続々・新たな視点で見てみると[31]葉を寄せるしぐさがユーモラス:アカハライモリの産卵
└─2019/05/31
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井の頭自然文化園水生物館では、かつて身近な水辺で普通に見られたアカハライモリを飼育し、展示しています。その展示水槽や裏の繁殖用水槽で観察された、イモリたちの興味深い姿をお伝えするアカハライモリ特集第7回です(過去の記事は末尾をご覧ください)。
前々回のこのシリーズでは、オスが求愛行動をおこない、精子の詰まった塊「精包」をメスに渡すようすについてお話ししました(
新たな視点[29]初めピラピラそしてクネクネ:アカハライモリの求愛行動
)。
このときは残念ながら精包の引き渡しに失敗してしまいましたが、無事に精包を取り込んだメスは準備を整え、いざ産卵に臨みます。
イモリの産卵は水中でおこなわれ、水草や、水中に垂れている陸上植物などに一粒ずつ卵を産みつけます。
水草に卵を産みつけようとしているメス。重ね合わせた後肢に注目。
(撮影する手が写り込んでいますが怖い写真ではありません……)
産卵に先立ち、メスはこれから卵を産みつけようとする場所に鼻先を突っ込んで何かを確認するような行動をすることが多いようです。卵は直径2~3ミリでゼリー状の透明な物質に包まれています。産み出された直後は表面に粘着力があるので、メスは後肢で水草の葉などを寄せ集めるようにして、その中に卵を産みます。
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【動画】産卵場所を確かめるような行動の後、後肢で水草の葉を寄せ集めるしぐさが少しユーモラス
卵を産んだ後、そのまま寄せ集めた葉を押さえていると、卵のまわりに水草の葉が接着され、外から見えにくくなります。
水草の葉に包まれた卵は見つかりにくくなるが、光に透かすと見えてしまう
次回は卵が育っていくようすをご紹介します。
・アカハライモリ特集
第1回:
続々・新たな視点で見てみると[25]ひょっこり顔出し憎めぬしぐさ:アカハライモリの愛嬌
第2回:
続々・新たな視点で見てみると[26]食べる、飲み込む、噛みつく:アカハライモリの食事
第3回:
続々・新たな視点で見てみると[27]そんなもの美味しいの?:アカハライモリの隠れた好物
第4回:
続々・新たな視点で見てみると[28]オシャレに色づくオスの尾っぽ:アカハライモリの婚姻色
第5回:
続々・新たな視点で見てみると[29]初めピラピラそしてクネクネ:アカハライモリの求愛行動
第6回:
続々・新たな視点で見てみると[30]メスもピラピラそしてクネクネ:アカハライモリの求愛行動?
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕
(2019年05月31日)