2019年11月18日(月)、深海性のタコの一種メンダコが孵化しました!
水槽内でメンダコの卵が孵化したのは、葛西臨海水族園では2016年10月5日(世界初)以来の2例目で、他には沼津港深海水族館(静岡県沼津市)でしか事例がなく、
今回の孵化は世界でも3例目という貴重なものです(世界初の孵化のお知らせは
こちら)。
なお、孵化したのは今年5月30日に死亡したメンダコから得られた卵です。メンダコの飼育は非常に難しく、前回葛西臨海水族園でメンダコが孵化したとき、残念ながら5日目に死亡しました。沼津でも孵化確認後7日目に死亡しています。
今後、成長を観察して不明な部分が多いメンダコの生態の一端を解明できるよう、慎重に育成に努めていきます。
孵化したメンダコは非公開のバックヤードで育成してきましたが、12月15日残念ながら死亡しました。生存は27日間でした。
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孵化したメンダコ(2019年11月18日) | 【参考】メンダコの成体 |
孵化日 2019年11月17日(日)夕方から翌18日(月)の朝にかけて
大きさ 全幅約10ミリ
飼育場所 葛西臨海水族園「繁殖センター」内水槽(非公開)
経緯
2019年5月7日(火)
静岡県沼津市沖の水深約240~250mにおいて深海底曳き網漁により親個体を採集
親個体は当園の繁殖センター内の水槽で飼育開始(水温約12℃)
2019年5月26日(日)
繁殖センター内の水槽から本館展示水槽「深海の生物 トピック水槽」へ親個体を移動
先に展示していたメンダコ1個体とともに、高感度モニターカメラによる2個体の映像展示を開始
2019年5月30日(木)
朝、死亡を確認。解剖時に体内から卵を摘出し、繁殖センター内の水槽に収容
2019年11月5日(火)
卵の摘出から161日後、卵の発生が進み、発眼していることを確認。
2019年11月18日(月)
朝10時頃巡回の際に孵化を確認。卵の摘出から173日後。
孵化した個体の状況
メンダコの繁殖生態に関する研究は少なく、孵化までの条件なども不明です。葛西臨海水族園で2016年10月に見られたメンダコの稚仔は、水温設定13℃の環境で卵の摘出から143日後に孵化しました。
今回孵化した個体は前回確認されたもの同様、成体に比べて胴部とひれが大きく、透明であるという特徴が見られました。現在、成体のメンダコと同じ0.01ルックス以下の暗い環境で飼育しており、高感度の特殊なカメラで撮影して観察しています。
(2019年11月22日)
(2019年12月16日:死亡について追記)