こぶに注目! 初展示のコブエイレネクラゲ!

2026年8月28日

現在、葛西臨海水族館の「東京の海」エリア、「浮遊生物」コーナーではコブエイレネクラゲを展示しています。葛西臨海水族園では初展示ですが、じつは採集したものではなく、水槽内で発生したクラゲなのです!

現在展示中のコブエイレネクラゲ
現在展示中のコブエイレネクラゲ

葛西臨海水族園の水槽では、ヒドロ虫と呼ばれる刺胞動物のなかまが自然に発生することがあります。このヒドロ虫は毒をもっており、水槽内の生きものを弱らせてしまうことがあります。そのため基本的には取り除いていますが、まれにクラゲが発生することがあり、密かに楽しみにしていました。

イサザアミのなかまを飼育している水槽の壁。ヒドロ虫がついている。
イサザアミのなかまを飼育している水槽の壁。ヒドロ虫がついている。

ある日イサザアミのなかまを飼育している水槽をのぞいてみると、傘径1mmほどのクラゲが大量に発生していました。

イサザアミのなかまと大量のなぞのクラゲ(水泡のような透明な粒がクラゲです)
イサザアミのなかまと大量のなぞのクラゲ(水泡のような透明な粒がクラゲです)

これまでこの水槽ではクラゲが発生したことがなかったため、驚きました。

さて、このように水槽内で勝手にクラゲが発生した例は、ほかの水槽ではいくつかありましたが、どのクラゲも成長しても傘径5mmほどにもならない種ばかりで、展示には至りませんでした。しかし、今回のクラゲはこれまでに発生したどの種とも異なったかたちをしていました。

下記はいずれも水槽内で自然に発生したクラゲたちを顕微鏡で見た画像です。

今回発生したクラゲ
今回発生したクラゲ
スズフリクラゲの一種
スズフリクラゲの一種
エダアシクラゲの一種
エダアシクラゲの一種

成体ではない状態のクラゲの判別は難しいため、種を調べるために育ててみることにしました。傘径1mmほどと小さなクラゲだったため、観賞魚などのえさにも使われる微小な甲殻類アルテミアと、それよりも小さなプランクトンのシオミズツボワムシも同時に与え、育成しました。

すると、だんだんと大きくなっていき、傘径が1cmを超えるころにはもしかすると展示できるかもしれない、という期待が湧いてきました。そして傘径が2cmを超えてくると、口元にこぶのようなものができている個体が出てきました。これはコブエイレネクラゲの名前にもある「こぶ」の部分です。この「こぶ」があったため、コブエイレネクラゲだとわかりました。

コブエイレネクラゲは自然界ではほとんど見つかっておらず、まだ謎の多いクラゲです。今回、なぜこのクラゲが突然に発生したかはわかりませんが、水族園のほかの水槽では発生していないことを考えると、イサザアミのなかまといっしょに混ざって入ってきたのではないかと考えています。

コブエイレネクラゲのこぶ
コブエイレネクラゲのこぶ

よく観察すると「こぶ」が見えるかもしれません。ぜひ、「こぶ」に注目してみてください!

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山中春佳〕

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