写真でふりかえる25

  • 上野動物園水族館のサメの水槽(水量約180t)。

  • イワシ類との同居展示もすでに試みられていた。

  • 上野時代には、餌でおびき寄せたサメを素手で捕まえるという”技”も。小笠原からの船での輸送には円形のキャンバス水槽を利用。

  • それまで利用していた輸送水槽では、海がしけると内部の水も大きく揺れ、シュモクザメもダウン。そこで開発されたのが、水が揺れないように満水にできるフタ付き水槽。

  • 1995年に起きた阪神淡路大震災で神戸市須磨海浜水族園が被害に。復興開園に協力し、この水槽で飼育していたマダラトビエイを送った。

4「上野水族館からの宿題 シュモクザメの展示」

上野動物園水族館では、一番大きな水槽で主に小笠原で採集したサメを展示していました。ガラパゴスザメやメジロザメといったサメが何匹も展示され、現在の水族園のようにイワシの群れとの同居展示なども試みられていました。ところが、シュモクザメの展示はなかなかうまくいきませんでした。擬岩のある水槽も問題でしたが、小笠原からの船での輸送もなかなかうまくいきません。シュモクザメの輸送、長期飼育は水族園への宿題となったのです。

  • 建設現場に運び込まれる重量15トンにもなる巨大なアクリルパネル。これを現場でつなぎ合わせてドーナツ型の水槽を作っていく。

  • 巨大なアクリルバネルを現場に持ち込み、間に樹脂溶液を流し込み、温度を一定に保ち徐々に固めていく。

5「マグロ大水槽はこうしてできた」

飼育が困難とされていたマグロ類の群泳展示を実現するために、当時、日本最大の2,200トンのアクリル製の巨大ドーナツ型水槽が作られました。大型のアクリルパネルを現場に持ち込んでつなぎ合わせる工法は、その後の国内外の水族館の水槽の大型化につながっていきました。

  • 上野動物園水族館の大水槽のマグロ飼育試験の様子。アクリルにはテープで衝突防止の目印を、また壁側にはビニール製のフェンスを設置。

  • 水槽からの取り上げの様子。慎重にシート内に追い込み、水ごと丁寧に取り上げる。

  • 動物園の飼育係にも大勢協力してもらい、次々と輸送用のトラックへ。

  • 水族園へ到着。マグロを水ごとすくって、2人組でタンカを持って水槽へ走る。この方法は25年後の今もほとんど変わっていない。

6「上野から葛西へ マグロ引っ越し大作戦」

水族園開園の2年前から、上野動物園水族館は一部を閉鎖し、水槽を蓄養用に利用してきました。最も困難な目標であったマグロ類の飼育にトライするために、一番大きな180トンの水槽の他に、敷地内に50トンと150トンの2基の円形水槽を設置し、開園直前まで飼育のための試験を続けていました。

  • 開園当初のマグロ水槽の様子。クロマグロも小型の個体が数多く展示されていてドーナツ型水槽を回遊する様子も見られた。

  • この25年間に1尾だけ名前が付けられたクロマグロがいる。それがこの”ラグビー”。上野水族館から飼育されていた最後の1尾。

7「クロマグロの育成へ 挑戦は続く」

開園当初は小型のスマやクロマグロが数多く展示されていました。その後、飼育数を減らし、クロマグロを大きく育てることに力を注ぎました。水温や照明時間に季節の変化をつけることにより、ついに1999年、世界で初めてクロマグロが水槽内で産卵したのです(2008年、2009年にも確認)。しかし、まだ卵から大きく育てることには成功していません。
またこの水槽では、それまで飼育困難とされてきた外洋性のサメ、ヨシキリザメの飼育にも挑戦し、飼育日数の世界記録を更新しました。水族園はこれからも挑戦し続けます。

※2014年にも産卵を確認しました。くわしくはこちらの記事をご覧ください