません。
水槽の前で、すわってゆっくり追いかけっこをさがしてみてはどうでしょう
か? 観察するうちに、もっとおもしろい行動を発見できるかもしれません。
「絶対に見たい!」という方は、アクアシアターのビデオテックスや情報
コーナーのオリジナルビデオでも、追尾行動や産卵行動をご紹介しています。
〔葛西臨海水族園調査係 天野未知〕
・スマの卵と孵化したばかりの仔魚、そして成魚の写真は、東京ズーネット
http://www.tokyo-zoo.net/ のニュースページをどうぞ。
■大島公園動物園■====================================================
▼どうぶつたちに大人気──明日葉
伊豆諸島の名産品の一つに明日葉(アシタバ)があります。明日葉の開花
期は初夏で、花が咲くと枯れてしまいます。
でも、開花前に刈り取ってしまえば枯れることなく、ふたたび芽吹きます。
そのため、7月ごろには公園周辺の住民の方々から、明日葉をたくさんいた
だきます。
大きく伸びた明日葉は、人間にはすこし堅すぎますが、動物にとってはご
ちそう。いろんな動物たちが、目の色を変えて、むさぼるように食べていま
す。
明日葉をぱくぱく食べているアルダブラゾウガメ写真は、東京ズーネット
http://www.tokyo-zoo.net/ のニュースをどうぞ。
〔大島公園動物園 高橋孝太郎〕
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N E W S C L I P S
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●8月15日から、キンシコウの赤ちゃん公開──東山動物園
http://www1.ocn.ne.jp/~ngyzoo/animal/gsm-baby2.htm
●昨年完成した、中国高山にすむビエモンキーの記録映画、日本初公開
http://j.peopledaily.com.cn/2003/08/21/jp20030821_31740.html (人民網)
●講演会「ファーブル昆虫記の世界と昆虫採集の楽しみ」
水戸昆虫研究会30周年記念の催し物。第1部は奥本大三郎氏による特別講演。
第2部はパネルディスカッション「昆虫採集の楽しみ」。2003年10月4日、茨
城県県民文化センター小ホール。問い合わせ先は、午後8時から10時のあいだ
に、小倉健夫さん 029-228-3306 か、渡辺健さん 029-254-3759 まで。
●放虫ゲリラ?──中国原産のチョウ類が国内で定着
中国原産のチョウ、アカボシゴマダラが神奈川県に定着。飼育した個体をマ
ニアが故意に放ったと見られており、専門家は「放虫ゲリラ」と呼んでいます。
・神奈川県立生命の星・地球博物館のサイトから高桑正敏学芸部長の記事
http://nh.kanagawa-museum.jp/kenkyu/alien/25.html
●鍼治療を受けるコモドドラゴン──シンガポール動物園
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/030819/168/50gi9.html
●10月に中国からパンダ2頭が来園──タイのチェンマイ動物園
10年間の予定で中国の臥龍自然保護区からジャイアントパンダを借り受ける
チェンマイ動物園は、毎年25,000米ドルを支払う予定。1億円以上をかけた施
設もまもなく完成。(Bangkok Post)
●オーストラリアガマグチヨタカのひな誕生──ブルックフィールド動物園
ふわふわの毛が生えたひなのビデオ(2003年7月生まれ)
http://www.brookfieldzoo.org/pagegen/media/tawnychick1.WMV
写真はこちら http://www.brookfieldzoo.org/0.asp?pageID=764
●双子を妊娠したジャイアントパンダが1頭めを出産──サンディエゴ動物園
8月19日、人工授精の結果、双子を妊娠した白雲(パイユン)が、1頭目を
無事出産。2頭めはまだです。パンダの双子妊娠はまれではありませんが、母
親が2頭以上の世話をできないこともあるため、人工保育の準備もしています。
・1頭めのこどもがはっきり見えるビデオ(RealPlayer)
http://www.sandiegozoo.org/videos/pandababy8-20-03.html
・サンディエゴ動物園 http://www.sandiegozoo.org/
●新施設の完成を待つオランウータンの「ラスティ」──ホノルル動物園
劣悪な環境の個人施設(米国)に置かれていたオランウータンの「ラスティ」
(オス)が救出されたのは1997年。現在、ホノルル動物園を仮住まいにしてい
ます。その後、フロリダなどの候補地もあがりましたが、紆余曲折を経て、オ
アフ島のクアロアがついの住みかに決定。今年中に新施設に引っ越す予定です。
・写真とビデオ(ホノルル動物園)
http://www.honoluluzoo.org/rusti_aloha.htm
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変更をご希望の方は、いったん解除をおこない、あらためて新アドレスを登
録してください。 http://www.tokyo-zoo.net/express/
▽編集後記
・先週取り上げたジャイアントパンダ初来日の話、成都のパンダ繁殖センタ
ーのサイトにはこんな記述が→ http://www.panda.org.cn/boshi/s1.htm 。
成都にメール出してみましたが、返事来ません……。
・No.113でご紹介した葛西臨海水族園のヤマトメリベ。なんと、インフォシ
ークのキーワードランキング(検索対象となったキーワードの順位)で、
「最新の時事」部門第13位に入っていました!(2003年7月29日から8月
4日の週)。「レアルマドリード」よりも上。
http://www.nextone.jp/st/no_variety/030807variety07_01.html
・動物園と関係ないんですけど、検索つながりで。いつのまにGoogleに電卓
機能がそなわっていたのにビックリ。検索窓に計算式を入れて検索するだ
け。加減乗除は + - * / 。2 inches とだけ入れると、ちゃんと5.08セン
チと教えてくれました。 (大平)
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メールマガジン ZooExpress No.126 - 2003年08月22日
財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
(c)2003 Tokyo Zoological Park Society
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