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野生生物保全センター

 国内外の多くの野生動物が絶滅の危機にあり、近年その勢いが加速しています。都立動物園・水族園では、野生生物保全活動のより一層の推進を目的として2006年度、多摩動物公園に「野生生物保全センター」を設置しました。2023年4月には、保全活動へのさらなる貢献を目指し、センターの人員を拡充して係組織から課組織へと改編し、多摩動物公園から総務部に所属を移管して、研究係と保全係からなる新たな体制をスタートさせました(お知らせ)。

 野生生物保全センターは、これまで培ってきた知識・経験を活かし、保全活動や調査・研究に取り組み、生物多様性の重要性をメッセージとして広く発信し、各園の活動の調整をおこなうセンター機能を果たしています。

 当センターは上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園と緊密に連携し、国内外の絶滅のおそれのある野生動物種のなかから、ズーストック種を含む「保全対象種」31種を指定し、多様な分野の研究機関などと連携して、東京動物園協会全体で「生息域外保全の推進」、「生息域内保全への貢献」、「バイオテクノロジーの応用」を3つの柱に据えて活動しています。

 また、生息域外保全や生息域内保全活動を推進するにあたり、野生動物を追い詰めている要因や自然環境保全の大切さなどについての普及啓発も、併せて進めていきます。

1.生息域外保全の推進

 絶滅のおそれにある野生動植物種を、動物園などその自然の生息地外において、人間の管理下で繁殖させて保持することで絶滅を回避することを、生息域外保全と言います。
 絶滅のおそれのある野生動物種が増え続けるなか、生息地の状況のさらなる悪化に備え、遺伝的多様性に配慮した個体群を飼育管理下で保険として保持することや、一時的に緊急避難できる体制を整えるとともに、保全に必要な知見を集積することに取り組んでいます。

2.生息域内保全への貢献

 絶滅のおそれのある野生動植物種を、その本来の生息地内において、生息に適した環境等を積極的に維持することで絶滅を回避することを、生息域内保全と言います。
 絶滅のおそれのある野生動物種について、飼育下で得られた知見や調査研究結果を情報発信したり、その生息地において地元への普及啓発に努めたりすることなどを通して、関係団体などと連携して生息域内保全活動を支援しています。また、都内に生息する絶滅のおそれのある種について、現地に赴いて生息環境づくりに取り組む主体的な活動も実施しています。

3.バイオテクノロジーの応用

 動物園内にある実験室では、バイオテクノロジーの技術を活用し、飼育動物の繁殖や野生生物の保全に役立てることを目的として、DNA解析、ホルモン測定、配偶子の保存・活用の3分野に取り組んでいます。

■ DNAの解析

 羽・血液・卵殻などの、動物にストレスやダメージをなるべく与えることなく採取できる素材から抽出したDNAを用いて、外見からは性別を判断しにくい鳥類の雄雌や群れで飼育している動物の遺伝的な親子関係を調べています。明らかになった情報は、保全対象種をはじめとする飼育動物の繁殖計画に役立てられます。
 また、野外に生息する動物についての調査もおこなっています。小笠原諸島のアカガシラカラスバト野生個体群について、遺伝的多様性の解析に協力しています。また、東京都内の個体群の保全活動に取り組むミナミメダカや両生類については、他地域の個体の移入が見られないか、DNAを用いて調べています。

■ ホルモン測定

 動物にストレスを与えることなく比較的容易にサンプルを採取することができる糞や尿から、ホルモンを抽出して測定をおこなっています。
 ホルモン値の変動のようすから、メスの性周期や妊娠診断、オスの造精機能などを調べてペアリングなどの繁殖計画に役立てています。特に繁殖の難しい動物や性周期の把握が難しい動物での繁殖推進に期待がかけられています。

■ 配偶子の保存・活用

 人工授精などへの利用を目的として、動物の精子を-196℃の液体窒素タンクに保存しています。希少動物のオスが死亡した際には、状態がよければ精巣から精子を回収し、人工的に採取した精液も含めて20種類ほどの凍結精液を保管しています。
 ライオンで凍結精子を使った人工授精が成功しており、配偶子の保存技術は家畜や愛玩動物では有効利用されていますが、野生動物へ応用するにはまだまだ困難も多いため、各研究機関との共同研究などによって技術の改善を図っていきます。