2020年12月9日に、インドサイの新たなペア形成と繁殖をめざすため、横浜市立金沢動物園からメスの「ゴポン」が来園しました。
今回は来園後のゴポンの発情と、オス2頭との同居についてご紹介します。
ゴポンが来園して9日後の12月18日に、多摩に来てから初めての発情を確認しました。インドサイの発情には、食欲が落ちる、落ち着きがなくなるなど、いくつかの合図があります。このときは「笛鳴き」と呼ばれる発情期に特有の鳴き声によって確かめました。また、糞を採取しホルモンを調べることで発情のパターンや排卵の有無を確認しています。
【動画】ゴポンの笛鳴き
その後も41、42日の間隔で発情が来ていましたが、寒さもありようすを見て、多摩の環境に慣れてもらうことを優先しました。
2021年4月21日の発情の際、向かいの放飼場にいたオスの「ビクラム」も発情に反応していることから、同居をおこなうことになりました。
インドサイの同居時は、激しい角合わせやオスがメスを走って追いかけることなどが予想されます。しかし、いざ同居してみると、ゴポンがゆっくりと近づいてはビクラムが逃げるように走って離れてしまうことが繰り返されました。同居中、何度もゴポンから近づきますが、ビクラムは攻撃することも逃げることもせず固まったり、走って離れたり、最終的には座ってしまいました。
座ってしまったビクラムと近寄るゴポン
また、その後に「ター」とも2回同居しましたが、どちらもまったりした雰囲気になり何もなく終了しました。
繁殖行動に大きな変化があったのは、9月4日の発情時です。これまでの経過から、ビクラムとの同居の方がよさそうだと判断しました。同居回数を重ねるごとにゴポンより優位に立つことが増えてきていたビクラムですが、9月の同居時はゴポンを追いかけたり、角突きする際も上に頭を乗せたりといい傾向が見られていました。
何度か走り回ったあとに、ついにビクラムがゴポンの腰に前肢を乗せて交尾の姿勢を取ったのです。その日は、何度かマウントしましたが交尾には至りませんでした。しかし、前肢を乗せることができたことは、サイにとっても担当者にとっても大きな一歩となりました。
前肢を乗せた際のようす
ところが、10月に来た発情の際は、気温なども関係してか、積極的な行動は見られませんでした。
今後も、それぞれの個体の状態やゴポンとの関係性、その他の条件などを見極めて、インドサイの繁殖に貢献できるよう努めていきたいと思います。あたたかく見守っていただけると幸いです。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 河本〕
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