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カイツブリのひなのようすと産卵調整
 └─井の頭 2009/07/17

 井の頭自然文化園水生物館で育っているカイツブリのひなのようすと産卵状況をお知らせします。

◎これまでのニュース

 カイツブリのひなが親鳥の背中から顔を出しました
(2009年06月23日)
 カイツブリのひなの成長(2009年06月26日)
 大きくなったカイツブリのひな(2009年07月03日)
 カイツブリの子育て順調、さらに産卵(2009年07月10日)

(動画)カイツブリのひな、成長中(2009年06月18日撮影)

 カイツブリのひなが孵化してから1か月が経ちました。1か月でこんなに大きくなってしまうんだ、としみじみ思います。潜水が上達し、水中での身のこなしにも余裕が感じられるようになり、小魚(モツゴ)を捕らえるのも確実にうまくなってきました。

 それでもまだ、ひなの食べ物の7~8割は親鳥が運んできたものです。親鳥から餌をもらう姿には「ひならしさ」が感じられますが、そうした光景が見られるのも残りわずかのように思えます。親鳥がひなをつつきながら追いかける行動も徐々に激しくなってきており、巣立ちの日は遠くないようです。巣立ちを迎えたひなは、親鳥と同じ水槽で飼育することができなくなります。

 あらたな産卵は7月5日に始まりました。しかし、4羽のひなが順調に育ち、飼育場所の確保や食欲旺盛な6羽のカイツブリへの餌の供給だけでも大変なので、繁殖を制限しなければなりません。

 カイツブリは3~6卵をだいたい毎日、ときに1日あけて産み続けます。産んだ卵を取り上げると、カイツブリの体力が続くかぎり、ひたすら産卵を続けてしまうはずです。産んだ卵を「擬卵」(ぎらん:本物に似せて作った人工卵)に取り替えてしまえば、簡単に繁殖を制限できます。でも、途中からちょっとした工夫を考えました。産卵のたびに擬卵と交換するのではなく、先回りして擬卵を追加し、予定産卵数に到達したと錯覚させれば、実際に産卵する数を少なくできるのではないかと考えたのです。

 本物と擬卵を合わせて6卵となった時点で「もう終わるだろう」と思っていましたが、7卵目を産んでしまいました。そこで、「これでもか」とばかりに擬卵を追加し、巣内卵を8つにしました。ここで産卵は無事止まったのですが、卵が多すぎたようで、その後、本物の卵が1個消えました。親鳥が意図的に除去したのか、巣からはみ出て落下したのかは不明です。

 結局、カイツブリは5つの卵を産みました。7月15日現在、巣内に7つの卵がありますが、擬卵との取り替えの結果、本物は2つだけです。それらの産卵があったのは7月8日から12日にかけてなので、だいたい7月29日から8月2日にかけて孵化する予定です。

写真上:親(右)と巣立ち間近のひな
写真下:巣で抱卵中の親

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

(2009年07月17日)



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