落ち葉が増えて排水溝が詰まり、掃除が面倒になる季節になりました。
この時期になるとフラミンゴは次の繁殖に向けた準備を始めます。賑やかに鳴き交わしながら、体の色が濃いピンク色になったヨーロッパフラミンゴたちが、首を左右に振っている姿が見られるかと思います。よく見ると嘴だけ灰色のものや、全身灰色のフラミンゴも紛れていることがあります。多摩動物公園で昨年から今年にかけて生まれた若いフラミンゴについてお伝えします。

父親に甘えるひな
昨年(2024年)、多摩動物公園では5年ぶりにフラミンゴのひなが誕生しました。今年も引き続き繁殖が見られ、ひなたちも生後半年ほどになろうとしています。先ほど話題にあげた全身灰色の姿は、今年生まれのひなたちが成長した姿です。
フラミンゴは集団で生活をし、1羽が鳴き始めると周りもいっせいに鳴くことが多いのですが、最近1羽が繰り返し鳴いている声を聞くことがあります。ふと見てみると、灰色のフラミンゴがおとなのフラミンゴを走って追いかけている姿が見られました。どうやらひなはまだ親に甘えたいようなのですが、親はもう子育ては終わり、と言わんばかりに逃げていたようです。体の大きさこそ親たちより少し小さいほどのサイズまで大きくなりましたが、まだまだ動きには幼さが残っています。

母親について歩くひな
求愛行動(
2021年のズーネット記事参照)をしている集団の中には、昨年生まれの幼鳥が混ざっていることがあります。ただ、繁殖が可能になったというよりは、周りのおとなたちを見て真似をしている印象があります。
今年の春には産卵したおとなの横で、卵もない巣に真似をして座ってみているものもいました。このときは真似をしているというより、巣が座るのにちょうどいい高さだっただけのかもしれない、とも思いました。
しかし繁殖シーズンになると、2~3羽のまだ若いフラミンゴがおとなの集団に近づいて行き、見よう見まねで首を左右に振って(旗振りといわれる行動)みるなど、やはり行動を真似ているようでした。ただ、行進(集団でいっせいに歩く行動)が始まると置いてきぼりになっていたり、フライングして歩き始めても誰もついてこなかったりと、まだいまひとつ行動の意味はわかっていないようです。
この先ひなたちが育っていくと、今度は昨年生まれの若いフラミンゴたちが親になる番です。それまではこうした行動を繰り返しながら、群れの中で繁殖を学んでいきます。みなさんがフラミンゴを見たときに、「まわりとはちょっと違う動きをしているな」と思う個体がいたら、もしかすると群れから学んでいる最中の若いフラミンゴかもしれません。

体の色が濃くなった個体(中央)
〔多摩動物公園北園飼育展示係 野本〕
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