井の頭自然文化園水生物館では、かつては身近な水辺で普通に見られたアカハライモリを飼育し、展示しています。その展示水槽や裏の繁殖用水槽で観察された、イモリたちの興味深い姿をお伝えするアカハライモリ特集第4回です(過去の記事は末尾をご覧ください)。
例年、1月も中旬を過ぎると、水生物館で飼育されているイモリたちの活動が繁殖行動のために活発になってきます。野生ではもっと本格的な春になってから繁殖行動が始まるようですが、水生物館では飼育に地下水を利用しているため一年中あまり水温が変わらないためかもしれません。
繁殖期になると、赤い模様が入るおなか以外は、黒くて地味だったイモリの体色に変化が現れます。
オスの尾が青っぽく少し輝いて見える
繁殖期に現れる体色は婚姻色(こんいんしょく)と呼ばれ、アカハライモリではオスの尾の部分の変化が目立ちます。婚姻色の現れ方には地方によって違いがあり、また、同じ生息地のイモリでも個体ごとに微妙に違います。水生物館のイモリは東京産ですが、オスの尾が青白く、少し金属光沢を帯びたように見えます。
【動画】尾の青い色は光の加減でも違って見える
水生物館では建物の屋根に天窓があるので、晴れた日に天窓からの光がイモリの水槽に差し込むと、尾の青色が一層輝いて見えます。
次回はオスの青い尾が繁殖のために大活躍するお話をお届けする予定です。
・アカハライモリ特集
第1回:
続々・新たな視点で見てみると[25]ひょっこり顔出し憎めぬしぐさ:アカハライモリの愛嬌
第2回:
続々・新たな視点で見てみると[26]食べる、飲み込む、噛みつく:アカハライモリの食事
第3回:
続々・新たな視点で見てみると[27]そんなもの美味しいの?:アカハライモリの隠れた好物
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕
(2019年05月04月)