2024年7月18日に多摩動物公園の
スイギュウの「まる」(メス、11歳)が出産しました。生まれた子どもの性別はメスで、名前は「さち」といいます。父親は「幸吉」(オス、6歳)です。
さちは生後6日目には、白い歯も生えており、初めて体重を測ると35.9kgでまるの体重の約15分の1程度でした。
室内ではえさを食べているまるの周りを走り回っていました。同日に初めて運動場に出た際には、まだ慣れていない場所だからなのか、常に「まる」の近くにいて離れず、恐る恐る地面の匂いを嗅ぎ、周囲のようすを確認しながら歩く姿が見られました。
しかし、3時間ほど経つと恐怖心はどこにいったのかというほど元気よく駆け回る姿が確認できました。生後2週間には角も生え始めました。

生まれた日の「さち」(2024年7月18日撮影)
生後1か月ごろになると、運動場にも慣れ始め、まるから離れても平気になってきたようすで、まるの周りだけではなく運動場全体を走り回るようになりました。そんなさちの姿をまるは少し心配そうに見つめながら「くぅくぅ」と鳴いて呼ぶ姿も見られましたが、そんなこともお構いなしで走り回るさちでした。
また、いつもまるや幸吉が泥浴びしているぬた場がスイギュウの小路から下を覗き込むとあるのですが、まるの行動を見て覚えたのか、さちも水溜りに脚を入れ、座り込んで浸かるような行動をとるようになりました。
しかし、さちがプールに入っている姿をまだ見ることができていないので、今後どのタイミングでプールに入ってくれるのか私たち飼育係も楽しみです。
スイギュウは汗腺が少なく泥浴びや水浴びをして体温調節をします。また、泥浴びには、体温調節をするだけでなく日光から皮膚を守り虫除けなどの効果もあります。さちも母親の真似をすることで、生きていくうえで必要な行動を徐々に身につけているようです。

水たまりにつかる「さち」(2024年7月31日撮影)
生後2か月ごろになると、まるが食べているえさをさちも少しずつ食べるようになってきました。
まるには乾草、青草、圧ぺん大麦、シラカシの枝葉を与えています。さちもまると同じえさを少しずつ食べているようですが、その中でも今さちがいちばんよく食べるものはシラカシの葉と青草のようです。
スイギュウに与えているシラカシのほとんどは園内で栽培しています。多摩動物公園ならではの広い敷地を活用し、シラカシの木を育てています。シラカシの木が大きくおいしく育つよう定期的に剪定するなど飼育係が管理して、おいしそうなものを選んでスイギュウに与えています。

シラカシの葉を食べる「さち」(2024年10月2日撮影)
生後3か月目には、角の長さは6cm程度で、えさはシラカシの葉や青草など食べる量も少しずつ増え始めてきました。次回、体重測定をおこなう際に初めて測った体重35.9kgからどのくらい体重が増えているのか楽しみです。
今後もさちの成長をあたたかく見守っていただけたらと思います。
〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 吉田〕
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