多摩動物公園で飼育しているヨーロッパオオカミは現在10頭です。2001年にモスクワ動物園から来たのは、オスのロボとメスのモロ。2頭しかいなかったころにくらべると、いまでは野生に近い「パック」(群れ)が観察できます。
オオカミの群れには、中心となる「アルファオオカミ」が雌雄それぞれ1頭ずついます。そして、パックの中で交尾・出産することができるのは、基本的にアルファオオカミだけなのです。
多摩動物公園のヨーロッパオオカミの場合、オスのアルファオオカミは、現在8歳のロボ、メスのアルファオオカミは10歳のモロです。残りの8頭はこの2頭の子どもたちで、3歳のポロ(オス)とモロ(メス)、歳のロン(オス)とチロ(オス)、もうじき1歳になるロト、ロイ、セロ(いずれもオス)とマロ(メス)です。
3年続けて繁殖に成功しているのですが、今年もまもなく赤ちゃんが産まれそうです。出産が近づくと、母親はお腹がふくらむだけでなく、乳首周辺の体毛が抜けます。これは、生まれた子どもが乳を飲みやすくするためのようです。
出産は、野生のオオカミと同様、土を掘って作った巣穴でおこないます。穴を掘るのが得意な動物なので、出産を前に放飼場は穴だらけ。かつては緑豊かで美しかった放飼場は、現在、見るも無残なすがたになってしまいました。
私は、放飼場に向かって右上の階段わきにある巣穴で出産するのではないかとにらんでいますが、途中で引っ越すこともあります。出産しても、しばらくの間はなかなか赤ちゃんを見るのはむずかしいのですが、生後1か月経った6月には、真っ黒な体色のチビオオカミがチョコチョコと走り回っていることでしょう。
・これまでのニュース
ヨーロッパオオカミ登場(2001年09月07日)
【動画】
ヨーロッパオオカミ(2003年09月)(開園と同時に遠吠え)
ヨーロッパオオカミの大家族(2007年08月10日)
【動画】
ヨーロッパオオカミ誕生(2007年06月)
〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕
(2008年04月25日)