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南極レポート2016[2]中継地点プンタアレナス
 └─2016/02/12

 前回お伝えした予定のとおり、葛西臨海水族園の南極調査チームは2016年2月3日、南米チリ共和国の南端の町プンタアレナスに到着しました。ポルトガル人の航海者マゼランが世界一周航海のときに発見したマゼラン海峡を望む町です。真夏の今でも最低気温は10度を下まわり、南極へ近づいてきたと実感します(チリは南半球にあるので、日本がある北半球とは季節が逆になります)。

 今回の調査は、チリ南極研究所(INACH) の協力のもとでおこないます。私たちはまず、プンタアレナスにある INACHの本部を訪れ、南極での滞在や調査について担当官と打ち合わせました。


チリ南極研究所(INACH)で最終打合せ

 さて、ここでは南極へ向かう最終準備をしなければなりません。まずは万全の状態で調査にのぞめるよう、マイナス12時間(日本とちょうど昼夜が逆)の時差に体を慣らします。南極で使用する非常食や採集機材の買い出しもこの町ですませました。


プンタアレナス郊外でマゼラン海峡の水を汲む

 また、生物を日本に送るまでの輸送時間が長いため、チリ国内で海水の交換が必要になるので、その準備も必要です。新鮮な海水を求めて、市内から20キロほど離れた海岸まで汲みに行きました。南極の水温は2度以下なので、準備した海水は冷蔵庫で冷やしてもらうことも大切です。

 ここプンタアレナスから、採集地の南極キングジョージ島まで、チリ海軍の輸送船アキレス号で移動します。過去の調査では、すべて飛行機で南極入りしていたので、海路での移動は初めてです。

 南極大陸を囲む南緯40度付近では、強い西風が吹き暴風圏を形成します。過去、たくさんの船がその荒波に飲まれ、「吠える40度線」として恐れられてきました。果たしてどのような海が出迎えてくれるのでしょうか。詳しいようすは、続編でお伝えいたします。

南極レポート2016[1]出発直前情報
・南極レポート2016[2]中継地点プンタアレナス
南極レポート2016[3]南極到着! 海軍貨物輸送船でプンタアレナスからキングジョージ島へ
南極レポート2016[4]生物の調査採集
南極レポート2016[5]生物を輸送する
南極レポート2016[6](最終回)そして展示へ

〔葛西臨海水族園調査係 松村哲〕

(2016年02月12日)


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