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デコポンの1年間(前編)
 └─ 2025/09/22
 前回までの記事では、多摩動物公園で飼育しているインドサイの子「デコポン」(メス)が生まれるまでの経緯をご紹介しました。今回は2024年9月3日に誕生したデコポンが1歳を迎えるまでの成長のようすを、前後編に分けてお伝えします。

 出産翌日の9月4日の朝、私たちがインドサイ舎に行くと、母「ゴポン」と子「デコポン」はともに落ち着いてすごしていました。

 この日は大事をとり終日室内管理としましたが、ゴポンは窓の外を見たり、首を振ったり、外に出たがっているようすでした。落ち着かないのかと心配しましたが、デコポンの世話はしっかりとおこない、起立を促して、授乳をさせる姿も見られました。デコポンの出産は、ゴポンにとって4回目の出産であり、子育てに安定感がありました。


ゴポンの隣に並ぶデコポン(2024年9月4日撮影)

 9月5日には、屋内展示室から隣室(※通称「産室」。今回の出産は屋内展示室でおこなわれました)へ移動させ、2日ぶりに屋内展示室の清掃もおこないました。


サイ舎の簡単な見取り図

 この際、出産前は気にしていなかった扉の開閉音をゴポンが気にしており、警戒心が高まっているようすが伺えましたが、慎重に対応し無事に部屋間の移動を完了することができました。


産室で休息する親子(2024年9月6日撮影)

 生後1週間もすると、デコポンの角突起部が徐々に隆起し始めました。また、室内の柵に取り付けた杉板に頭を擦ったりひとりで遊んだりするようなようすも見られるようになり、行動にも変化が見られ始めました。

 固形物の採食は始まっていませんでしたが、室内に敷かれたチップや、ゴポン用の根菜類を口に含むようすが観察されました。9月18日には上の奥歯が生え始めていることが確認され、2~3週間後には青草や柔らかい葉を口に含む行動が増えてきました。


少しだけ角が盛り上がってきています(2024年9月16日撮影)
また、お尻の突起も点々と目立ち始めました

 生後約1か月の10月2日、デコポンは初めてパドック(屋外の非公開エリア)での放飼を体験しました。デコポンは最初警戒しながらもゴポンの後について動いていましたが、1時間もするとゴポンを先導するようになり、初日は3時間半ほどで練習を終了しました。

 翌日からは移動もスムーズになり、徐々にパドックを駆け回ったり、寝ているゴポンに足をかけて起こそうとしたり、活発な姿が見られるようになりました。


初めてのパドック(2024年10月2日撮影)

 前編は一旦ここまでとします。後編では、放飼場での展示開始から、体重測定など最近のようすまでをご紹介いたしますのでどうぞお楽しみに!

〔多摩動物公園南園飼育展示係 嵐田〕

>>後編はこちら

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