2016年2月14日、南極のキングジョージ島に到着しました。プンタアレナスからチリ海軍の貨物輸送船「アキレス」(写真)に乗り、6泊7日(150時間! じつに長かった!)かけて移動しました。この船は、南極大陸の各基地に物資を運ぶ重要な任務を担っています。
乗船2日目、船はマゼラン海峡からビーグル水道に入ります。ときおり大きく揺れましたが、周囲に広がる壮大な景色を眺めることができました。この日はすべての乗船者が招集され、艦長から運行状況や船内での注意事項について説明を受けました。その後、夕食を兼ねた歓迎会が開かれ、他の南極渡航者たちと交流することができました。
乗船3日目、船はドレーク海峡に入り、いよいよ南極大陸に向かいます。ここは「吠える40度線」と呼ばれ、一年中台風なみの低気圧に支配される嵐の海です。船は上下左右に大きく揺れ続け、私たちはじっと耐えるほかありませんでした。
乗船4日目の深夜2時、緊急招集命令が発令されました。飛び起きてサロンに集合すると、船員が大声で話をしています。エンジン室で煙が出たとのことです。幸いなことに、大きなトラブルに到らずにすみましたが、緊張が走るできごとでした。
乗船5日目に入ると、船は南極半島の先端にあるサウスシェトランド諸島に近づき、物資を降ろすために各基地に立ち寄ります。周囲にはいくつもの流氷が見られ、アデリーペンギンが泳ぐ姿も目にすることができました。
そしてようやく、7日間の船旅を経て私たちの目的地、キングジョージ島に到着しました。この島のエスクデロ INACH(チリ南極研究所)基地に滞在し、海洋生物の採集をおこなう予定です。
キングジョージ島でのようすについては次回お伝えします。
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南極レポート2016[1]出発直前情報
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南極レポート2016[2]中継地点プンタアレナス
・南極レポート2016[3]南極到着! 海軍貨物輸送船でプンタアレナスからキングジョージ島へ
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南極レポート2016[4]生物の調査採集
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南極レポート2016[5]生物を輸送する
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南極レポート2016[6](最終回)そして展示へ
〔葛西臨海水族園調査係 中沢純一〕
(2016年02月19日)