怒:可愛い姿も台なしのキツい顔

可愛いと思いきや、ガラの悪い顔 -キンギョハナダイ-
闘志あふれる魚? -クマノミ-
見かけによらずおとなしい -ウツボ-
全然釣れなくて不満顔? -ミドリフサアンコウ-

可愛いと思いきや、ガラの悪い顔 -キンギョハナダイ-
lyretail anthias Pseudanthias swuamipinnis
スズキ目 ハタ科
ハナダイ

 赤系統の綺麗な色をした魚です。オスとメスでちょっと色や形が違います。オスの方が少し体が大きく、背びれの1番前に当たるところの"芯"(軟条)が長く伸びています。ただし、オスはオス、メスはメスで全く同じ色というわけではなく、個体間でも微妙な違いはあるようです。光の加減によっても見え方は違います。
 右上の図で、右の方を泳いでいる魚の胸びれの色が、他のものと違ってピンク色なのがわかるでしょうか。背びれの前の方が、一本長く伸びているのも見えると思います。これがオスです。オス1匹に、数匹のメスや若魚が集まって、1つのグループになっています。

ハナダイ2

 左下の図では、下側に写っている方がオスです。
 キンギョハナダイ(単に「ハナダイ」とも)は、性転換をすることが知られています。変わり方にいくつか種類がありますが(詳しく知りたい方はトピックを参照してみてください)この子たちは、メスからオスへ変わります。

 キンギョハナダイが入り乱れてたくさん舞っている様は、とても鮮やかで本当に綺麗です。でも、よくよく近づいて顔を見てみると、口は思いっきりヘの字、目はしずくを横にしたような形をしており、なんというか、目つきが悪い……。ガラ悪そうに「おうおう、なんか文句あんのかよぉ」と言ってそうな気がして仕方ありません。端から見てれば可愛いのに……勿体ない。

闘志あふれる魚? -クマノミ-
Clark's anemonefish Amphiprion clarkii
スズキ目 スズメダイ科
クマノミ

 クマノミは、最も知られている魚の1つだと言ってよいと思います。鑑賞用としても有名ですし、イソギンチャクとの共生の話を聞いたことのある方は多いでしょう。
 キンギョハナダイ同様、クマノミも性転換をします。普通1つのイソギンチャクに、1組の夫婦と幼魚がいて、体が大きくて尻尾の白い(半透明)のがメスです。写真はメスです。オスの尻尾は黄色です。メスが死ぬと、オスがメスに変わり、幼魚のうちの1匹がオスとなって新たに夫婦となります。

 幼魚はイソギンチャクの中心の方に隠れていることが多く、夫婦が外側にいて子供を守るようにイソギンチャクのまわりを巡回しています。体の大きさは15cm程度と可愛いものですが、よく見るとかなり勇ましい顔をしています。口をきりっと引き結んで、ちょっとつり上がり気味の目は、人さえキッとにらみつけますよ。

 ダイバーが可愛がって手を出したりすると、その手をつっついてくることがあります。エサをほしがってなついているのかと思いきや、乱入者を攻撃しているのだそうです。
 別に降参したつもりではないのですが手を引っ込めると、「まいったか」と言わんばかりにもうひとにらみして、ふいっと背を向けてイソギンチャクの方へ戻っていきます。
 ベタやグッピーにも負けない、「闘う魚」だ……と、私は思うのです。

見かけによらずおとなしい -ウツボ-
moray Gymnothorax kidako
ウナギ目 ウツボ科
ウツボ

 大きく裂けた口、その中には鋭い歯がのぞき、いかにも壊そうな顔です。どう猛だと思われがちですが、岩の裂け目や穴に潜んでおとなしくしています。
 食用にする地方もあります。結構美味しいそうです。個人的には、今食べてみたいものナンバー3に入ります。

「大平洋1」の大きな水槽の中には、ドクウツボニセゴイシウツボという2種類のウツボがいます。どちらも、水槽の両側にある岩の陰にひっそりとたたずんでいます。写真のものは普通のウツボです。ここに挙げた3種はどれも岩のような黒っぽい色をして、いかにも悪者っぽい感じとも言えますが、ウツボの仲間には他にも、鮮やかな青い色をしているハナヒゲウツボや、オレンジ色の玉砂利のような派手な模様のトラウツボという種類もいます。

全然釣れなくて不満顔? -ミドリフサアンコウ-
sea toad Chaunx abei
アンコウ目 アンコウ科
ミドリフサアンコウ

 水深90m〜130mという深海に住んでいる生き物です。全長30cmに達すると言われていますが、水族園にいるものは15cmくらいと小さいものです。小さいですが、海底に堂々と構え、ふんばる姿はその小ささを感じさせません。口をよく見ると、力一杯への字になっています。ひどく不満げな顔です。
 アンコウの仲間であるミドリフサアンコウは、グースフィッシュなどと同じように、おでこに釣り竿のようなものを持っていて、その先には疑似餌をつけています。その使い方は、ただやみくもに釣り竿を振るだけでなく、なかなか凝っているようです。


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