東京湾のトビハゼのいま
トビハゼは一生のうちの大部分を陸上の泥干潟で活動する魚で、東京湾は日本の北限のトビハゼ生息地です。かつて東京湾の湾奥部には広大な干潟がひろがり、多くのトビハゼが生息していたようです。
しかし、高度経済成長期の大規模な開発にともなう埋立てや水質汚濁などにより生息数が減少したため、現在トビハゼは絶滅危惧種となっています。
葛西臨海水族園(以下「水族園」)では開園当初から、この危機的な状況にあるトビハゼを守るべく、水槽内での繁殖に取り組んでいます。
また、水族園では、1994年から地先海域における生物の生息状況を把握するために、地曳網調査をはじめとした各種の生物調査をおこなっています。その一環として、2003年からは水族園の目の前の人工干潟「東なぎさ」において、トビハゼの生息状況調査を開始しました。
当初、調査は水族園のみでおこなっていましたが、2011年からは東京湾の湾奥部に位置する博物館や野鳥の観察施設などと連携して「トビハゼ保全 施設連絡会」を発足し、東京湾全域で「トビハゼ一斉調査」を実施しています。連絡会発足時から、水族園では「東なぎさ」だけでなく、荒川河口での調査も開始しました。
今回、この連絡会発足5周年の節目として、活動の結果を小冊子「東京湾のトビハゼのいま」としてまとめました。みなさまには東京湾のトビハゼとその現状について少しでも理解していただければ幸いです。
これからも、東京湾のトビハゼを守ることに繋げられるよう、連絡会と協力しながら調査活動を続けていきます。
水族園のドームとトビハゼ
調査のようす
泥干潟にくらすトビハゼ