驚:うわっ!……びっくりしたぁ〜

目が飛び出るほど驚いた -アカシュモクザメ-
驚くほどのバランス感覚 -マンボウ-
こっちがビックリ -ランプサッカー-
こっちがビックリ2 -ブルズアイ ジョーフィッシュ-
パニック状態? -マイワシ-

目が飛び出るほど驚いた -アカシュモクザメ-
scalloped hammerhead Sphyrna Lweini
メジロザメ目 メジロザメ科
アカシュモクザメ

「目が飛び出るほど驚く」という表現がありますが、それに従うと、アカシュモクザメは相当何かに驚いたようです……。両方の目が左右にはり出して、頭の形は、頭上から見るとT字型になっています。その形が、仏教においてつり鐘をたたくカナヅチのような道具「撞木(しゅもく)」に似ていることから、この名がつきました。英語の「ハンマーヘッド」も「カナヅチのような頭」という意味であり、その頭がいかに特徴的かつ人間にとって印象的なものであったかがうかがえます。
 口は腹面についています。大きくひん曲がったへの字口ですが、目が離れているため、愛嬌のある顔です。オバQの弟のOちゃんの顔に似ている気がします。

下から見たアカシュモクザメ

 魚は典型的には、水の抵抗をなくして効率よく泳ぐために、流線形の体をしています。その点、シュモクザメは泳ぎにくそうな気がします。しかし、流線形でさえあればいいというわけではなく、バランスをとれることも、うまく泳ぐためには大事な要素です。左右にはり出した目は、船でいう舵(かじ)の役割をすると考える研究者たちがいます。また別の説明としては、頭が広がったことで感覚器官の数が増え、エサを探すのに有利なのだというものもあります。これらのうちどれが本当なのか、あるいはどの役割が最も重要なのかに関しては、まだはっきりとはわかっていません。

 サメというと、多くの人は映画『ジョーズ』に出てきたような、貪欲で残虐な乱暴者、人も食べてしまうような恐ろしい生き物をイメージするようですが、それはとんだ勘違いです。サメの仲間のほとんどはわりとおとなしく、わざわざ人を襲うような真似はしません。サメに襲われたという例は、溺れたりして水面をばちゃばちゃと騒がしたり、キラキラ光るものを身につけていたり、血の臭いが近くにあったりなどして、エサと間違えられてしまった結果が多いのです。

驚くほどのバランス感覚 -マンボウ-
Ocean sunfish Mola mola
フグ目 マンボウ科
マンボウ

 これも人気の高い魚ですね。こっけいな外見はマンガにもしやすく、マンボウの絵柄のものをたくさん見かけます。大きくて平べったい体に、魚らしい尾びれはありません。辛うじて尾びれに見えるものは、舵びれと呼ばれるものです。背びれと腹びれ、らしきものは、上下にすっと長くのび、平べったい体を地球に対して垂直になるようにバランスよく保つのに役立っています。非常にゆっくり動きます。ただ水流に流されているだけなんじゃないかと思うほどですが、それでも倒れてしまった姿などは見ません。そのバランス感覚には驚かされます。

 自分のバランス感覚に驚いているわけではないでしょうが、その表情は、何かに驚いているように見えます。のっぺりした体の側面に、ちょん、ちょん、と目とエラ穴と胸びれがついていているのですが、体の大きさ(広さ?)に比して小さな目はまん丸く開いています。口は体の先端にやはりちょぼっとついているのですが、横から見るとあんぐりと開けているように見えます。横から見ても相当愛嬌のある顔ですが、真正面から見ると、もっと間抜けな顔に見えるのでしょう……。

 マンボウはまた、非常にデリケートな魚としても知られています。葛西には現在(2001年12月)2匹のマンボウがいますが、寄生虫がいたり、飼育はまだうまくいっていないそうです。他の水族館でも、水槽にぶつかって死んでしまうので透明のまくを水槽の内側に張っているところなどがありますね。
 一度に産む卵の数は2〜3億個と魚の中で最多ですが、それは最終的に生き残る数が少ないためです。弱い魚ほど多くの卵を産む、という話を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こっちがビックリ -ランプサッカー-
lumpsucker Cyclopterus lumps
カサゴ目 ダンゴウオ科

