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フラミンゴの求愛ディスプレイ「旗振り」「敬礼」「行進」
 └─2021/01/02
 多摩動物公園のフラミンゴ舎では、現在107羽のヨーロッパフラミンゴがくらしています。 この記事を執筆しているのは年末ですが、私たち人間にとってはあまり動きたくない寒さ厳しい季節を迎えました。でも、フラミンゴは人間とは異なり、むしろ活動的になっています。

 多摩のフラミンゴたちは繁殖のシーズンを迎え、求愛の「ディスプレイ」(動物が求愛や威嚇のために自分の体や動作を誇示する行動)が本格化してきています。今回はそんなフラミンゴの求愛のディスプレイを3つのパターンにわけてご紹介します。

旗振り
 まず1つめは「旗振り」と呼ばれる、首をキレよく左右に振る動きです。繁殖期以外でも首を振ることはあるのですが、繁殖期になると数羽から数十羽の群れを作り、にぎやかな嗚き声と共にいっせいに首を振ります。その振り方はふだんよりも速く、まるで手旗を勢いよく振っているかのような動きです。また、ふだんは首がS字状になっていますが、旗振りの際は「自分を見て!」と言わんばかりに首をまっすぐに伸ばすので、より一層背が高く見えます(次の動画をご覧ください)。


ヨーロッパフラミンゴの求愛ディスプレイ:「旗振り」と「敬礼」

敬礼
 2つめは「敬礼」です。群れた状態で翼を勢いよく広げ、すぐに閉じる動きです。また、頭を下げながらお辞儀のような体勢で翼を勢いよく広げ、すぐに閉じる動きも頻繁に見られます。直後に必ず首を曲げて羽繕いをおこなう動作がセットになっているようです(上の旗振りと敬礼の動画をご覧ください)。

行進
 3つめは「行進」で、群れていた個体が速い速度でいいっせいに歩き出します。行進の終わり方はさまざまで、ふたたび集まって旗振りを始めることもあれば、やんわりと群れを解散し、別々に歩き出すこともあります。また、頻度は高くありませんが、行進していた群れに別の行進部隊が合流し、さらに大きな群れを作って歩くこともあります。50羽以上が行進するようすは迫力があり、とてもきれいです。


ヨーロッパフラミンゴの求愛ディスプレイ:「行進」

 一般的に求愛のディスプレイといえばクジャクのようにオスがメスに自分をアピールするイメージですが、おもしろいことにフラミンゴの場合はオスもメスもいっしょになってこの集団行動に参加します。他の鳥ではこのような行動はあまり確認されておらず、フラミンゴ特有の行動とも言えます。この行動の中で雌雄はおたがいの相性を確認してペアとなり、営巣を始めます。寒い季節限定の行動ですので、多摩動物公園にお越しの際は、ぜひ足を止めてじっくりフラミンゴを観察されてみてはいかがでしょうか?

〔多摩動物公園北園飼育展示係 山本〕

(2021年01月02日)



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