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続々・新たな視点で見てみると[27]そんなもの美味しいの?:アカハライモリの隠れた好物
 └─2019/04/30

 井の頭自然文化園水生物館では、かつて身近な水辺で普通に見られたアカハライモリを飼育し、展示しています。その展示水槽や裏の繁殖用水槽で観察された、イモリたちの興味深い姿をお伝えするアカハライモリ特集第3回です(第1回第2回はこちら)。

 ある日、展示水槽を覗くとイモリの産卵用に植えてある水草に何か白っぽいフワフワした物が引っかかっていました。


水草に引っかかっている白っぽい「何か」

 最初は何かゴミが引っかかっているのかな?と思っていたのですが、見ているうちに「あれ」かもしれない!と思いつき、現場を写真で記録してから急いでその物体を回収しました。それはフニャフニャしていて、水から上げるとクシュクシュに縮こまってしまい、ますます何だかわからない物になってしまいましたが、これを水を張った容器に入れ、ていねいに広げていくと思っていたよりも立派な「あれ」になりました。


後肢が1本欠けてしまっているが、脱皮後も全身がよく残っている皮

 アカハライモリの脱皮した皮をこれほどしっかりした状態で見たのは初めてで、前後の指の数まで数えられます。じつはイモリはわりと頻繁に脱皮しているようなのですが、水槽内で脱皮後の皮が見つかることはめったにありません。それは、脱皮後のイモリが皮をすぐに食べてしまうからです。しかも、自分で食べるとはかぎらず、脱皮中にまわりの個体が皮を食べてしまうこともあるようです。


【動画】脱皮した皮を食べるイモリ。自分が脱いだ皮かどうかは不明

 水生物館で展示している巨大な両生類、オオサンショウウオも脱皮し、皮を食べます。オオサンショウウオは現在1匹しか飼育していないので、間違いなく自分の脱いだ皮を食べています。


【動画】脱皮した皮を食べるオオサンショウウオ

 次回は繁殖シーズンにかっこよくなるオスの体色についてお伝えする予定です。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕

(2019年04月30日)


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