東京めだか事情

都内のメダカ生息状況と「東京めだか」保全の取組みを知ろう!

メダカ1

かつては東京でもたくさん見られたメダカですが、今では生息地の減少や開発により、自然の水辺ではほとんど見られなくなってしまいました。都立動物園・水族園では、東京に生息するメダカの調査を行うとともに、メダカ(ミナミメダカ)の保全の取り組みや放流の問題を伝える活動をしています。
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日本にすむメダカは、2012年の発表に基づき、「ミナミメダカ」と「キタノメダカ」に分けられています。

ここでは、両方を合わせて“メダカ”とよぶことにします。

メダカが 絶滅のおそれ!?

メダカは、日本各地の田んぼや用水路、小川、池など、水の流れがゆるやかな所にすんでいます。しかし現在、東京では、メダカのすみかだった田んぼや小川はほとんどなくなってしまいました。

メダカがすめるような場所
メダカがすめるような場所

わずかに残っている田んぼも、多くの用水路はコンクリートで固められています。整備された用水路は水の流れが速くなり、メダカがかくれたり休んだりすることができません。また、コンクリートの高低差が大きく、メダカが田んぼと用水路を行き来することが出来なくなってしまいます。

コンクリート化された水路①
コンクリート化された水路①
コンクリート化された水路②

人間のくらしが便利になる一方で、メダカが安心してすめる場所が失われ、メダカは絶滅のおそれのある生き物となってしまいました。2020年現在、メダカは環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)、東京都のレッドリストでは区部および多摩地区において絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に分類されています(それぞれのカテゴリーの説明は下記HPをごらんください)。
みなさんの家の近くで、もし野生のメダカを見つけることができたなら、そこは貴重な環境です。

メダカの生息調査 おどろきの結果

田んぼや小川をあまり見ることがなくなってしまった東京に、まだメダカはすんでいるのでしょうか?

わたしたちは、みなさんから寄せられた情報などをもとに、2006年から東京の川や池でメダカの生息調査を行っています。2019年までに、下の「メダカMAP」で示したポイントで細々とくらすメダカが見つかっています。

しかし、見つかったメダカのDNA(遺伝子)を調べてみると、関西や九州など他の地域のメダカやヒメダカのDNAが混じったメダカがほとんどでした。

メダカ調査の様子(池)
メダカ調査の様子(池)
メダカ調査の様子(田んぼ)
メダカ調査の様子(田んぼ)
メダカMAP

【メダカMAP】
都内でのメダカ生息状況(2006年~2019年)

※メダカ生息地保護のため、プロットの位置は実際の調査地点、メダカ生息地点とは多少ことなります。

メダカのグループ

関東地方には本来、ミナミメダカがすんでいて(<コラム>実は日本のメダカは2種だった!!)、特有のDNA(遺伝子)型(東日本型または関東型)を持っています。

ところが、上の図からもわかるように、関東地方には、他の地域からのメダカ(瀬戸内海沿岸や北九州地方に特有の型をもつミナミメダカ)が多く見られます。また、観賞魚用に大量に作られているヒメダカとの交雑も確認されています。

これは、わたしたち人間が、減ってしまったメダカを増やそうと、あるいは家庭や学校で飼育されていた他の地域のメダカを安易に放流してしまったことに、原因があります。 同じメダカだから放してもいいのでは?と思うかも知れません。しかし、その行いや考え方が問題をひき起こしかねないのです。

メダカにせまる放流の問題

東京に生息するメダカのDNA(遺伝子)を調べた結果、残念ながらほとんどの場所で、おもに九州や関西など、東京以外の地域のメダカが混ざっているということがわかりました。その原因は、人間が他の地域のメダカを野外に放流してしまったことにあります。

メダカ

飼えなくなったメダカをにがしたり、川や池で減ってしまったメダカを増やすために放したりと、安易な気持ちでおこなう放流が、少なくなってしまった野生のメダカをさらに追いつめてしまう可能性があります。日本のメダカは、何百万年もの長い時間をかけて全国に広がり、それぞれの地域の環境に適応しながらくらす中で、地域ごとにちがった特徴や性質を持つようになりました。例えば、同じキタノメダカでも、北方にすむ個体は南方にすむ個体より速く成長することが知られています。おそい春に生まれた北方のキタノメダカたちは、早く成長して十分に体力をたくわえなければ、早くやって来るきびしい冬を乗り切ることができないからです。ほかの地域のメダカを放すことによって、こうしたその地域でくらしていくための大切な性質が、失われてしまうかもしれません。

放流の問題と聞くと、カミツキガメやアメリカザリガニなど、外国にすむ生き物が持ちこまれ日本の生き物に影響をあたえることと思われがちです。その他にもオオクチバスやブルーギルなど、日本の自然環境に大きな影響をあたえているものがたくさんいます。しかし、同じ日本にすむ生き物でも、さらにはこのミナミメダカのように同じ種であっても、もともとくらしていた場所以外の地域に放すことは、問題を起こすことがあることを覚えておいていただけたらと思います。

カミツキガメ
カミツキガメ
アメリカザリガニ
アメリカザリガニ

水の生き物だけではありません。カブトムシが本来すんでいないはずの北海道で増えていたり、身近で楽しみたいという理由で他の地域から持ってきたホタルを放流したりといったことが、大きな問題になっています。

野生生物を守るためのお願い

飼えなくなったペットを野外に放したりすてたりしない。
つかまえた生物を他の場所に放さない。
生物を飼う時は、その生物の大きさや寿命などをよく考えて、最後まで責任をもって飼いましょう。

東京のメダカ(ミナミメダカ)を守っています

他の地域のメダカの血が混ざっていない“東京生まれ東京育ち”のミナミメダカを、わたし達は「東京めだか」とよんでいます。かつては東京にふつうにいたはずの「東京めだか」ですが、残念なことに今のところ、自然の中で「東京めだか」がすんでいる場所は見つかっていません。

それでも、ずっと昔に東京でつかまえられたものや昔から個人に飼育されていたものなど、「東京めだか」と考えられるいくつかのミナミメダカをゆずり受け、葛西臨海水族園と井の頭自然文化園で繁殖をさせて飼育を続けています。
長い間受けつがれてきた、東京のミナミメダカの遺伝的な性質を未来に残すためです。

1.
1989年に調布市で採集され、その後葛西臨海水族園で飼育が続けられている個体群
2.
1944年ごろに杉並区で採集され、その後個人で飼育が続けられた個体群をゆずり受け、井の頭自然文化園で飼育が続けられている個体群
3.
2009年ごろに葛飾区で採集され、その後葛西臨海水族園でゆずり受け、飼育が続けられている個体群
東京めだか
東京めだか

まだどこかに「東京めだか」がくらしているところがあるかもしれません。人があまり入らないような古い池、昔採ったメダカをずっと飼い続けている方の水槽など、心当たりがありましたら、下の連絡先に情報をお寄せください。

情報はEメールにて、お名前をお書きのうえ medaka@tokyo-zoo.netまでお送りください。