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イノシシの侮れない能力
 └─2013/09/13

 多摩動物公園のニホンイノシシは、おめでたいおせち料理にちなんで「キントン」と「クロマメ」といいますが、キントンの漢字は金団ではなく「金豚」と書きます。クロマメはそのまま「黒豆」です。

 名前とは裏腹に、キントン(10歳)は黒っぽい体毛をしていて、見た目は黒豆です。一方クロマメ(6歳)はキントンより白く、どちらかというと白豆です。

 2頭はメス同士で以前はとても仲がよかったそうですが、その後けんかが絶えなくなり、隣あった放飼場で数年前から別々に飼育展示しています。

 イノシシはイヌ並みの鋭い嗅覚をもち、性格は臆病で、優れた学習能力や記憶力をもつといわれています。

 猛暑が続いたある日 バテ気味のキントンに薬を飲ませることになりました。最初は、好物の餌に薬を混ぜて与えると何の疑いもなく食べたのですが、次第に見抜かれるようになりました。器用に鼻を動かして、中身を確かめるように餌を床で擦りつぶしたり、水の中で転がして洗ったりするようになりました。目新しい物には食いつきがよいので、スイカ、カボチャ、トマトなどいろいろな餌を日替わりで試しましたが、しまいには、薬が混ざっていなくても好物の餌にさえ見向きもしなくなってしまいました。イノシシの能力は意外に高く、決して侮れないと痛感しました。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 若井直美〕

(2013年09月13日)



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