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世界初! メンダコがふ化する瞬間の撮影に成功!!
 └─葛西 2020/08/20

 葛西臨海水族園では、2020年8月4日(火)、深海性のタコの一種メンダコが水槽内で卵からふ化する瞬間の撮影に世界で初めて成功しました。

 水槽内でのメンダコのふ化は、当園としては4例目、世界でも5例目となる数少ない事例ですが、これまでふ化の瞬間を収めた映像はありませんでした。この世界初の貴重な記録映像を公開します。


【動画】メンダコのふ化の瞬間
(撮影日:2020年8月4日)

撮影日時
 2020年8月4日(火) 午前4時ごろ

ふ化個体の大きさ
 全幅約10mm

飼育場所
 園内「深海の生物 トピック水槽」内水槽
 ※リアルタイム映像による展示を2020年8月13日(木)まで実施していましたが、ふ化の瞬間は早朝のため未公開です。

経緯
2020年2月12日(水)静岡県沼津市沖の水深約200m付近で深海底曳き網漁により親個体を採集。
親個体は当園の繁殖センター水槽(非公開)で飼育開始。水温約12℃。
2020年2月24日(月)繁殖センター内の水槽から本館展示水槽「深海の生物 トピック水槽」へ親個体を移動。
高感度モニターカメラによるメンダコのリアルタイム映像展示を開始。
2020年2月25日(火)朝、親個体の死亡を確認。解剖時に体内から卵を摘出し、繁殖センター内の水槽に収容。
2020年8月3日(月)卵の摘出から161日後、卵の発生が進み、卵を保護していた殻が破れていたのを確認。
卵を殻から外してサンゴ礫にサンゴ用接着剤で接着し、「深海の生物 トピック水槽」へ移動。高感度モニターカメラでの撮影を開始。
2020年8月4日(火)午前4時10分ごろにふ化を確認。卵の摘出から162日後。
2020年8月13日(木)死亡を確認。ふ化から10日後。

ふ化後の飼育条件と個体について
 メンダコは飼育・育成がとても困難な生物です。また、繁殖生態に関する研究も少なく、ふ化までの条件なども不明です。ただ、メンダコは明るい環境での飼育に適さないことがわかっていたため、ふ化後は周囲を暗幕で囲った暗い水槽で飼育するとともに、撮影には暗い環境に適した高感度モニターカメラを用いました。

 今回ふ化した個体はこれまで確認した個体同様、成体に比べて胴部とひれが大きく、透明であるという特徴が見られました。個体の死亡原因を調査するとともに、今後もメンダコの育成に挑戦し、未知の生態についての研究を続けていきます。

これまでの当園でのふ化個体の飼育・育成について
2016年10月5日(水)当園にて初めて水槽内でメンダコのふ化に成功(世界的に見ても初の事例)。
水温設定13℃の環境において卵摘出から143日後にふ化。飼育・育成期間は5日間。
2019年11月5日(火)当園にて2例目のふ化に成功。水温設定12℃の環境において卵摘出から173日後にふ化。その後27日間の飼育・育成に成功。
2020年7月25日(土)当園にて3例目のふ化に成功。飼育・育成期間は15日間。

ほか、世界でふ化に成功した事例は令和元年の沼津港水族館のみ(飼育・育成期間は7日間)。

【参 考】
 メンダコは頭足綱八腕目メンダコ科に属する動物です。学名は Opisthoteuthis depressa。成長すると全幅は20センチ程度になります。相模湾から東シナ海の水深200~600メートルの深海でくらしています。
 体は寒天質で扁平な形をしており、短い腕が特徴です。飼育がたいへん難しく、その生態は研究が進んでいません。とくに繁殖に係わる生態についてはほとんど知られていません。


参考:メンダコの成体
(撮影日:2017年3月30日)

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(2020年08月20日)


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