換毛でモコモコ卒業中のアメリカバイソン

2026年8月20日

上野動物園では2頭のアメリカバイソンを飼育しています。春から夏にかけては、2頭の体から季節の変化が感じられる時期です。

アメリカバイソンは、北アメリカのプレーリーという広大な草原にくらす動物です。この地域は気温の変化が大きく、夏は40℃、冬は-20℃にもなります。そのため、冬にはモコモコの分厚い冬毛を体中にまとって寒さをしのぎ、夏にはその冬毛を脱ぎ捨てて涼しくすごします。このように体毛が生え変わる時期を、「換毛期」といいます。

背中の毛が落ちてきている
背中の毛が落ちてきている

上野動物園の2頭のアメリカバイソンも、2月ごろから換毛が始まり、現在はピークを迎えています。最初は頭や足の毛がぽろぽろと落ちていましたが、最近では背中の毛が、皮膚がめくれるようにペロンと大きな塊で落ちるようになりました。

放飼場にある木の柵に体を擦り付けたり砂浴びをしたりして、古い毛を落としている姿もよく見られます。ときには走り回っている最中に、ぽとりと毛の束が落ちることもあります。放飼場には無数の毛の束が落ちていて、掃除が大変なほどです。体の一部分は毛が抜け落ちて、一部分は残っているという、独特のまだらになっている姿はこの時期ならではです。

木柵にこびりついた毛
木柵にこびりついた毛
換毛後の体表
換毛後の体表
素肌に細長い毛が薄く生えている
素肌に細長い毛が薄く生えている

冬の寒さを耐えるための冬毛は、長くて硬い毛と短くて柔らかい毛の二重構造で体の熱を逃がしにくいつくりになっていますが、部位によって質感がまったく違います。頭や首は硬めの縮れた毛、背中はふわふわとした毛です。そして、前足に生えている毛の質感がほかの部位と大きく違っていて、長くて硬い毛が束になって生えています。

この毛は寒さを防ぐだけでなく、草原の草から肌を守る役割もあるため、ほかの部位より毛が硬くなっているともいわれています。このような毛質の違いを観察できるのも換毛期ならではで、おもしろい発見のひとつです。

左:足に生えていた毛、右:背中に生えていた毛
左:足に生えていた毛、右:背中に生えていた毛

暑さが本格的になる前に換毛が完了するとよかったのですが、毛がまだらに残った少しコミカルな姿を見るかぎり、まだもう少し時間がかかりそうです。気温の高い日にはスポットクーラーを使って涼しくすごすなど、暑さ対策をしつつ、2頭はのんびりとすごしています。換毛期ならではのアメリカバイソンの姿を観察しに、ぜひ上野動物園を訪れてみてください。

(上野動物園 東園飼育展示係)