マダガスカルオオゴキブリの魅力

2026年8月29日

上野動物園の西園にある「アイアイの森」で展示しているマダガスカルオオゴキブリは、アフリカ大陸の東にあるマダガスカル島に生息する、世界最大級のゴキブリです。成虫になると体長は約7cmにもなり、一般的な大きさの日本のカブトムシよりも大きいです。

※展示時間帯は照明を暗くしてあります

マダガスカルオオゴキブリ
マダガスカルオオゴキブリ

マダガスカルオオゴキブリには羽がありません。ゴキブリというと羽で飛ぶイメージがあるかもしれませんが、羽のないゴキブリはじつは珍しくはないのです。

また、羽のようにすぐに見てわかるものではありませんが、ほかのゴキブリではあまり見られない大きな特徴もあります。それは、危険を感じたときや、オスどうしが争うとき、オスがメスにアピールするときなどに、「シューッ」という音を出すことです。

この特徴から、英語では「ヒッシング(シューッと音を出す)・コックローチ(ゴキブリ)」と呼ばれています。音が出るのは、体の側面に並ぶ「気門」という小さな呼吸口から、空気を勢いよく押し出すためです。気門は、人間の鼻や口にあたるような役割をもち、そこから空気を取り入れて呼吸します。運がよければ、展示場で「シューッ」という音を聞けるかもしれません。

オスとメスでは、胸部にある突起にも違いがあります。オスは胸部の背側に角のような突起が目立ちます。一方、メスでは突起が小さく、体の表面が比較的なめらかです。オスはこの突起を使って、えさや繁殖相手となるメスを獲得するために、ほかのオスと争います。展示場では、体の大きさだけでなく、胸部の形にも注目してみてください。

マダガスカルオオゴキブリは、自然界では落ち葉や朽ち木など、さまざまなものを食べています。動物園でも何でも食べてくれるため、キャベツの外葉やサル用のペレット(人工飼料)、昆虫ゼリーなどを与えています。このように何でも食べて分解してくれる生物は、自然界では「分解者」と呼ばれ、森の物質循環を支える大切な生きものです。

日本では敬遠されがちなゴキブリですが、自然環境ではどのような役割を担っているのか、体の特徴にどのような意味があるのかを知ると、その生きものの見え方が少し変わってくるかもしれません。

マダガスカルオオゴキブリをじっくり観察して、そのさまざまな魅力を感じてみてください。

〔上野動物園 西園飼育展示係〕

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