楽:見ていて楽しいヘンな顔

馬の面 -ウマヅラハギ-
ウシに踏まれてあわれな姿に…… -テールド ソール-
カレイの意味ないんじゃない? -プレイス-
海中の赤いパンダ -ベニゴンベ-

馬の面 -ウマヅラハギ-
   Thamnaconus modestus
フグ目 カワハギ科
ウマヅラハギ

 食用にもされるカワハギの仲間です。
 ハギの仲間は、突き出た口と、どこを見ているのやら、ちょっとうつろな目と、体の後ろ半分についた背びれと腹びれは比較的大きくなっているという特徴があります。その顔は、間が抜けていてひょうきんだと思うのですが、あまり長いこと見ていると、逆になんとなくそのうつろな目が怖くなってきてしまいます。そんなになるまでずっとハギを見つめているのもどうかと言われるかも知れませんが……。

 ウマヅラハギは、その名の通り、どことなく馬の顔に似ています。目から口にかけてのラインがすぅっと長くなっていて、馬の鼻筋に似ている気がしませんか?
 顔に限らず、体全体が少し細長くなっています。口よりも尻尾をちょっと上げ気味にした体勢で、底の方をゆっくりと泳いでいます。時々、砂を突いてはぶっと吐き出していますが、これは砂をあさってエサを探しているのです。

ウシに踏まれてあわれな姿に…… -テールド ソール-
tailed sole Aseraggodes klunzingeri
カレイ目 ササウシノシタ科
テールド ソール

 ナーサリーフィッシュと同じ、ちょっと薄暗い水槽の底にいます。自然界ではオーストラリア北部の川の下流域の砂底にいます。大きさは14cmくらいと、プレイスなど他のカレイやヒラメなどと比べると、ちょっと小さいように思います。
 ササウシノシタという名前、きちんとした由来はよくわかりませんが、「牛の(足の)下に踏まれたような形」から来ているのではないかと思います。自然の進化の過程でこうなったとはちょっと思えない不格好さ……でも、片方だけに見えるエラが、にんまり笑った口の形のように見えたりもして、可愛いと言えないこともないかも知れません。まぁその辺は、見る方1人ひとりの主観に拠るところが大きいでしょうが……。

 しかし、テールド ソールをはじめとするササウシノシタもカレイもヒラメも、あんな平べったい形をしているのは大人だけなのです。幼魚の頃は、ごく普通の魚と同じ、両側に目がついていて、基本的には左右対象の体をしています。魚は子供から大人になる時に、オタマジャクシがカエルになるのと同じような変化、すなわち変態をします。小さい頃は中層を漂うように泳ぎ、半透明の体をしているのですが、成長するにしたがって片方の目がもう片方の側にまわり、着底して暮らすようになるのです。

カレイの意味ないんじゃない? -プレイス-
plaice Pleuronectes platessa
カレイ目 カレイ科
プレイス

 テールドソールと同じくカレイの仲間ですが、こちらはかなり体が大きく、最大で1mほどにもなります。目がついている側(有眼側)の体色は茶色く、オレンジと灰色の斑点があります。目のついていない側(無眼側)は白くなっています。ヨーロッパでは、カレイの仲間の中で最も重要な食用魚とされているそうです。
 ひん曲がった顔はなんともこっけいです。口をぱくぱくさせたり、あくびらしきものをしているのを見かけることがありますが、そういう時には口だけ複雑な形で立体的になります。

プレイス2

 カレイというと、砂底でおとなしくしていてあまり動かないイメージがあるのですが、葛西のプレイスはしょっちゅう中層や表層にいます。薄い体をたなびかせるようにして、こちらにその裏側(無眼側)を見せてもくれます。砂地に紛れて敵や標的の眼をくらますのがカレイの体の特徴だと思うのですが、あんなに動き回るのでは、動きにくいカレイの体形である必要はないんじゃないかという気がします……。
 しかし、葛西の子たちのふるまいの原因はともかくとして、例えばカレイの養殖場などでも、同じような現象が見られるそうです。というのは、狭いところにたくさんのカレイが入れられると、強いオスが水底に着いてなわばりとし、他のオスが底に着けなくなってしまうらしいのです。また他に考えられることは、プレイスという種は妙に活発に動き回るのかも知れないということでしょうか。
 まぁいずれにしても、動き回っていろいろな側面を見せてくれる方が、見ている側としては面白くてありがたいですね。

海中の赤いパンダ -ベニゴンベ-
   Neocirrhites armatus
スズキ目 ゴンベ科
ベニゴンベ

「大平洋2」の大きな水槽の左側、サンゴの枝の中に、両手をつくように胸びれを広げてちょこんと座っている、小さな赤い魚とふと目が合いました。こちらの方はもちろん、奥の方へも「泳いで」いくということはあまりなく、ジャングルジムのようなサンゴの中をうろうろしています。最近(2001年12月)この水槽に4匹入れたばかりの種だそうです。
 全体は赤いのですが、目のまわりと背びれの一部が黒っぽくなっています。ちょうど正面を向いてサンゴの中に控えているのを初めて観た時、思わず笑ってしまいました。だってその目はまるでパンダでしたから。両目にパンチを食らってしまったかのような、しょうもない顔です。

 少し注意して水槽の中を見てみると、比較的すぐに見つけられると思います。写真では、そのパンダのような顔はさっぱりわかりませんが、真ん中のあたりに赤いものがいるのがわかるでしょうか。このサンゴのところにいます。
 2匹がいつも一緒にいるらしいのは、つがいでしょうか。


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