2002年10月1日に多摩動物公園で生まれたキントンは、2006年11月に来園したクロマメと一緒に、ずっと多摩動物公園でくらしてきました。亥年にあたる2019年のお正月は、クロマメとともに干支のイベントなどでひっぱりだこの大活躍をしました。
泥浴びをするキントン
ところが今年(2019年)4月に入ってから、放飼場での登り降りに時間がかかるようになりました。そこで、段差のあるところには階段状に板などを置いて歩きやすくしました。
5月になると今度は、いつも与えているえさのサツマイモやリンゴ、クマ用ペレットを残すようになりました。食べやすいように、サツマイモやリンゴはスライスにしたり、ペレットを水でふやかしたりして与えましたが、やがてそれも食べなくなりました。ふかしたサツマイモや食パンを与えてみたところ、数日はよく食べていましたが、しばらくすると食べなくなり、その後はバナナやヨーグルトなど、さまざまなえさを試しましたが、結果は変わりません。そこで、えさのバラエティをもっと増やし、いろいろなえさ少しずつ与え、キントンが自分で選んで食べられるようにしました。
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放飼場でのんびりすごすキントン | キントン、お休み中 |
キントンの毛色は黒っぽく、とても愛らしい目をしており、性格もおっとりとしていました。具合が悪くなってからは頻繁にブラッシングをするようにしていたのですが、タワシでブラッシングを始めると、キントンは気持ちよさそうに目を細め、全身くまなくタワシが届くよう、自分でちょっとずつ体の位置を変えていました。お尻までブラッシングすると満足したように寝床に行って横になるのが習慣で、担当者はキントンのその姿を確認してから、少し安心して動物舎の電気を消す日々でした。
しかし残念ながら、7月8日の夕方、キントンは死亡しました。死因は内臓の腫瘍でした。
多くの思い出を残してキントンはいなくなりましたが、現在、イノシシ舎では後輩のクロマメが先輩を見習って、のんびりとくらしています。
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〔多摩動物公園南園飼育展示係 佐々木真己〕
(2019年08月09日)