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ニホンカモシカの子どもの名前が「ムツ」(睦)に決まりました
 └─ 2024/08/12
 井の頭自然文化園では2024年6月21日にニホンカモシカの子ども(オス)が誕生しました。母親は「すずな」(13歳)、父親は「ムム」(11歳)で、当園では2022年から3年連続の繁殖です。

 子どもは8月12日で生後52日を経過しましたが、とても順調に成長しています。生後1日経った6月22日には3.9kgだった体重も、8月5日には10kgまで増加しました。生後8日の6月29日には木の葉を食べるようすが見られ、生後33日が経過した7月24日にはミルクが混じったフンから粒状のフンに変化しました。

 これは木の葉をしっかりと反芻(えさの噛み直し)し始めた証拠であり、写真のように親のフンと比べると非常に小さいですが、体の中も成長していることがうかがえます。


左が子どものフン。右が母親すずなのフン

 母親のすずなは3回目の子育てとなりますが、経験を重ね非常に落ち着いたようすです。以前の子育てでは子どもが離れると鳴いて呼び戻す行動や、走ってついていくようすも見られていましたが、今回はそのような行動がほとんど見られません。しかし、決して子どもを放置しているわけではなく、子どもが離れていくとしっかり目で追って場所を確認していました。

 ニホンカモシカは本来母親のみで子育てをおこないます。そのためか父親のムムは子どもに対してあまり関心を示さず、子どもがじゃれてきてもあまり意に介しません。

 これまで日中のみ親子と同居していましたが、現在は夜間もいっしょにしてようすをみています。さらに昨年4月に生まれたメスの「ココ」を含め、常に4頭が同居する飼育をおこなっています。4頭それぞれがマイペースにすごしており、いっしょにえさを食べたり、角を突き合わせたり、ほかの個体とは離れてお気に入りの場所で休んでいたりなど、さまざまな行動が観察できます。

 野生のニホンカモシカは縄張りをもちながら生活するため、個体同士が接触する機会はあまり多くないと推測できます。そんな貴重なようすを観察できるチャンスですので、ぜひ熱中症対策をされたうえでじっくりとご覧になっていただければと思います。

 9月に入るとニホンカモシカは繁殖期に入るため、現在のような同居は難しくなります。また個体の状況によっては同居ができない日もあるかと思いますので、ご了承いただければと思います。

 今年生まれた子どもの名前ですが、「ムツ(睦)」と名付けました。父親のムムのように穏やかでほかの個体とも仲睦ましくくらせる立派なオスに成長するよう、願いをこめています。


6月21日に生まれたムツ

 ニホンカモシカをご覧になった来園者の方からは、ヤギやシカ、ときにはオオカミに間違えられることがよくあります。日本の森だけに生息するこの動物について、ぜひこの機会に当園でご覧いただければと思います。


左から「ココ」(メス)、「すずな」(メス)、「ムム」(オス)、「ムツ」(オス)

〔井の頭自然文化園飼育展示係 伊藤達也〕

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