催し物
特設展「両生爬虫類鑑 あし」紹介──8
「あしが退化した両生類」
 └─上野  2010/05/21

 現在、上野動物園の両生爬虫類館では、2010年3月16日から12月26日まで、特設展「両生爬虫類鑑 あし」を開催中。展示を紹介する連載第8回は「あしが退化した両生類」。

 「あし」がない陸上脊椎動物としてもっとも有名なのはヘビ類でしょう。でも、両生類にもヘビと同じように「あし」を退化させた動物がいます。今回の特設展では、「あし」の退化した2種の両生類を展示しています。

 アシナシイモリは世界中の熱帯域にすんでいる「あし」のない両生類です。「イモリ」と名前についていますが、イモリやサンショウウオのなかまではなく、無足目(アシナシイモリ目)という独立したグループに分類されています。

 水中で生活する種と土や泥の中で生活する種が知られていて、展示中のトラアシナシイモリ属の一種は地中性です。「あし」がないだけでなく、眼も退化し、皮膚に埋まっているので、外見はミミズにそっくりですが、アシナシイモリは肉食なので、ミミズも好んで食べてしまいます。こんな動物が、私たちと同じように背骨をもつ動物だと思うと不思議な感じがしませんか?

 ミツユビアンフューマは、最大で全長1メートルほどになる大型の両生類です。ウナギのように細長いからだには、見落としてしまいそうなほど小さい3本指の「あし」がついています。ほとんど陸上に上がることがないので、体重をささえる立派な「あし」は必要なくなったのかもしれません。あまり役に立っていなさそうな「あし」をバタバタさせながら水底をゆったりと歩く(?)ようすはなかなか可愛らしく見えます。

 カエルがジャンプのために後肢を発達させたのとは反対に、アシナシイモリやアンフューマは不要になった「あし」を退化させていったグループなのです。

写真上:トラアシナシイモリ属の一種
写真中:アンフューマの全身
写真下:アンフューマの前肢

第1回「はねる」
第2回「およぐ」
第3回「ほる」
第4回「とぶ」
第5回「かんじる」
第6回「のぼる」
第7回「はりつく」

〔上野動物園は虫類館飼育展示係 坂田修一〕

(2010年05月21日)



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