ヒモギンポの初展示
2026年10月23日
2026年8月に、13年ぶりとなる北極海での生物採集をおこないました。採集場所は、カナダ北部のケンブリッジ・ベイという町です。今回採集した生きものは、「世界の海」エリア、北極・南極の海コーナーの「北極2」水槽に展示しています。採集場所の水温はとても低いため、水槽の水温は約1℃です。
今回、紹介する生きものは葛西臨海水族園では初展示となるヒモギンポです。スズキ目ニシキギンポ科の魚で、学名をPholis fasciataといい、直訳すると「帯状の模様のある鱗をもつ魚」となり、体の帯状の縦模様が特徴的な魚です。最大で全長約30cmとウナギのように細長く、左右に平たい体形をしています。
和名は日本国内で使われ、覚えやすくするためにつけられることが多いのですが、この魚は日本から遠く離れた北極の海に生息しているのに、和名がついています。じつは、ヒモギンポの分布域はとても広く、北極や大西洋北部だけでなく、太平洋北部に位置する北海道や青森県といった日本の海にも生息しているからなんです。
展示のヒモギンポは、全長約30cmあるのですが、なかなか姿を見ることができません。それは、小さな隙間を好み、隠れて顔だけを出して外のようすをうかがっているからです。現地では岩の隙間や海藻のあいだに身を潜めているようすや体が収まる砂地のくぼみにいるようすが確認されています。そのため、水槽をじっくりと観察すると、隙間からこちらをジッと見つめる姿を見つけることができます。
現地の海には、厚い氷により鋭く削られた岩盤や石が多く見られたため、水槽ではそのような岩を組み合わせて環境を表現しています。今回紹介したヒモギンポのほかにも同じ北極海の海にくらすフォーホーンスカルピンやニセタウエガジなども展示していますので、ぜひ観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 北山雄大〕

