多摩動物公園の正門を入り、まっすぐ 230メートルほど進むと、2頭のニホンイノシシが迎えてくれます。名前は「金豚」(キントン、6歳、メス)と、「黒豆」(クロマメ、2歳、メス)。母親が「オセチ」という名前だったため、その子にもお節料理の「キントン」という名がつきました。クロマメもお節料理の名前ですが、キントンとクロマメに血のつながりはありません。
2頭をいっしょに飼い始めて2年。クロマメはキントンのうしろをくっついて歩き、まるで親子のような仲のよさです。
・ニュース「
イノシシ2頭同居しました」(2006年12月22日)
・動画ニュース「
ニホンイノシシ」(2006年12月撮影)
しかし、体も大きくなったクロマメは、最近、1頭で行動することが多くなりました。また、来園者へのアピールもうまくなってきたと思います。人なつっこいキントンによる教育のおかげでしょうか、クロマメも来園者を見ると自分から近寄って行き、笑顔のような表情でアピールするようになりました。
飼育担当者である私がイノシシ舎に近づくと、クロマメは脇目もふらずに駆け寄って来ます。うれしい反応なのですが、来園者に対する反応と少しちがいます。というのも、大好きなサツマイモをもらうためのダッシュだからです。さすがは食欲旺盛なキントンを見て育ったクロマメです。
クロマメもキントンも、サツマイモをもらおうと私にものすごいアピールをしてくるのですが、クロマメはもらえないことがわかると体を 180度回転させ、来園者の方に戻っていきます。
一方、キントンはすぐにはあきらめません。母親的存在のキントンのそんなようすを離れたところから冷静に見ているクロマメのすがたは、キントンを追いかけていたころに比べて成長が感じられます。
そんなクロマメですが、夕方、キントンとともに来園者のみなさんを見送ると、室内に戻って大好きなサツマイモなどを食べ、笑顔のような表情を見せてくれます。
このように人なつっこいキントンとクロマメですが、フェンスなどから指などを入れると噛みつくこともあります。ごらんになる際はお気をつけてお楽しみください。
写真上:クロマメ
写真下:クロマメ(左)とキントン
〔多摩動物公園南園飼育展示係 松本泰雄職員〕
(2009年01月02日)