 ごつごつした岩のような体、丸い顔はどことなくフグの仲間のような印象を受けますが、カサゴの仲間です。体の大きさは、最大で60cmほどになります。普段は水深数十〜数百mのところに住んでいますが、春から夏の産卵期には、浅いところにきて産卵をします。メスが卵を産んで、オスが卵を守ります。卵はキャビアの代用品として利用されているそうです。卵を守るオスの苦労もひとしおといったところでしょうか。
 薄い灰色をした何匹ものランプサッカーの中に、黄色いのが1匹混じっています。これはオスです。1匹だけ目立っていますが、産卵期には、もっと目立つ、真っ赤な色になるようです。

ランプサッカー

 もともと水中は無重力状態ですし、魚はその中を自由に泳ぎ回ることができますが、水槽の壁にくっついているのを見ると、やっぱり驚きます。重力の方向が90°違ったかのように、壁に鎮座しているのです。これは、腹びれが変化してできた吸盤があるせいで、名前の由来はこの「lump(こぶ)」と「sucker(吸盤)」という特徴にあります。

 余談になりますが、その顔を正面から見ると、両方の目を合わせることができ、あまり魚らしくありません。と思っていたら、ランプサッカーを撮った写真がピンボケして、とんでもないことになっていました。
 まるで人面魚だよ!! ……あーびっくりした……。

こっちがビックリ2 -ブルズアイ ジョーフィッシュ-
bullseye jawfish Optistognathus scops
スズキ目 アゴアマダイ科
ブルズアイ ジョーフィッシュ

 うわっ大変、親が卵を食べてる!! ……と思いきや、そうではありません。アゴアマダイの仲間は、オスが口の中で卵が孵化するまで守るのです。他にも、2枚目の写真のオオスジイシモチ、ネンブツダイなど、テンジクダイの仲間のオスが、この口内保育をします。
 アゴアマダイ科はあまり数が多くなく、その生態も知られていないことが多いそうです。それでも明らかな特徴として、海底に垂直の穴を掘って住んでいます。ふだんはそこから顔だけ出しているのですが、時々砂やサンゴのかけらなどを巣穴から運び出したり、エサを食べる時には全身を出すこともあります。


オオスジイシモチ

顔は、目が大きく、くりくりしています。口も大きく、ぱかっと開いている様子は可愛げがあります。アカシュモクザメをOちゃんと言うなら、ブルズアイ ジョーフィッシュはそれこそオバQという感じです。

 葛西には、水槽に2匹のオスと1匹のメスがいますが、奥の方にいるオスは、口の中に卵をかかえています(2001年12月現在)。よおぉ……く見てみてください。孵る瞬間を見られたら、どんなに面白いことでしょうねぇ。
 ブルズアイ ジョーフィッシュの「ブルズアイ」は、標的の中心にある黒い的という意味です。背びれの前方にある模様がそのブルズアイに似ていることから、この名がつきました。

パニック状態? -マイワシ-
pilchard sardine Sardinops melanostictus
ニシン目 ニシン科
マイワシ

 食用として非常に馴染み深い魚です。食用のみならず、魚を含む動物のエサや肥料にもされます。漢字で書くと「鰯」。その字の通り、弱い魚ですが、群れを作れば外敵から身を守ることもできます。

 自然の海でもそうですが、水槽の中でも、群れになって表層を回遊しています。口を大きく開けて、エラも大きく広げ、体を細かく左右に振りながら、なんだかものすごい形相で、しかもすごい勢いでぐるぐるとまわっています。さながら阿鼻叫喚図です。
 実は、大きく口を開けてがんがん泳いで口から水を通し、エラで動物プランクトンをこしとって食べているのです。
 シラスもよく食べる魚ですが、これはマイワシの稚魚です。


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