動物の展示の脇役「サイン」に注目!
2026年9月10日
みなさん、動物園で動物を見ているとき、その脇にさまざまな看板があることにお気づきでしょうか?
これらはおもに教育普及係が作製しており、私たちは「サイン」と呼んでいます。残念ながら、「気がつかなかった」「ほとんど見ていなかった」という方も多くいらっしゃると思います。今回の動物園だよりでは、そんなサインに注目していただくために、作製するうえでくふうしていることをご紹介します。
動物たちの展示場の周辺には、その生きものが何の種類かをあらわす「種名サイン」や、その生きものの体や行動の特徴、野生での状況などを説明した「解説サイン」などが掲示されています。
とくに解説サインは、来園した方が動物を観察しながら見ることで新たな気づきを得るための補助になります。しかし、(当たり前ですが……)サインはトークイベントなど、動物園の職員が直接話して説明するイベントなどと異なり、みなさんに直接語りかけたりすることはありません。みなさんに見つけてもらい、読んでもらわないとその力を発揮することができないのです。
そこで、サインをつくるときにはみなさんに見つけてもらい、読んでもらえるよう、さまざまなことをくふうしています。
くふう1 掲示する場所
目につくところに掲示するのはもちろんですが、なるべく多くの人が見やすいと感じる位置か、生きものを見るときに邪魔にならないか、動物たちに影響はないか、といった点を意識しながら総合的に検討します。
くふう2 内容は簡潔に、なるべく短く
伝えたいことはたくさんありますが、すべて書いていると小説のように長くなってしまいます。「これはぜひ気づいてほしい」ということを選んで、簡潔に書くようにしています。
とくに、文字量は第一印象になります。あまりに長すぎたり文字が小さすぎたりすると、それだけで読んでもらいにくくなってしまいます。ですが、単純に文字量を減らすだけだと正しく伝わらない可能性もあるため、文章を作成するときは何度も何度も練り直します。
くふう3 デザイン
文字だけだと難しく見えてしまうことも、イラストや写真があることによって「読んでみたい!」と思ってもらうことができます。上野動物園にはインハウスデザイナー(社内デザイナー)がいるので、色使いやフォント、配置、イラストなどを編集して、デザインの面から「見つかりやすく、読みやすい」サインに仕上げてくれます。
※園内のすべてのサインにデザイナーが関わっているわけではありません。
「こんなサインをつくりたい!」という企画段階から、実際に設置するまで、教育普及係だけでなく飼育担当者やデザイナーが関わって作製することも、「読んでみたくなるサイン」をつくるのには欠かせないことなのです。
ここでご紹介できるのは一部ですが、サイン一枚にもたくさんのくふうが隠れています。こうして公式ホームページにサインの記事を掲載することも、みなさんに注目していただくきっかけになります。
一方で、園内にあるサインはすべてが完璧な状態になっているわけではありません。時間の経過とともに、最新の情報ではなくなってしまったり、もっとよい表現が見つかったりすることもあります。そういったものを更新していくのも、また一つのくふうです。
みなさんに見つけてもらい、読んでもらわないと力を発揮できないサインですが、雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も園内に立ち続けて生きもののすばらしさを発信してくれる、動物園にとってはありがたい存在でもあります。
ぜひ、動物園に来園された際は、動物とともにみなさんの“発見”のお手伝いをするサインたちにも目を向けてもらえればうれしいです。
〔上野動物園 教育普及係〕

