エゾヒグマ「ポン」の安楽死処置について
ニュース
2026年6月29日
東園「クマたちの丘」で飼育していたエゾヒグマの「ポン」(オス)は、お知らせしてきましたとおり、関節炎や慢性膵炎、炎症性腸疾患などをわずらっていました。
これまで、治療および苦痛の低減をはかり、生活の質(QOL)を維持することに努めてきましたが、回復が見込めず、今後苦痛が増大していく状況と判断しました。そのため、大変残念ではありますが、やむを得ず、安楽死処置をおこないましたので、報告します。
ポン
オス
20歳(推定)
2006年2月2日
これまでの治療経過等
2026年5月より、眼脂が増加し、結膜浮腫や充血が見られるため、点眼薬による治療を開始しました。全身状態については、活力の低下が認められました。以前から低用量のステロイド治療を継続してきており、ステロイドの増量をおこないましたが、それに対する反応は見られませんでした。
6月1日に麻酔下で血液検査、超音波検査、X線検査等をおこないましたが、活力低下の原因特定に結び付く結果は得られませんでした。その後、複数の抗菌薬や鎮痛剤、胃粘膜保護剤、心不全治療薬等で治療を試みてきましたが、症状は増悪していきました。
6月3日より展示を中止し、室内で静養することとしました。展示を中止した当初は、1日量のえさを複数回に分けて食べていましたが、徐々に好みのえさ以外は食べなくなりました。
6月8日には経口での投薬が困難となり、吹き矢での投薬を開始しました。それでも好きなアジ等は食べていましたが、徐々に固形のえさが食べられなくなりました。
6月18日からは、ポンの反応を見ながら、食べられそうなタイミングをとらえて、ペースト状、液状にしたえさを与えるようにしましたが、日に日に摂取できる量が減り、6月27日には水以外のものを全く口にしなくなってしまい、全身状態も悪化していきました。
安楽死処置の判断と実施
2026年6月29日、これまでおこなってきた投薬治療では体調の改善が見られず、食欲は廃絶し、体力も著しく低下し、起立することも困難となっていました。肘などには褥瘡もでき始めており、全身の状態は悪化の一途をたどり、これ以上の精密検査、治療に耐えられる体力は残っていませんでした。
これまでの状況と今後の見通しを改めて検討した結果、現在の苦痛を治療によって取り除くことは不可能であり、むしろ、苦痛が増大していくことが予想されました。そのため、「ポン」にとってのアニマルウェルフェアを考慮すると、無益な苦痛を長引かせることなく、安楽死処置をすることが適切であると判断しました。その判断に基づき、「ポン」が苦痛を感じることがないよう、最大限配慮した方法で、安楽死処置をおこないました。
今後について
処置後、速やかに解剖をおこない、病変などについて調査をおこなっています。解剖により得られた貴重な情報の数々は、より多くの動物を救うため今後の獣医療に活かしていきます。
このたびは大変悲しいお知らせとなりましたが、ご理解いただければ幸いです。
お花を頂く場合には、お手数ですがご入園頂いたうえ、ご自身で慰霊碑前のテーブルにお供えくださいますようお願いいたします。上野動物園では、死亡した動物への物品や食品のお供えは、衛生面や野生動物への影響を考えご遠慮いただいております。あらかじめご了承願います。
2026年6月29日現在、上野動物園でエゾヒグマは飼育していません。

