今年(2018年)9月26日にヨーロッパオオカミのメス「マロ」が死亡しました。11歳でした。以前より糖尿病を患い、療養を続けてきたところでした。多摩動物公園のヨーロッパオオカミはオス5頭メス3頭になりました。

元気なころのマロ
多摩動物公園のヨーロッパオオカミの飼育は、2001年にロシアから来園したオスの「ロボ」とメスの「モロ」から始まりました(
2001年のニュース)。ロボは体が大きく、優しい顔立ちをしていました。モロは小さくて華奢な体つきでしたが、オオカミらしい顔立ちでした。相性のよい2頭のあいだには15頭のオオカミが誕生しました(下記リンク先の記事もご覧ください)。
2007年5月に誕生したマロは5番目に生まれたメスで、オスの「セロ」「ロト」「ロイ」のきょうだいです。母親のモロよりもがっしりとした体型をしていました。マロはとても“おてんば娘”で、群れの中で争いごとが起きると自分とは関係がなくても首を突っ込み、ちょっかいを出しては事を大きくするちょっと困ったオオカミでした。
2013年8月にモロが死亡。翌年2月にはロボが死亡しました。群れのトップを失ったオオカミたちは、次々と争いを始め、ケガをするオオカミが続出しました。それまでも争いごとはよくありましたが、大きなケガに至ることはあまりなく、あらためてロボとモロの存在の大きさを実感しました。2頭が争いを直接仲裁するような姿はあまり見られなかったので、存在自体がまわりを抑えていたと思われます。
争いはメスどうしの方が激しかったため、5頭のメスを別々にすることになりました。オスとメスのあいだでは激しい争いに発展しないので、5つのグループに分け、オスとメスを同居させました。マロは最後にセロと同じ部屋で過ごしていましたが、マロが死亡した直後はセロの遠吠えの回数が増えたように感じられました。
多摩動物公園のヨーロッパオオカミはすべて10歳を越え、高齢化してきています。野生では厳しい生息環境や争いなどによりここまで長生きしないと思われます。一部の個体は疾患を抱えていますが、全頭ともおおむね元気に過ごしています。今後は加齢に対する飼育方法やえさの内容などを改善し、より健康にくらせるよう考えていこうと思います。
これから冬を向かえ、オオカミたちは冬毛に変わっていきます。冬毛のオオカミはよりオオカミらしく見えると思います。暖かくして動物園へお越しください。
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〔多摩動物公園南園飼育展示係 生駒正和〕
(2018年11月09日)