こちらのニュースでお伝えしたとおり、葛西臨海水族園では深海性のタコの一種、メンダコが孵化しましたが、孵化した個体が飼育最長記録を達成しました! 今までの記録は沼津港深海水族館(静岡県沼津市)の7日間でしたが、今回この日数を超えました。
なお、メンダコは生態が不明な部分が多く、孵化した個体の飼育はとても困難です。今後、メンダコの生態の一端を解明できるよう、慎重に育成しながら観察を続けます。
孵化したメンダコは非公開のバックヤードで育成してきましたが、12月15日残念ながら死亡しました。生存は27日間でした。
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孵化したメンダコ。2019年11月25日撮影 | 左と同カットのクローズアップ |
孵化日 2019年11月17日(日)の夕方から翌18日(月)の朝にかけて
大きさ 全幅約10ミリ
飼育場所 葛西臨海水族園「繁殖センター」内水槽(非公開)
経緯 2019年5月7日(火)
静岡県沼津市沖の水深約240~250mにおいて深海底曳き網漁により親個体を採集。
親個体は当園の繁殖センター内の水槽で飼育開始(水温約12℃)。
2019年5月26日(日)
繁殖センター内の水槽から本館展示水槽「深海の生物 トピック水槽」へ親個体を移動。
先に展示していたメンダコ1個体とともに、高感度モニターカメラによる2個体の映像展示を開始。
2019年5月30日(木)
朝、死亡を確認。解剖時に体内から卵を摘出し、繁殖センター内の水槽に収容。
2019年11月5日(火)
卵の摘出から161日後、卵の発生が進み、発眼していることを確認。
2019年11月18日(月)
朝10時頃巡回の際に孵化を確認。卵の摘出から173日後。
2019年11月25日(月)
孵化から8日目。飼育を継続中。
孵化した個体の状況
解凍した冷凍動物プランクトンを与えたところ、摂食していると思われる行動が見られ、その後、排泄物も確認されました。

メンダコ成体
【参考】
メンダコは頭足綱八腕目メンダコ科に属する動物です。学名は
Opisthoteuthis depressa。成長すると全幅は20センチ程度になります。相模湾から東シナ海の水深200~600メートルの深海でくらしています。
体は寒天質で扁平な形をしており、短い腕が特徴です。飼育がたいへん難しく、その生態は研究が進んでいません。とくに繁殖に係わる生態についてはほとんど知られていません。
(2019年11月26日)
(2019年12月16日:死亡について追記)